ストレス解消を目的に行動したはずなのに、そのせいで新たな疲労感やストレスを感じたことはありませんか? パナソニックが行った調査によると、なんと約6割が“ストレス解消疲れ”を経験したことがあるそう。今回は、そんな“ストレス解消疲れ”の原因と対策、予防策をご紹介します。



■体を使ってないのに疲れる場合も

 パナソニックは、30代から50代男女500人に、ストレス解消とそのストレス解消を行った後に生じる疲労感に関する調査を実施。ストレス解消を目的に実践した行動のあとで、新たな疲労感・ストレスを感じることを“ストレス解消疲れ”と定義してアンケートを行ったところ、身体的ストレス・精神的ストレスともに、55%と約6割が“ストレス解消疲れ”の経験があることがわかりました。

 その疲れの中には、「ストレス発散に動画を観ているが、肩コリや目の疲れを感じて身体的なストレスが増える」といった、体を使う解消法でないのに結果的に体の疲労につながっているものも多数。また、「運動不足で体のだるさを感じて筋トレや水泳を始めたが、次の日も疲れが残る」など、体を使った解消法の影響によって、かえって疲れてしまっている様子が伺えるコメントもあったといいます。

■“ストレス解消疲れ”の要因は?

 それでは、この悪循環とも言える“ストレス解消疲れ”は、どう対処すればいいのでしょうか? 体の疲労の予防やセルフケア方法などに詳しいパーソナルトレーナーの佐々木純氏が、“ストレス解消疲れ”原因と対策について語っています。

 まず、ストレスを発散させるための行動は、下記の通り、大きく分けて3つあるといいます。


(1)趣味や買い物など「好きなことに没頭型」
(2)大声で歌う、友人とのおしゃべりを楽しむなどの「感情アウトプット型」
(3)お出かけや運動などの「体を動かす型」

 その中でも“ストレス解消疲れ”が起こりやすいのは、「好きなことに没頭型」と「体を動かす型」と考えられるそう。「主に3つ目の『体を動かす型』で過度な負担を体にかけてしまったり、1つ目の『好きなことに没頭型』で結果として体の疲労が蓄積したりした結果と言えるでしょう」と佐々木氏は語ります。

■まずは日頃のケアの見直しを

 また、佐々木氏は、“ストレス解消疲れ”のタイプは、肉体的疲れと精神的疲れに大きく分けられるとも話します。例えば、肉体的疲れは、過度な運動による筋肉の疲れ、暴飲暴食などによるストレス発散に伴う内臓などの疲れ、マッサージによる揉み返しなどのだるさなどです。

 自分に適している以上の過度な運動はケガなどの意図しない結果につながり、暴飲暴食は別の病気につながる可能性もあるそうなので、まずはある程度自分でコントロールがしやすい、肉体的な“ストレス解消疲れ”が出ないように、日頃のケアを見直すことが必要だそうです。

■入浴やアロマより気軽にできること

 “ストレス解消疲れ”を防ぐためには、日頃からストレッチやマッサージなどを行い、体のケアに意識を向けることと筋肉を柔軟に保つことが、大切だと佐々木氏はいいます。
日頃から体をいたわり、ケアを行うことは、ストレス緩和にも効果があり、それによってストレスなく日々の生活を送ることで、日常行動のパフォーマンス向上も期待できるそうです。ストレスがたまりづらくなるサイクルも期待できるでしょう。

 それでも“ストレス解消疲れ”に陥った場合は、「まずは体の回復を早めるために、十分な休息をとることが重要です」と佐々木氏は語ります。

 とはいえ、ストレスを解消するためにとっていた行動によって体や頭が興奮状態にあると、たとえ睡眠をとろうとしてもなかなか体は休まらず、さらにストレスがたまってしまう状態になることがあるそうなので、その場合は、体をリラックスさせることがカギ。

 ぬるいお湯にゆっくりとつかる入浴法や、アロマの活用などはよく知られていますが、佐々木氏によると、もっと手軽な方法があるそう。それは、“凝り固まった筋肉をほぐすこと”だそうです。


 「例えば、肩まわりの大きな筋肉である僧帽筋(そうぼうきん)はストレスを抱えていると緊張し、結果として肩コリや頭痛などを引き起こす原因となることがあります。運動による筋肉痛や体のコリも、肩や背中などに感じる人は多いのではないでしょうか。だからこそ、このようなコリや疲労感を感じたときだけでなく、感じる前から日常的に、肩まわりや体の気になるパーツをストレッチやマッサージでほぐすことで充分に体を休めることは、“ストレス解消疲れ”を本質的に防ぐことにつながると言えます」。

 長期化する新型コロナウイルスの流行と新たな生活様式などに伴い、人々のストレス状況が変化しています。ストレス解消を試しても「完全にはすっきりしていない」と感じる方は、日頃のケアを見直してみるといいかもしれません。