2017年6月までアイドルグループ・℃-uteのメンバーとして活動してきた鈴木愛理。グループ解散後も、ソロアーティストやモデルとして活躍を続ける彼女が、6月23日スタートのABEMAオリジナルドラマ『ANIMALS‐アニマルズ‐』でドラマ初主演を務める。

ソロ転身から5年、自信がなかったという当初の心境やこれから迎える30代について話を聞いた。

【写真】“現役アイドルが憧れるアイドル”鈴木愛理 かわいさ溢れる撮り下ろしカット

ドラマ初主演 ハードな現場を乗り越えた仲間に「もうすでに会いたい」

 ドラマ初主演の鈴木が演じるのは、恋も夢も忘れ、ブラック企業で懸命に働く“幸せ迷子のズタボロ女子”の主人公・鹿森海。ひたむきに頑張りながらも日々に疲れ切っていた彼女の前に現れたのは、生意気でツンデレな年下カメラマン(本田響矢)と、敏腕だけど恋愛下手な最新コスメベンチャー企業のイケメン年上社長(白洲迅)。そんな2人の男性に刺激を受けつつ、まさかの恋心に揺れ動きながら、最高の自分に生まれ変わろうとする大逆転ラブストーリー。

――鈴木さんが今回主演を務めたドラマ『ANIMALS‐アニマルズ‐』。撮影はすでに終わっているとのことですが、どんな現場でしたか?

鈴木:精神的にも体力的にもハードな現場でした(笑)。特にドラマの終盤になるにつれて精神力を使うシーンと、タイトなスケジュールが重なったこと、物語が進むにつれて幸せが見えてくるかといわれたら、そうでもないということで心が揺れ動くことが多くあったので…そう感じたんだと思います。

でも、私は何事もポジティブに考えちゃうタイプで、逆にその過酷さがすごくリアルで(今回演じた)鹿森海として生きているなと思えたので良かったですね。それに、そういうハードな現場の中で、キャストとスタッフが一丸となって愛情と人間力と情熱で取り組んでいたからこそ、クランクアップの時にスタッフさんとみんなで泣けたのがすごくうれしかったです。大好きなチームでしたね。この前終わったばかりなのに、もうすでに会いたいですもん(笑)。

――本作で連続ドラマ初主演。
現場では座長として振る舞うこともあったのではないかと思うのですが、心がけたことがあれば教えてください。


鈴木:私自身、お芝居経験がたくさんあるわけではないので、わからないことは現場で素直に教えていただこうという気持ちで挑みました。座長としては、今回のお芝居に限らず、音楽シーンでもそうなのですが、この組でみんなが「今日も充実してたね」と思えるような空気感にできたらなということは心がけていましたね。スケジュールがタイトになってくると、どうしても苦しくなってしまったり、行き詰まっちゃったり、ピリッとしちゃったりすることってあると思うんです。でも、そういうときこそ、ハッピーに充実感のある現場にできたらなと思っていました。

――本作の予告編では“幸せ迷子のズタボロ女子”というキャッチコピーを体現するような鈴木さんの姿が映し出されていて驚きました。今回鈴木さんが演じた鹿森海というキャラクターについて、どういう印象を受けましたか?

鈴木:最初は似ている部分が多いなと思いました。メンタル面では人から頼まれたことを断る選択肢がないところとか、お仕事が好きだからゆえに一生懸命になりすぎてしまうところとか、本当の自分の幸せが何だったのかわからなくなっちゃうという経験は少なからずあるので、そういうところは似ているなと…。きっと撮影期間中は、私自身共感できるところを探しながら海ちゃんとして生きていたんだと思うんです。

でもいざ撮影を終えてみると、やっぱりそんなに似てないかなって気が付きましたが(笑)、リアルを追及して、ドキドキ、キュンキュンしたり、苦しんだりした姿がどんな風に映るのか、オンエアが怖いけど楽しみです。

ソロ転身から5年…新しい出会いや挑戦を経てようやく自信を持てるように

――℃-uteとしての活動を終えてから5年。この5年間の鈴木さんを見ていると、アーティストに、モデル、演技と幅広く活躍されていたような印象を受けますが、鈴木さんにとってはどんな5年でしたか?

鈴木:ソロになって半分の期間がコロナ禍だったこともあり「もう5年も経つのか…」と実感がないのですが、この5年で新しい出会いや挑戦がたくさんあったので、℃-ute時代の自分がもう自分じゃないみたいだなという気持ちになることがあります。
アイドルとして15年経験した後で、まだまだ知らないことやできないことがあるって、めちゃくちゃ幸せだなと思います。

その一方で、ソロ活動を始めた当初は1人でステージに立つこと自体慣れていなかったし、自信がなかったなとも思います。昨年10月の武道館ライブでようやく初めて、ソロアーティストとして、不安や曇った気持ちもなくステージに立てているなと実感できました。

――なぜ自信がなかったのでしょう? また、そのような不安をどう乗り越えましたか?

鈴木:最初の2~3年は、℃-uteのころの自分と比べてしまったり、「前の方が良かった」という声に葛藤していた時期もありました。その時も「今が1番楽しい!」と言っていたことは本心なのですが、今振り返ってみると、すごく頑張って自分というものをピンと張り、ギリギリでやっていて苦しかったのかなって。

乗り越えられたのは、なにかのきっかけがあったというよりも、マーチンさん(鈴木雅之)とご一緒した楽曲「DADDY!DADDY!DO!feat.鈴木愛理」でアニメ業界に携われるようになったり、いろんな音楽番組やトーク番組で話す機会が増えたりといろいろな経験をするなかで、去年くらいから「これが鈴木愛理です」と堂々と振る舞えるようになったのかなと思います。

――先ほど「℃-ute時代の自分がもう自分じゃないみたい」とおっしゃっていた一方、鈴木さんと言えば、今もなお現役のアイドルから憧れのアイドルとして名前が挙がりますよね。

鈴木:本当にありがたいですよね。アイドル戦国時代と言われていた当時「唯一無二のアイドルとして輝くにはどうしたら良いか」ということを自分のコンプレックスと向き合いながら、たくさん研究してできた結果なので、恐縮だなと思いながらもめちゃくちゃうれしいです。

私がこだわっていたアイドル像があって、髪型やメイクもテンプレ化できているものがあるんです。だから「あの頃の曲をやりましょう」「℃-ute再結成しましょう」と言われたらすぐにアイドルに戻れる自信がありますし、その経験をもとにアイドルのプロデュースとかもしてみたいです(笑)。

現在28歳 いつまでも“ポジティブの伝道師”でありたい

――ソロ活動を始めた当初、事務所の方にやりたい方向性をプレゼンしたということですが、そこから5年経ち、その方向性は今も変わらないものなのでしょうか。


鈴木:かなり変わりましたね。口に出したら負けている気がして、あまり言わないようにしていたのですが、今思うとソロになった当初は1人でステージに立つ自信がない分、鎧をたくさん着ようとしていたなと思います。でも、コロナ禍になって、衣装とか、ダンサーさんとか自分を助けてくれる何かを身にまとうことが難しくなってしまいました。その時に改めて「自分が届けたいもの」に向き合うようになって、自分がやりたいことを再確認できたことで、より生きやすくなったんですね。その時に自分が伝えたいと感じたことを、今はシンプルに届けられたらなと思っています。

――もし今、これからについてプレゼンをするなら、どのような方向性を提案しますか。

鈴木:以前は「こういうステージで、こういうのがいい!」と自分の考えを伝えていたのですが、今は「こういうことができる人を探してください」っていうプレゼンをすると思います。ソロ活動を始めた当初は自分だけで全部どうにかしようとしていたのですが、1人でやるからこそ自分の考えを一緒にアウトプットする仲間をつくっていくっていうことがすごく大事だなと気づいたんです。

――最後に、ドラマで鈴木さんが演じた鹿森海には“幸せ迷子のズタボロ女子”というキャッチコピーがついていますが、ご本人にキャッチコピーをつけるとしたら、なんとつけますか?

鈴木:なにがいいだろ? 難しい…。私も28歳になったので、〇〇〇〇なアラサー女子ですかね(笑)。アラサーと言われる年齢ってこれまでどう生きてきたかが炙り出されて輝く時だなと思っているので、今すごく楽しみなんです。でも、前から自分のことをポジティブの伝道師と呼んでいるので、そういうワードも使いたいな。
ポジティブの伝道師…アラサー女子…その2つをくっつけたようなキャッチコピーにしたいです(笑)。(取材・文:於ありさ 写真:ヨシダヤスシ)

 ABEMAオリジナルドラマ『ANIMALS‐アニマルズ‐』はABEMA SPECIALチャンネルにて6月23日から毎週木曜22時放送(初回のみ21時45分放送)<全8話>

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