山崎貴監督最新作『ゴーストブック おばけずかん』で、冒険を共にする生徒と先生役として共演を果たした城桧吏と新垣結衣。「撮影がとても楽しかった」という二人は、インタビュー中も笑顔いっぱい&息ぴったり。

現在15歳の城と一緒に過ごす中で、新垣は「自分が役者のお仕事を始めた頃を思い出した」と告白する。城が俳優業への夢を語ると共に、新垣がこれまでの道のりを振り返った。

【写真】本当の先生&生徒のように息ぴったりな雰囲気の城桧吏&新垣結衣

■VFXを駆使した映像に驚き!「異世界をたっぷりと楽しみました」

 「大人が知らないベストセラー」として知られる「おばけずかん」シリーズ(講談社)を原作とした本作は、“どんな願い事も叶えてくれる一冊の本=おばけずかん”を手に入れた子どもたちが、数々の試練に立ち向かう姿を描く異世界冒険ファンタジー。城は、一歩を踏み出す勇気が持てない友達思いの少年・一樹。新垣は、一樹をはじめとする、太一(柴崎楓雅)、サニー(サニーマックレンドン)、湊(吉村文香)ら子どもたちと一緒に不思議な世界に迷い込んでしまう教師・瑤子先生を演じている。

――個性豊かな“おばけ”や、異世界の描写、迫力のあるバトルシーンなど、VFXを駆使した映像も見どころとなります。
完成した映画をご覧になって、驚いたようなシーンはありますか?


城:たくさんあります。景色も思っていた以上に壮大で、崖のシーンの迫力は特にすごいなと思いました。また一樹たちをゴーストブックの世界に連れて行くおばけ、“図鑑坊”(CV:釘宮理恵)がめちゃくちゃかわいくて! 図鑑坊がカレーを食べているシーンは、かわいくて仕方なかったです。撮影現場では、実際の図鑑坊は目の前にいないので、「図鑑坊はここからこっちに移動して、ここで話す」と監督と詳しくリハーサルをして、本番は先に収録してあった図鑑坊の声を聴きながら、それに合わせてみんなでお芝居をしていました。図鑑坊は小さくて、すごくよく動くキャラクターなので、みんなで目線を合わせるのが大変でもありましたが、そうやってみんなで一緒に取り組むことがとても楽しかったです。

新垣:私も、想像を超えたものになっていると感じるシーンばかりでした。
事前におばけのビジュアルも見せていただいていたんですが、実際に動いているものを見ると「こんなふうになったんだ!」と新鮮な感動があって。現場で驚いたことといえば、瑤子先生のおばあちゃんの家で部屋が大胆に動くシーンがあるんですが、あれは実はCGではなく、リアルに動いているんです。そういったアイデアを駆使した仕掛けも「すごいなぁ」と思いながら、私自身たっぷりと異世界を楽しみました。

■城桧吏と新垣結衣が語る、“15歳の自分”

――城さんは現在15歳ですが、劇中では小学生の役を演じられました。実年齢より年下の役を演じるということで、意識したことがあれば教えてください。

城:僕は、実年齢より精神年齢が下なので、そんなに苦労はなかったかなと思います。
小学生の頃、友達からは「幼稚園生みたいだ」って言われたこともあるので(笑)、一樹を演じる上でも、いつもの自分と同じくらいの感覚だったように思います。そして僕も、一樹と同じようにビビりなところがあって…。怖い話を聞いたりした後は、夜暗いところに一人でいるのがちょっと怖いです(笑)。

新垣:現場では全然そんな感じはしなかった! すごく落ち着きがあるし、周りがよく見えているし、切り替えも早い。メインキャストとして桧吏が真ん中にいるだけで、場がまとまるような感じがありました。確かに素直で無邪気なところもありますが、しっかりとした一面と、ナチュラルな子どもらしい一面のバランスがとてもいいなと思いながら、見ていました。


――新垣さんは、生徒役のキャストさんと一緒の現場に入る上で、特に心掛けていたことはありますか?

新垣:瑤子先生は、「私は大人だから」と言いながら大人気なく言い合いをしたり、子どもたちの陰に隠れながら人一倍ビクビクしているようなキャラクターなので、ある意味、瑤子先生と子どもたちは、対等な関係性だなと思っていました。だからこそクランクインする前は、みんなと一緒ににぎやかに過ごしたいなと思っていたんですが、コロナ禍ということもあって、なかなかそういうわけにもいかず…。その分、劇中でみんなとたくさんワイワイできたので、とても楽しかったです。

――城さんは、新垣さんと初共演された感想はいかがでしたか。

城:今まで新垣さんが出演されている作品を観ていて、とても明るい方だなというイメージを持っていました。実際にお会いしてみたら、やっぱり明るくて、すごく優しい方で、本当の先生みたいなところもあって。
僕と楓雅、サニー、文香ちゃんが一緒に動画を撮っていたら、いつの間にか後ろに新垣さんがいて、ピースをして映っていたりして(笑)。僕たちと一緒になって、遊んでくれる先生でした。

新垣:あはは! はい、一緒に遊んでいました。私はみんなと過ごす中で、「自分がみんなと同じ年齢くらいの頃はどうだったかな」「初めてお芝居のお仕事をした時って、どんなだったかな」と考えることも多かったです。桧吏は今15歳ということですが、私が15歳の時はちょうど、上京してきて本格的に俳優のお仕事を始めた頃でした。桧吏やみんなは本当にしっかりしているので、私は尊敬の目で見ていましたね。
撮影時間が長くなったとしても、その中で楽しみながらモチベーションを保っている様子を見ても、とてもタフだなと。当時の私はもっと、自分のことでいっぱいいっぱいになってしまっていたと思います。

■城「怖い役にも挑戦したい」 新垣「のんきに力を抜くことも大事」

――瑤子先生が自分の進みたい道を見つけて行く過程も、本作の見どころとなります。新垣さんが俳優のお仕事を始めてから、「この仕事を続けていきたい」と明確に思われた時期はありますか。

新垣:もちろんいろいろな作品を経験させていただく中で、俳優業の楽しさや醍醐味(だいごみ)について分かってきたこともあるんですが、それと同時に大変なことや苦しいことも、同じくらいか、もしくはそれ以上に感じることもあります。「このお仕事を続けていこう」と覚悟や決意をした瞬間というものはなく、「人生、何があるか分からない」と思いながら一歩一歩進み、出会いに恵まれながら今ここにいると感じています。

――城さんは今、俳優業にどのような気持ちで取り組んでいますか?

城:僕は「大変だな」と感じることがあっても、いつも「楽しい」という気持ちが勝つので、本当にこのお仕事が好きなんだと思います。みんなで一緒に作品に取り組んでいる時間もとても楽しいですし、本作でおばけと戦ったように、お芝居を通して普段できないような経験もたくさんすることができます。これからもいろいろな役を演じることができたら、うれしいです。『テセウスの船』(TBS系・2020年)で楓雅が演じていたようなちょっと怖いような役にも挑戦してみたいなと思いますし、アクションもやってみたいです。

新垣:楽しめるということは、本当にすてきなことだね。

――生徒と先生という間柄を演じたお二人ですが、ご自身にとっての“先生や師匠”と感じるような方や、「この人に励まされた」と思うような存在について教えてください。

新垣:「この人に励まされた」と感じる人は、本当にたくさんいますね。素晴らしいスタッフの方、キャストの方とご一緒することができて、そういった方々との出会いに支えられて、いろいろなことを乗り越えることができたと思っています。

――瑤子先生には、「のんきに構えていれば、世の中なんとかなる」というモットーがありました。そういった考えに共感はありますか。

新垣:今、そういうスタンスでやっていこうと思っています(笑)! 真面目に取り組みつつも、必死になりすぎてネガティブになるより、時にはのんきに力を抜くことも大事だなと感じています。

――城さんは、大事にしているモットーはありますか。

城:僕は、“笑うこと”を大事にしています。

新垣:(拍手をしながら)いいね!

城:朝、暗い表情で「おはようございます」と言うよりも、笑顔であいさつをした方が、楽しくその日を始められるなと思っています。

新垣:すごくいいと思う。桧吏には、“先生や師匠”だと思う人はいますか?

城:僕にとっての師匠は、是枝(裕和)監督かなと思います。是枝監督に出会ってから今のようなお仕事をさせてもらえるようになって、本当にありがたいなと感じています。『万引き家族』に出演していなかったら、もしかしたら『ゴーストブック おばけずかん』にも出られていなかったんじゃないかなとも思うので、一つの出会いで人生が大きく変わるものだなと実感しています。

(取材・文:成田おり枝 写真:高野広美)

 『ゴーストブック おばけずかん』は、7月22日より公開。