単行本全42巻で累計850万部を超えるベストセラーコミックを、主演・平野紫耀(King & Prince)、ヒロイン役に黒島結菜、さらに三浦友和山本耕史坂東彌十郎という重厚な俳優陣を迎えて実写化したのが10月21日スタート(初回20分拡大)の金曜ドラマ『クロサギ』(TBS系)だ。本作でプロデューサーを務める武田梓、那須田淳に、見どころや撮影中のキャストの姿などを語ってもらった。



【写真】平野紫耀×黒島結菜×三浦友和の化学反応に期待!

■“ダークヒーロー”挑戦の平野紫耀の表情が魅力的

――2006年に山下智久さん主演でドラマ化されている『クロサギ』を、2022年に新たなドラマ作品として企画された意図を教えてください。

武田梓プロデューサー(以下、武田P):2006年当時は今なら当たり前に知られている“オレオレ詐欺”などもほとんど無かったような時代でした。現代社会ではインターネットやスマートフォンの普及によって詐欺がすぐ隣にある脅威のようになっています。

那須田淳プロデューサー(以下、那須田P):今の時代、いろんな形の詐欺がありますし、被害が大きすぎると思います。また詐欺という犯罪は見えないところで進行しているという恐怖もある。詐欺というものが内包している人間の欲望や得体の知れない恐怖を、ドラマというエンターテインメントを通してもう一度見つめ直したいという狙いがあります。

武田P:当たり前のようにみんなが目にしているものって実は結構怖いことなんだ、詐欺って人の人生を奪うようなことなんだっていうことを問うていきたいですね。

――今作では、過去のとある事件から“詐欺師を騙す詐欺師”となる主人公・黒崎高志郎を平野紫耀さんが演じています。

武田P:平野さんはこれまでたくさん映画やドラマに出演していますけど、黒崎のような“ダークヒーロー”を演じたことって、台本を作っていた段階からだとあまり見たことないなと。私たちもワクワクしながらクランクインを迎えたんですけど、本当に彼の演技が素晴らしくて。

那須田P:黒崎は詐欺師を騙していく中で、さまざまな変装をするんですが、黒崎役の平野さんが本当にいろんな表情を見せてくれています。

武田P:たとえば黒島さんが演じるヒロイン・氷柱に見せる顔と、三浦さん扮する黒崎の師匠的存在の桂木に見せる顔、さらにターゲットとなる詐欺師に見せる顔など、黒崎という1人の人間の中にもさまざまな人物像があって。
その表情の変化を、黒崎という1人の人間を通して、いろんな場面で使い分けるのが、平野さんは本当に上手で、見ているこちらがすごく楽しくなる。そんな黒崎を演じてくれています。

■俳優として平野紫耀と黒島結菜の相性は良い

――2006年放送のドラマは、まだ原作コミックが連載中の時期に実写化された作品となりました。対して今回のドラマは、原作コミックのシリーズが完結した後の実写化となりましたね。

那須田P:“クロサギ”という唯一無二の存在である詐欺師・黒崎がいかにして生まれたのか。彼の復讐心がどんな事態を招いていくのか。そんな中で出会うヒロイン・氷柱とどんな運命をたどるのか。平野さんが演じる黒崎という男の運命という旅路がスタートし、どんな旅なのかということですね。

武田P:視聴者の皆さんには、黒崎がどうやって旅を終えるのかというところまでぜひ見ていただきたいです。黒崎がクロサギになるエピソードが第1話で描かれていて、物語の起点ともなる家族との思い出だったり、坂東彌十郎さん演じる宿敵・御木本との出会いも第1話で描かれます。加えて第1話以降も徐々に明かされていく真実もあります。

那須田P:キャラクターの背景や過去ももちろん描かれますし、大切な要素ではあるんですけど、黒崎がどんな人生を歩むのかが重要で。
彼の生きる道に光をさして導いていく存在が黒島さん演じる氷柱なんです。氷柱との出会いによって、黒崎がどんな未来を切り開いていくのか、そこをワクワクしながら見てほしいですね。

武田P:黒崎と氷柱に関しては、原作をお読みになっている方だと分かると思うんですけども、すごく悲しい関係。詐欺師と検事志望の女性っていう結ばれ得ない2人ではあるので、黒崎と氷柱が互いを思う心の変化みたいなところに、視聴者が切なくなったり気持ちが動いてくれるとこちらはうれしいなと。

那須田P:結ばれ得ない2人ではあるけれども、どうやって障壁を乗り越えていくか。未来を切り開いていくのか。そこには必ずヒリヒリする思いや、切なさもあるわけですよね。だからそういう点で視聴者の皆さんには、ぜひ黒崎と氷柱を応援してあげてほしいです。

――そんな黒崎と氷柱を演じる平野さん・黒島さんの現場での様子は?

武田P:2人のシーンは見ていてすごく楽しいです。黒崎は氷柱と接していく中で徐々に素に近い自分を出していきます。それにつれて出てくる言葉も変わってきますし、氷柱も等身大の女の子の反応を見せるようになる。平野さんも黒島さんも、黒崎と氷柱のシーンの撮影の時はお互いが等身大の自分で喋っているような雰囲気があるのが良いですね。


那須田P:黒い部分や悲劇的な展開もあるドラマですが、人間って24時間、悲劇の中で生きているわけではないですよね。平野さんと黒島さんが、等身大の若者として向き合う黒崎と氷柱を演じるシーンは、カラっとしていてテンポが良い。そういうところにすごく人間味も感じますし、俳優として平野さんと黒島さんの相性が良いなと思いますね。2人の感性が共鳴して、悲しさや切なさ、そして楽しさも表現してくれていると思います。

(取材・文:スズキヒロシ)

 金曜ドラマ『クロサギ』は、TBS系にて10月21日より毎週金曜22時放送(初回20分拡大)。

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