お笑いとも劇団ともまた違う、“8人組”として活動中のダウ90000。2020年の旗揚げからわずか2年ながら、M‐1グランプリ2021準々決勝進出、第43回ABCお笑いグランプリ決勝進出など、加速度的に人気と実力、知名度を上げ、東京03南海キャンディーズ山里亮太いとうせいこう、佐久間宜行プロデューサーらからも評価を受けている、いま大注目の平均年齢23歳のユニットだ。

俳優の小関裕太を主演に迎え、地上波連ドラ初登場を果たした5分15話の『今日、ドイツ村は光らない』(日本テレビ系/毎週土曜14時50分頃・Huluにて配信あり)が配信、放送中の彼ら。主宰の蓮見翔、園田祥太、飯原僚也、上原佑太、道上珠妃、中島百依子、忽那文香、吉原怜那のメンバーから、蓮見、上原、忽那、吉原4人の座談会が実現。連ドラ初挑戦の感想や、今後について語った。

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■“光らない” ドイツ村が舞台「蓮見さんらしい」

――“光らない” ドイツ村、イルミネーションが始まる前日をあえて舞台に選ぶところに、蓮見さんらしさが出ているかと。

蓮見:最初に「フードワゴンを舞台にやりたい」とお伝えしていたら、ドイツ村での撮影が可能になったので、「ならドイツ村をいじりたいな」と、そこから広がっていきました。選び方としては、たしかに自分っぽいですね。

吉原:ドイツ村というとイルミネーションが有名なんですけど、あえて“光らない”と。(選び方が)いつもの蓮見さんすぎて、その視点が独特だとかは何も思わなかったです。

上原:はたから見ればイルミネーションのあるドイツ村のほうがいいかもしれないけれど、蓮見さんは、「本人たちが楽しいなら光ってなくてもいいよね」みたいな、そういう設定を選びたがるので、らしいなと思いました。

忽那:そうですね。

■8人いれば劇場だとごまかせる表情も、映像では逃げ場がない

――普段は劇場での活動が軸ですが、今回は映像、しかもドイツ村という開けた空間でした。難しさや楽しさはありましたか?

蓮見:5分が15本なので、5分に1回見せ場がなきゃいけない。
その作り方がすごく難しかったです。演劇だと、観ていれば「そのうち何か起こるだろう」と思ってお客さんも観てくれるので、90分の中で、振りの時間というものもあるわけです。言ってしまえば、演劇は劇場に閉じ込める行為。だからそれを踏まえて書けますが、今回の場合は、「あれ?」と思ったらそこで見るのをやめられてしまう。なので、5分に1回、1話ずつに見どころがありつつ、その見どころが次につながって15話になるようにしないといけなくて大変でした。

吉原:お客さんを劇場に閉じ込めるということは、つまりは私たちも“閉じた”劇場で演劇やコントをやってるんですよね。でもドイツ村には劇場にはない風が吹いている。もう肌で感じるものから違いました。

蓮見:お互いの声が聞こえないんだよね。

上原:その逆の難しさもありました。初めてドイツ村で撮影したとき、とにかく広くて。撮影の方たちもいるんですけど、遠くにいるので、1人でポツンと立たされているような気持になっちゃうんです。
「これ、声聞こえてるのかな」みたいな。それで無意識に声を張りすぎていたらしくて。「ピンマイクがあるから大丈夫だよ」と言われてしまったり(苦笑)。表情にしても、舞台だと、8人もいるからギリ気を抜いててもバレないんじゃないかみたいな時が、正直あります(笑)。

蓮見:あるよね(笑)。

上原:でも映像だと全部ばれちゃうから。逃げ場がない。

蓮見:舞台だと緊迫感のあるシーンのときとか、恥ずかしいから後ろを向いたりしちゃうんです。それでごまかしたりするんだけど、映像だとできない。

吉原:蓮見さんは特に恥ずかしがりやだから(笑)。でも確かに、今回逃げ場がないからって逆に顔を作りすぎそうなときもあって難しかったです。

■蓮見さんが焦ってる姿は見たことがない

――蓮見さんは今回、モニターでみなさんの演技チェックもされたとか。


蓮見:はい。メンバーに「気が抜けた顔して映ってるから気を付けて」と言ったら、次は気合入りまくりの顔になっていたり。「そんなに不器用なのかよ!」となることもありましたね(笑)。

忽那:今回映像でのお芝居をしてみて、順番通りの撮影じゃないので気持ちが難しかったです。焦っている場面を撮る場合も、その前の気持ちを思い出してから、スタートの瞬間に気持ちをバッと出したりしなきゃいけなくて。

蓮見:ゼロからの挑戦になったことで、撮影期間中にみんながすごく成長しているのを感じました。まずはその場に慣れてルールを理解するところから入って、ちょっとずつ肝が据わっていった。最初に比べるとうまくなりました。でもここからどれだけ伸びられるかが勝負なんだろうと。

――メンバーから蓮見さんを見ていて、変化などは感じましたか?

吉原:これまでに蓮見さんが戸惑ってる姿って見たことがないんです。連続で全15話を書くのは蓮見さんも初めてだったと思うのですが、内心はめちゃくちゃ焦ったりしているのかもしれないけど、今回もそれを全然表に出さない。「だから人からいろいろ任されるんだろうな」と思います。
今回は小関裕太さんを主役にお呼びして、8人全員で初めて挑んだ映像でしたが、蓮見さんはブレないなと改めて感じました。

忽那:安心します。

■個々の成長が、これからのダウ90000を大きくしていく

――結成から2年、すごい勢いで活動が広がっていますが、今後のダウ90000はどうなっていけばいいと考えていますか? 吉原さんは最年少かつ学生と兼業している立場からも聞かせてください。

吉原:最年少で学生でと言っていただきましたけど、兼業というほど学業は頑張ってなくて…。

蓮見:ダブったもんな。

吉原:そうなんです(苦笑)。私はみんなより生まれるのがちょっとだけ遅かったので、お仕事がたくさんあるタイミングと卒論を書かなきゃみたいな時期が重なってしまいましたけど、正直、今はダウ90000の活動を100%でやりたいと思っています。大学に行きながら音楽をやったり、芸人をやったりと両立している人もいて、学業は学業でちゃんとやりたいという人もいます。たしかに学校も大切だと思いますが、でも私としてはダウ90000の活動を生活の軸にしたいと思っています。

上原:そうなんだ。初めて聞いた。僕はダウ90000がかなり注目されるようになったこの1年、“そわそわ”だけで過ごしてきちゃった自覚があるんです。
でもそれだけじゃダメに決まってて。自分が「ダウ90000で何ができるのか、どういう存在になれるのか」を考えている段階です。その先に、ダウ90000の人間として個人で何をしていけばいいのかが分かっていくと思っています。この1年の蓮見さんはえげつない忙しさでしたが、いつか各々のメンバーが今年の蓮見さんと同じくらいの忙しさになるときが来ると思うし、来なきゃいけないと思う。そうなるように頑張っていかないとなと思っています。

忽那:このまま蓮見さんの脚本がどんどん面白くなっていって、ダウ90000も面白くなって規模も大きくなって、続けていけるのが理想です。そしてひとりひとりがいろんなところで、いろんなものを見ていって、ダウ90000として集まることでどんどん大きくなっていければ。今は自分も足りない部分がたくさんあるので、何十年後かに、今の自分と比べてびっくりされるくらいに強化、成長したいです。

――最後に主宰の蓮見さん、お願いします。

蓮見:ダウ90000をスタートしたときに、「これはやろう、これはやりたくない」ということを何となく決めていました。なので、そこからブレたくないと思っています。舞台でもコントでも、映像のお仕事でも。
メンバーに言ったことはありませんが、口で言うのは意味がないと思っているんです。でも最近、台本を渡したときに、俺が何を面白がって書いているのかを理解してくれるスピードがどんどん早くなっている気がしていて、俺がやりたいことや、ダサいと思っていることの共通認識が、8人でできてきていると感じています。個々の仕事に出て行ったときにもそういう軸を大事にしたままやってもらえば、ダウ90000だということが薄れないまま続いていけるんじゃないかと思っています。(取材・文:望月ふみ 写真:高野広美)

 ドラマ『今日、ドイツ村は光らない』は、日本テレビ系にて11月5日・14時50分頃に最終話放送、Huluにて全話配信。

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