小栗旬が主演を務める大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合ほか)が、佳境に差し掛かっている。そんな本作について今週も、“本日活躍しそうな〇〇殿”を紹介したい。
【写真】見事な肉体美も披露! 三浦義村の名シーンを写真で振り返る
幼少期から義時と共に過ごしてきた義村は、物語序盤、義時の幼なじみとして苦楽を共にしてきた。源頼朝の出現により、互いの立場や思惑は少しずつ変化してきたものの、義時にとっては頼れる存在であった。
一方義村自身は、義時を仲間だと思いつつも「お家存続」が命題であり、源頼朝(大泉洋)の粛清や、頼朝の死去後に起こった御家人たちの権力争いのなか、常にパワーバランスを見極め、三浦家が生き残るために必要な立場を選ぶというしたたかさを見せる。過去を振り返っても、有力御家人だった梶原景時(中村獅童)を追放するために署名を作成し、畠山重忠(中川大志)の乱、和田義盛(横田栄司)が起こした和田合戦などでも暗躍した義村。
ややもすると“裏切り者”“ズルい奴”という風に映ってしまうが、そこは脚本を務める三谷幸喜による緩急と、山本の奥行きのある芝居で「義村は何を考えているんだ」というミステリアスな存在として作品に彩りを与えている。SNS上でも「みんな頼朝のせい」「みんな義時のせい」などという「ひどい!」という声よりは「何を考えているのかわからない」という謎めいた感想が多く投稿されるのも、義村の特徴だろう。
義時と義村の関係性も大いに混乱させられる。前述したように義時にとっては、願望に近いものなのかもしれないが「なにがあっても裏切らない」という頼れる心の友のような存在なのかもしれないが、義村には竹馬の友のような気持ちと、ただ北条が実権を握っているから味方になっているという打算的な考えが見え隠れし、本心が分からない。
■親友・小四郎との友情にも亀裂が…?
そんな2人の思いの違いが強く表れたのが、第45回「八幡宮の階段」で、公暁(寛一郎)が実朝を暗殺したあとの義村と義時の会話だ。義時は、公暁の実朝暗殺計画を義村がどこまで知っていたかを詰問すると、義村は「相談されたが断った」と関与を否定。この言葉を信じようとしない義時に、義村は「正直に話す」と言って、公暁に加担しようとしたが止めたと話す。
それでも義村の言葉を信用できなかった義時は「公暁が私を殺そうとしたことは知っていたのか?」と言葉を発する。首を横に振る義村だったが、義時は「私に死んで欲しかったのではないのか」と気持ちを高ぶらせる。この時の義時の表情には「お前だけは味方でいてほしい」という心の叫びがこめられているようだった。SNS上でも「義時の泣きそうな表情があまりにも切ない」「義村に裏切られたと分かっていても、確認せずにはいられない義時……」と義時に感情移入するコメントが溢れていた。
しかしそんな義時の言葉に、義村は「公暁がお前も殺そうとしているのを知ったら、俺はその場であいつを殺していたよ」と伝えるが、去り際に襟を触る仕草を見せる。この仕草は、第44回「審判の日」で義時が、義村が心と裏腹の言葉を発するとき、襟を触る仕草をすると息子である北条泰時(坂口健太郎)に話すシーンがあったため、義時は義村の言葉が嘘であったと気づいていたのかもしれない。
公式HPにアップされている第46回「将軍になった女」の予告編では、「私にはもう敵はいない」と言い放った義時が、妹である実衣(宮澤エマ)を処断しようとするシーンなどが描かれるなか、最後に義村が含み笑いを浮かべるカットで終わる。果たして義時と義村はどんな結末をむかえるのか――。2人のやり取りから一瞬たりとも目が離せない。
大河ドラマ『鎌倉殿の13人』はNHK総合にて毎週20時放送。BSプレミアム、BS4Kにて18時放送。