井上真央が主演を務めるドラマ『100万回 言えばよかった』(TBS系/毎週金曜22時)。佐藤健と松山ケンイチと共に贈るファンタジーラブストーリーとして銘打ってスタートした本作だが、回を追うごとにミステリー度が増し、実力派3人だからこその奥行きを感じさせる作品になっている。
【写真】松山ケンイチに“癒やされる”かわいいシーンを振り返り
■デビュー20年超えの実力派 今も普段は青森弁
その前に、改めて松山ケンイチ自身についてさらっと。来月38歳を迎える松山は、2001年にモデル活動からスタート。2002年にドラマ『ごくせん』で俳優デビューを飾った。
一方、バラエティ番組などの出演時からも伝わる通り、松山自身は、今でも出身地である青森の方言を話す。これは取材時でもずっと変わらない。
■本音を漏らす直木へのリアクションがかわいい
第2話。詰めた話をするために悠依(井上)と、幽霊の直木(佐藤)と共に、直木の家に入った魚住は、3人でソファに座る。このとき、悠依が魚住にだけでなく、直木のコーヒーカップも用意しているのがすてきだ。そして魚住がいわゆる通訳をしながら、直木の行動を振り返る会話が進んでいく。
たとえば、「結婚したいと言うつもりだった」とか(悠依も期待していた)、「すごく好きだって言えばよかった」など、直木の、言えなかった本音が漏れる。このときの魚住のリアクションが抜群にかわいらしくて、思わず吹き出してしまう。後輩から告白されて「イメージと違う」と振られてしまった魚住だが、恋愛に疎いらしい性格が、こうした反応からも伝わってくる。同じ第2話でも、後半に直木の部屋で再び3人がそろう場面では、悠依が直木の死を現実のものとして感じた後であり、前述の時とは空気が違うのだが、自分の存在をどうにか消しながら、それでも悠依に涙を拭いてもらおうとローテーブルの下に隠れながらBOXティッシュを渡す魚住の背中に、緊張がほぐれた。
■大号泣必至の名場面も、袖で見る魚住の存在で愛らしい場面に
第1話のラストで、ハンバーグを作るためにと直木が魚住の体へ乗り移ったが、第3話では、直木の家で、直木の幽霊と共に、悠依と魚住が料理を作った。そこで魚住が乗り移られたフリ! イケメン風に顔を作って「悠依ちゃん、ボクだよ」と言ってみせる。もちろん松山自身は役柄によってイケメンにもなれるし、実際、第1話では直木に乗り移られて料理する姿もきっちり演じていた。が、ここではそれこそきっちりイケメン“風”を見せた(※第5話では再び本当に乗り移られた芝居を演じ分けた)。
そして同じ第3話のラストには、井上と佐藤による大号泣必至の名場面が待っていた。弟を生かすためだけの存在とでも言いたげな母の、しかもそこに悪びれもないような言葉の数々が、こちらまでえぐってくる。
この名場面に、笑いを差し込むという超難題を、松山はやってのけてしまうのである。第4話冒頭、実家の寺の姉・叶恵(平岩紙)とのやりとりから、この切なく、しかし大きな愛に包まれる温かな場面を、実は魚住も目撃していたことが分かる。泣きながら。名場面に変わりはないが、袖に魚住が加わったことで、愛らしい場面にも変貌した。
さて、物語は中盤、後半へと入っていく。謎の加速とともに、答えも少しずつ見え始めるだろう。そこにあって松山の演じる癒やし魚住は大きな魅力のひとつだが、シム・ウンギョン演じる医師・宋の存在がどう動いてくるのか気になる。魚住にも、いろんな面が見えてきそうだ。(文:望月ふみ)