松岡茉優と窪田正孝がダブル主演する石井裕也監督の映画『愛にイナズマ』が、今秋より全国公開されることが決定。キャストと監督よりコメントが到着した。



【写真】2人とも芸能生活20周年 伊藤沙莉、松岡茉優との“懐かしい写真”披露

 『舟を編む』『川の底からこんにちは』の石井監督の完全オリジナル脚本による本作は、騙されて夢を全て奪われた花子(松岡)と、空気を読まない正夫(窪田)が、運命的な出会いを果たし、どうしようもないダメダメな家族の力を借りて、嘘と誤魔化しに満ちた社会に反撃を仕掛ける痛快な物語。誰もが本音を隠し、空気を読み、言いたいことも言えない鬱屈とした社会の中で、大切なものを守るために不器用でも精一杯生きる人々を、愛と希望とユーモアをちりばめながら圧倒的熱量で描き出す。

 石井監督は、「コロナ禍になって3年、私たちはずっとマスクという仮面を被って生きてきました。それが当たり前の世界だったのです。程度の差があったとしても、みんな本音や嘘をいくつもいくつも仮面の下に隠していたと思います。それをひとつひとつひっぺがして、人が隠し持っている本当のものを見つめていくような、そんな映画を作りたいと思いました」と創作の意図を明かしている。


 主演の松岡と窪田は、ともに石井監督作品への初参加となり、初共演となる。夢を奪い返す為に恋より強い共闘関係を結ぶ2人を、ロマンスを交えて演じ上げた。

 花子役の松岡は「世界の状況が変わる前から生きやすくはなかったのにもっと大変になってしまった世の中で、勝ち上がってやるんだ、という花子の全身全霊を、私が止めてなるものかと挑みました」と意気込みを語る。

 正夫役の窪田は、「人は愚かで醜いけど、命は尊く等しく重い。監督の愛と敬意と皮肉が詰まった作品になっていると思います。是非劇場でご覧ください」とメッセージを寄せた。


 さらに、花子のクセ強めな2人の兄を池松壮亮と若葉竜也、どうしようもないダメ親父を佐藤浩市を演じる。

 映画『愛にイナズマ』は、今秋より全国公開。

 キャスト、監督のコメント全文は以下の通り。

<コメント全文>

■監督・脚本:石井裕也

 この映画の英語タイトルは”Masked Hearts”です。「マスクで覆われた心」という意味です。コロナ禍になって3年、私たちはずっとマスクという仮面を被って生きてきました。
それが当たり前の世界だったのです。程度の差があったとしても、みんな本音や嘘をいくつもいくつも仮面の下に隠していたと思います。それをひとつひとつひっぺがして、人が隠し持っている本当のものを見つめていくような、そんな映画を作りたいと思いました。

 コロナ禍を経験したからこそ作れた、愛と希望に満ち溢れた映画になったと思います。超豪華な俳優たちが時にマスクをし、時に素顔で、全篇いきいきと最高の芝居をしています。特に家族がみんなで集まるシーンは、一流の俳優たちの凄みに圧倒され、撮りながら笑い転げ、本当に幸せでした。


■松岡茉優(折村花子役)

 「選択肢の連続への疲労」「正しさって何なのかわからない」

 世界の状況が変わる前から生きやすくはなかったのにもっと大変になってしまった世の中で、勝ち上がってやるんだ、という花子の全身全霊を、私が止めてなるものかと挑みました。花子と同じく、みんなにめちゃめちゃ愛してもらって、出来上がった作品です。あなたに届きますように。

■窪田正孝(舘正夫役)

 ぜんぶ世の中が悪い。仕方がない。人も自分も嘘と言い訳でごまかして都合の悪いこともぜんぶ無かったことにする。
そんな理不尽に抗う、とある家族の物語です。

 人は愚かで醜いけど、命は尊く等しく重い。監督の愛と敬意と皮肉が詰まった作品になっていると思います。是非劇場でご覧ください。

■佐藤浩市(折村治役)

 創造をすること、人を愛することは、流れも深さも判らない川を泳ぎ続ける様なものです。石井裕也監督はその2つを同じ高さの目線で語ってくれます。
決して泳ぎを止めてはならないと。

■池松壮亮(折村誠一役)

 布に覆われた哀しみを、悔しさを、やるせなさを、怒りを今この主人公は、あらゆる欺瞞を越えて剥がしていく。社会に隠蔽された心を、消えゆく尊厳を、証明できない存在や愛を、イナズマが照らす。それでも人でありたいと願う憎まれっ娘が、恋人や家族を巻き込んで世にはばかる、明日への逆転反逆ファミリーラブコメディです。

 どうか、コロナを共に経験し共に生きる誰かの、逆境だらけの誰かの、破れた心にイナズマを。

■若葉竜也(折村雄二役)

 この映画の『愛にイナズマ』というタイトルに敵う文章がないので、コメントを書くのが恥ずかしくなります。

 この映画に映るイナズマが嘘みたいに軽薄でヘラヘラした時代にヒビをいれてくれたらいい。この映画に映るイナズマが誰かの一縷の希望になればいい。そんな事を考えながら現場にいました。