女性初の欧州議会議長となったフランスの政治家シモーヌ・ヴェイユの生涯を描くオリヴィエ・ダアン監督作『Simone(原題)』が、邦題を『シモーヌ フランスに最も愛された政治家』として7月28日より公開されることが決定。予告編、日本版ポスタービジュアル、場面写真が解禁された。



【動画】最も強く、最も優しき、奇跡の人・シモーヌを描く予告編

 本作は、『エディット・ピアフ ~愛の讃歌~』(2007年)でエディット・ピアフ、『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』(2014年)でグレース・ケリーを描いたオリヴィエ・ダアン監督による“世紀の女性”3部作のラストを飾る伝記ドラマ。アウシュビッツを生き抜き、人権のためにフランス議会で闘い、女性初の欧州議会議長となったシモーヌ・ヴェイユの誇り高き生き様を描く感動の物語だ。

 1974年パリ。カトリック人口が多数を占め、更に男性議員ばかりのフランス国会で、シモーヌ・ヴェイユ(エルザ・ジルベルスタイン)は、レイプによる悲劇や違法な中絶手術の危険性、若いシングルマザーの現状を提示して「喜んで中絶する女性はいません。中絶が悲劇だと確信するには、女性に聞けば十分です」と訴える。そして圧倒的反対意見をはねのけ、後に彼女の名前を冠してヴェイユ法と呼ばれる中絶法を勝ち取った。


 さらに1979年には女性初の欧州議会議長に選出され、大半が男性である理事たちの猛反対の中で、「女性の権利委員会」の設置を実現。女性だけではなく、移民やエイズ患者、刑務所の囚人など弱き者たちの人権のために闘い、フランス人に最も敬愛された女性政治家となった。その不屈の意志は、かつてアウシュビッツ収容所に送られ、“死の行進”、両親と兄の死を経て、それでも生き抜いた壮絶な体験に培われたものだった―。

 本国フランスでは、公開初週でNO.1に躍り出た後10週連続トップ10入りのロングランヒット、240万人を動員し2022年フランス国内映画の年間興行成績NO.1の記録を樹立した。2017年にシモーヌ本人が89歳で生涯を閉じた際には、国中が死去のニュース一色となり、国葬が執り行われ、キュリー夫人などの偉人たちが眠るパンテオンに5人目の女性として合祀されたが、未だその人気は衰えないことが証明された。

 主演のエルザ・ジルベルスタインは、シモーヌを演じるにあたり8kg増量。
彼女の威厳ある演技、当時を再現した豪華な美術、カール・ラガーフェルドがシャネルのアトリエで特別にデザインする程ファッションも愛したシモーヌの衣装も見どころだ。

 予告編は、家庭に入り学業を断念した母が幼いシモーヌに「勉強して自立しなさい。女性も働かないと」と言い聞かせる場面からスタート。そして16歳で家族とともにアウシュビッツ強制収容所に送られ、壮絶な体験を強いられた記憶が描かれる。

 生き延びたシモーヌは結婚し子育てをしながらパリ政治学院を卒業し、周囲に反対されながら、男性優位社会の中でキャリアを積んで司法官となり、劣悪な刑務所内の環境や囚人たちの待遇の改善に奔走。やがて政界入りし保健大臣となった彼女が、反対派多数の中、中絶法成立のために闘う姿、欧州議会で弁舌を振るう姿が次々と映し出され、シモーヌの誇り高き不屈の人生が垣間見える予告編となっている。


 日本版ポスタービジュアルは、シモーヌが、フランスから強制収容されたユダヤ人の名前が刻まれた「Wall of Names」を見つめる姿を切り取った場面写真からデザインされたもの。トリコロールの色調がシモーヌを包み込み、「世界を変えた、崇高なる不屈の魂」というキャッチコピーが添えられている。

 映画『シモーヌ フランスに最も愛された政治家』は、7月28日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開。