向井理が主演を務め、水川あさみと夫婦役を演じる舞台『リムジン』が、11月3日~26日に東京・本多劇場にて上演されることが決定。東京公演後は富山、愛知、熊本、福岡、広島、大阪にて巡演となる。
【写真】共演者の姿も!2020年に解禁されたビジュアル 舞台『リムジン』
本作は、主人公の男が自己保身のためについた1つの嘘が、次の嘘を呼び、逃げ場のないところまで追い詰められていく恐怖を、ブラックな笑いを交えて描くサスペンス。倉持裕の新作として2020年に上演予定だったが、コロナ禍の影響で稽古前に全公演中止が発表されていた。今回の上演は、2020年に予定されていたものと同キャストで行われる。
主演には、倉持とは初顔合わせの向井理、ヒロイン役には、舞台出演が8年ぶりとなる水川あさみ。共演は小松和重、青木さやか、宍戸美和公、田村健太郎、田口トモロヲ。
小さな田舎町で、親から受け継いだ小さな工場を営む主人公の男(向井)。彼は町の実力者に気に入られ、自分の後継者にと推薦されていた。その地位につけば、名誉と特別な待遇が与えられる。妻(水川)と共に喜ぶ男。しかし、喜びもつかの間、彼は誤って、昇進に尽力してくれた恩人にけがを負わせてしまう。「一言謝れば済む話よ」と、ためらう夫に妻は言うが、つかみかけた未来が遠のくことに耐え切れずついた嘘が次の嘘を呼び、夫婦は取り返しのつかない事態を招いてしまう。重ねた罪に比べて実入りの少ない、あまりに非効率な夫婦の悲喜劇。
向井は本作の上演について、「当時のコメントでも延期という言葉を使わせていただきましたが、長い延期期間でした。当時諦めざるをえなかった思いをバネに、今年上演できて良かったと思えるよう強く繊細に演じられればと思います」と意気込む。
水川も延期した背景を踏まえ、「当時はさまざまな人が、仕方ないの一言では済ませたくない悔しい思いを経験したでしょうし、私もその1人です。3年前の感覚とはきっと変わっているであろう私自身も、この舞台で何が知れるのか倉持さんと演者の皆さんと探りながら楽しみたいです」と語る。
作・演出の倉持は、2020年当時において「ささやか」や「些細」なことを扱ったドラマはウケなかった気がすると語ったうえで、「しかしこの3年の間に我々は、以前ならどうということのない些事に何度となく歓喜した。そうして『ささやか』で『些細』なものが再評価された今、この作品を発表することが楽しみでならない」と明かした。
M&Oplaysプロデュース『リムジン』は、東京・本多劇場にて11月3日~26日上演。東京公演後は富山、愛知、熊本、福岡、広島、大阪にて順次上演。
※コメント全文は以下の通り
<コメント全文>
■向井理
2020年、コロナ元年に上演予定だった舞台『リムジン』が遂に上演されます。当時のコメントでも延期という言葉を使わせていただきましたが、長い延期期間でした。当時諦めざるをえなかった思いをバネに、今年上演できて良かったと思えるよう強く繊細に演じられればと思います。
個人的にはよく観劇に行っていた下北沢の本多劇場。
■水川あさみ
3年という延期期間を経て、いよいよ上演できる運びとなりました。当時はさまざまな人が、仕方ないの一言では済ませたくない悔しい思いを経験したでしょうし、私もその1人です。
3年前の感覚とはきっと変わっているであろう私自身も、この舞台で何が知れるのか倉持さんと演者の皆さんと探りながら楽しみたいです。劇場でお待ちしております。
■倉持裕(作・演出)
もともと2020年に上演予定だったこの芝居は、ある夫婦がささやかな願望のために些細な嘘をつくところから始まるのだが、振り返ってみると、あの時仮に公演を強行したとしても、世界規模の問題が起きている中、「ささやか」だとか「些細」なことを扱ったドラマはウケなかった気がする。
しかしこの3年の間に我々は、以前ならどうということのない些事に何度となく歓喜した。そうして「ささやか」で「些細」なものが再評価された今、この作品を発表することが楽しみでならない。