いよいよ始まる夏ドラマ。今期は夏らしい爽やかな恋愛作品から、田園でぼっ発する怪事件を追うミステリーに、大ヒット学園ドラマを手掛けたスタッフによる新たな学園ドラマと、今からスタートが楽しみな作品が出そろった。

本稿ではそんな期待のドラマ3作を紹介しよう。

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月9に恋愛ドラマが帰ってきた 『真夏のシンデレラ』

 フジテレビの老舗ドラマ枠「月9」が今期放送するのは、森七菜、間宮祥太朗をダブル主演に迎えた『真夏のシンデレラ』(フジテレビ系/毎週月曜21時)だ。本作は、オリジナル脚本による男女8人の恋愛群像劇。海辺で一緒に生まれ育った“海辺のシンデレラ”である女友達3人組と、東京の一流大学で優等生な日々を送る男友達が運命的に出会い、恋模様を描く。森と間宮のほか、神尾楓珠、吉川愛、萩原利久、白濱亜嵐、仁村紗和、水上恒司ら若手人気キャストが名を連ねる。

 かつて“月9”といえば恋愛ドラマが主流で、“月曜日の夜は街からOLが消える”と言われるほど、女性視聴者のバイブル的な人気を誇っていた。
しかし近年では『コンフィデンスマンJP』、『SUITS/スーツ』、『ミステリと言う勿れ』、前期の『風間公親-教場0-』と非恋愛ドラマが主流で、むしろ恋愛色を避けてきたとすら言える。そんな中、ここに来て王道の恋愛ドラマが帰ってきたのは注目に値する。

 また、森にとっては2020年10月期で大ヒットしたドラマ『この恋あたためますか』(TBS系)以来、実に約3年ぶりという地上波連ドラ主演で、ファン待望の1作だ。ティザー動画では、“海の女”を演じる森のノースリーブ姿がまぶしい。

 さらに同じ動画では、真夏のシーサイドのロケーションが切り取られ、森らがサップに興じる姿や打ち上げ花火を見上げる姿も。80年代から90年代にかけてフジテレビがブームを巻き起こし、視聴者を憧れの世界に連れて行った「トレンディドラマ」を思い起こさせる。
TVerなどオンライン視聴の普及で場所と時間を選ばなくなった現代、“街からOLが消える”ことはもうないかもしれないが、一大ムーブメントを巻き起こすかもしれない。

池井戸潤作品でも“異色のミステリー”を人気俳優で映像化『ハヤブサ消防団』

 次に挙げたいのは、中村倫也の主演する『ハヤブサ消防団』(テレビ朝日系/毎週木曜21時)だ。本作は、山間の小さな集落を舞台にした田園ミステリー。中村が演じるのは、スランプ気味の作家・三馬太郎だ。亡き父の故郷、“ハヤブサ地区”に移住した太郎が、地元の消防団に加入したことを機に連続放火や住民の不審死など怪事件に次々と遭遇。ハヤブサ地区を守るべく真相を追ううち、集落の奥底にうごめく巨大な陰謀に突き当たる、というストーリーだ。
中村は、地上波としては昨年7月期の『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』(TBS系)以来、そして3月に日本テレビの水卜麻美アナとの結婚を発表して以来、初の連ドラ主演となる。

 また原作は、これまでドラマ『半沢直樹』シリーズ、『下町ロケット』シリーズ(ともにTBS系)、映画『空飛ぶタイヤ』、『七つの会議』など、数多くの映像化作品を手掛けてきた池井戸潤氏の小説。池井戸氏と言えば、企業や町工場、銀行を舞台に、サラリーマンをヒーローにすえてきた作品が多いイメージだが、本作の主人公は売れない小説家で、田園を舞台にしたミステリー。これまでとは一味違う池井戸作品で、中村がどんな演技を見せるかが注目だ。

 さらに、ヒロインとして出演するのは川口春奈。中村とは、15歳のときに出演したドラマ『ヤンキー君とメガネちゃん』(TBS系)以来、実に13年ぶりの共演となる。
川口が演じるのは、太郎と同様、東京からハヤブサ地区に移り住んだ美貌を持つ映像ディレクター・立木彩。ひと目見るなり太郎にとって気になる存在になるが、実は彼女には集落の闇につながる衝撃の過去がある。太郎の心、そしてストーリーを静かにかき乱していく“疑惑のヒロイン”という役どころで、中村と起こすケミストリーにも期待が集まる。

『3年A組』スタッフが仕掛ける学園ドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』

 最後に挙げたいのは、松岡茉優が主演する『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ系/毎週土曜22時)だ。本作は完全オリジナル脚本の学園ドラマ。松岡が演じる鳳来高校3年D組の担任・九条里奈は、卒業式の日に「担任生徒の誰か」に突き落とされてしまう。
そこから里奈が1年前の始業式の日にタイムリープし、自分を殺害する「30人の容疑者」=生徒たちと向き合い、再教育するという物語だ。

 何と言っても本作の注目ポイントは、『3年A組 -今から皆さんは、人質です-』(同系)を手掛けたプロデューサーと監督による学園ドラマという点。『3年A組』は、菅田将暉演じる3年A組の担任・柊一颯がクラス全員を人質にとって教室に立てこもる学園ミステリーで、ある生徒の死の真相、そしてそれを踏まえた柊の“最後の授業”は多くの視聴者の涙を誘い、SNSで熱狂を巻き起こした。そんな『3年A組』コンビが仕掛ける同じ学園ドラマの本作は、期待しかない。

 日本テレビ系で「時間をさかのぼって人生をやり直す」という設定では、ジャンルこそ違うものの、ドラマ『ブラッシュアップライフ』の大ヒットが記憶に新しい。また、ミステリーでタイムリープものと言えば『テセウスの船』(TBS系)や映画『僕だけがいない街』など名作が多い。
本作も『3年A組』級の熱狂を巻き起こすかもしれない。

 さらに生徒役にも注目だ。高校卒業後初のドラマ出演となる芦田愛菜のほかにも、窪塚洋介の長男で俳優、モデルの窪塚愛流や、公開中の映画『君は放課後インソムニア』で森七菜とダブル主演を務めた奥平大兼、人気TikToker、モデルの莉子に『どうする家康』(NHK総合ほか)で16歳にして大河ドラマデビューを飾った當真あみも名を連ねる。『3年A組』も生徒役で福原遥、上白石萌歌、大原優乃、富田望生らを輩出した。のちに「『最高の教師』出演で注目を集めた~」と紹介される次代のスターが誕生するかもしれない。

 『真夏のシンデレラ』はフジテレビ系にて7月10日より毎週月曜21時、『ハヤブサ消防団』はテレビ朝日系にて7月13日より毎週木曜21時、『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』は日本テレビ系にて7月15日より毎週土曜22時放送。