森七菜×間宮祥太朗がダブル主演する、真夏の海が舞台の男女8人による恋愛群像劇『真夏のシンデレラ』(フジテレビ系/毎週月曜21時)。4日に放送された第9話は、地獄の四角関係デートに「気まずさ満点」などの声が上がっていた。

※本記事はネタバレを含みます。ご注意ください

【写真】皐月がまたもトラブルの種に!? バチバチな予感させる『真夏のシンデレラ』第10話

■問題なのは皐月よりも健人なのでは?

 みんなの優しいおせっかいのせい(?)で、蒼井夏海(森)は水島健人(間宮)と牧野匠(神尾楓珠)、そして安藤皐月(山崎紘菜)とともに、アーティストのライブに参戦することになってしまった。SNS上でも、「この4人でライブって、どういう関係よ」「どんなに好きなライブでも両サイドに恋敵スタンバイとか地獄では?」などの声が上がっていたが、心からそう思う。

 しかも、ライブ後のランチで、トラブルメーカー皐月がまた夏海にケンカをふっかける。「いくら好きだとしても、親が受け入れてくれない相手とは、最終的にうまくいかなくなっちゃうよね」という言葉の中には、“夏海と健人は住む世界が違う”という嫌味が含まれていたのだろう。

 ただ、そこでなぜ健人が救いの手を差し伸べてあげないのか。親が厳しいのは分かるが、夏海の心を少しでも安心させてあげるようなことを言ってあげればよかったのでは? と思ってしまう。「それは、関係ないんじゃないですか。お互いに好きだったら、まわりの意見なんか気にしなくていいと思うけど」という匠の言葉は、健人が言ってほしかった。

 やっぱり、健人もどこかで気づいているのだろうか。夏海との将来が具体的に描けないこと。結婚するとなっても、確実に父親に反対されることを。
間宮の切ない横顔を見ていると、「仕方ないよね…」と同情してしまう気持ちにもなるが、「夏海を救うのは健人しかいないんだよ!」と言いたくなる自分もいる。住む世界が異なり、それぞれ抱えているものがある2人が同じ道を歩むには、どうすればいいのだろう。

■一方、匠は告白し…

 正直なところ、筆者は「匠がどんなに巻き返しを図ってもだまされない!」と思っていた。なぜなら、彼はたくさん夏海を傷つけてきたから。誕生日の約束も、好きだった女・長谷川佳奈(桜井ユキ)にうつつを抜かしてすっぽかすし、夏海の告白にも「女として見られない」と断った。

 もちろん、女として見られないのなら、告白は断るべきだ。好きでもない相手と無理して付き合えとは言わない。ただ、匠は振った側としての責任をちっとも果たしていないのだ。

 夏海は、匠のことを忘れるために、頑張って前を向こうとしていた。それなのに、突然キスをして、惑わせてきたのが許せない。その後も、夏海と健人がいい雰囲気になったらブスッとしたり…。「どんだけワガママなやつなんだ!」と心のなかでツッコミを入れていた人も多いのではないだろうか。


 だが、なんだかんだで夏海のことをいちばん分かってあげているのは、匠のような気がしてしまうのだ。それは、過ごした時間の長さや、積み重ねてきた思い出の数だけの問題ではない。匠は、どんな時でもずっと夏海のことを見ている。たまに「なんか怒ってる?」と勘違いしてしまうくらい真剣に。夏海が悲しまないように、誰も夏海を傷つけないように、と周囲をけん制しているように見える(一番傷つけたのは匠なのだが…)。

 それに現実的なことを考えると、夏海が父と弟を残して、健人が住む東京に行くのは難しい。健人もよく夏海の店に遊びに来てはいるが、移住となると別の問題が発生してくるはずだ。ならば、地元民で家族同士も仲が良い匠の方が、将来を考えられるのでは? と思ってしまう。

 しかし、“好き”は条件で決まるものではないから、さらに難しい。いろいろな壁はあるけれど、夏海が好きなのは健人なのだろう。ただ問題なのは、壁を乗り越えても一緒にいたいと思えるほど、健人のことが好きなのかどうか。

「今までも、これからも、ずっと夏海のそばにいさせてほしい」

 ラストの匠の告白に、SNS上では「今までのこと全部水に流せちゃうくらいにキュンキュンしちゃった」との声が上がっていた。
夏海も、すべてを忘れて、また一から匠と向き合うことができるのだろうか。それとも、やっぱり“好き”の気持ちに忠実になり、健人を選ぶのか。

 結末が分からなくなってきた『真夏のシンデレラ』。ラストスパートも、このトレンディー感を全力で楽しんで行きたいと思う。(文:菜本かな)

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