本木雅弘と滝藤賢一が初共演するテレビ朝日 ドラマスペシャル『友情~平尾誠二と山中伸弥「最後の一年」~』が、テレビ朝日系にて11月11日21時に放送されることが決まった。
【写真】平尾誠二役演じる本木雅弘&山中伸弥役を演じる滝藤賢一
本作は、日本のラグビー界の礎を築いたと言われる平尾誠二さんと、「ヒトiPS細胞」の研究でノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授の知られざる友情物語をドラマ化。
平尾誠二(本木)は、日本代表としても活躍した元ラグビー選手で、神戸製鋼コベルコスティーラーズ総監督兼ゼネラルマネージャー。日本代表監督なども歴任し、名実ともに“ミスター・ラグビー”と呼ばれた伝説のラガーマンだ。「2019年のワールドカップ日本大会を成功させたい」、そして「1試合でもいいから、東日本大震災の被災地・岩手県釜石市で試合を行いたい…」と、熱い思いを抱いていた矢先、彼を襲ったのは突然のがん宣告。普通ならろうばいするところ、持ち前の明るさとおおらかさで「なってしまったもんはしゃあない」と冷静に受け止め、病と闘う決意を固める。
そんな平尾を家族とともに支え続けたひとりの親友がいた。その人物は、山中伸弥(滝藤)。2012年に「ヒトiPS細胞」の研究でノーベル生理学・医学賞を受賞した医師だ。
ラグビーと医学…全く異なる分野で活躍する2人の出会いは、2010年に実現した雑誌の対談。意気投合したふたりは、急速に親交を深め、やがて家族ぐるみの付き合いをする親友に。40歳半ばを過ぎてできた親友と、いつまでもこんな関係を続けていけたら…。
本作では、前向きに病と闘う平尾と、医師として治療法や病院探しに奔走し、最後まで親友に寄り添い続けた山中の友情、そして平尾の意志を尊重し、優しく見守り続けた家族の深い愛情を描く。
これは、厳しい状況にもめげず、病と闘い続けた平尾と山中、そして家族が過ごした最後の一年の物語。本木が「それぞれ既に確固たる立場にある多忙な大人2人が、利害関係なしに友情を結んでいく様子が心地良く…人間同士が心を通わせ、見守り合う、という姿がシンプルに素敵だなと思わせてくれる作品です」と語る通り、闘病生活という重いテーマながら、友人や家族の深い絆に気付かされるヒューマンドラマであり、大きな“愛の物語”でもある。
撮影初日、「平尾さんを演じるというプレッシャーというか畏れ多さというか…正直、なかなか覚悟がつかないままクランクインを迎えました」と語った本木。その言葉どおり、撮影中も非常に悩み、迷って、苦しんだようで…。その姿を目の当たりにした滝藤も、「これだけの俳優さんでもこんなに苦しみながら、迷いながら、平尾誠二さんという人間を作っていくんだなという姿を間近で見せていただいて、すごく刺激を受けました」としみじみ。
さらに、病に侵されていく様を体現するため、本木は撮影中に10kg減量するなど、壮絶ともいえる役作りで平尾さんに近づいていった。
山中教授を演じた滝藤も「世界的に有名な方なので、演じることは困難なチャレンジになるだろうと感じていました」とポツリ。しかし、「僕の言葉、リアクションはすべて本木さんによって生まれると信じて疑わなかったので、『僕は本木さんしか見ていません』というようなことも、本木さんにお伝えさせていただいたように思います」と言うように、山中教授に寄せようとするのではなく、本木のセリフを受けて湧き上がった感情のままに芝居をする、「いかに本木さんとセッションするか」を考え、役に入っていったという撮影の様子を語った。
脚本を手掛けたのは、『Dr.コトー診療所』(2003年)、『リエゾン‐こどものこころ診療所‐』(2023年)などヒューマンドラマの名手・吉田紀子。
主題歌は松任谷由実の「ノーサイド」に決定。松任谷がラグビーの試合を見て感動して書いたという、本作の世界観にマッチする楽曲だ。本木も「プロデューサーの方から、この楽曲を考えていると撮影現場でお聞きした時に、嬉しさのあまり、妻役の女優さんと一緒に思わず口ずさんでいました!」と大喜びで、「ノーサイドという言葉には、『試合が終われば、敵、味方もなく、勝ち負けを越えて互いを讃えよ!』というラグビーの精神が込められているそうです。それが示すように、全ての人生を包み込む名曲だと思います」と語った。
テレビ朝日 ドラマスペシャル『友情~平尾誠二と山中伸弥「最後の一年」~』は、テレビ朝日系にて11月11日21時放送。
本木、滝藤のコメント全文は以下の通り。
<コメント全文>
■本木雅弘(平尾誠二役)
平尾さんを演じるプレッシャーというか畏れ多さというか…正直なかなか覚悟がつかないままにクランクインを迎えました。でも、初日の撮影で、平尾さんが1986年の神戸製鋼入社以来、30年間通い続けた灘浜グラウンドという聖地に立たせていただき、この作品に命が宿り始めた実感が湧きました。私自身はスポーツに疎いのですが、知れば知るほど、平尾さんの言う「人間の力というものの可能性」を夢見させてくれるのがラグビーなんですね。あのグラウンドにはそういった煌めきが散りばめられている感じがして、とても眩しく見えました。
「こんな男はもう出現しない。
今作で初めて知った平尾さんと山中教授の関係ですが、普段、冷静沈着に映る山中さんが、実はラグビー経験者で情に厚い方と知って新鮮な驚きがありました。胸にたっぷりの情を抱えた方のイメージで、いつもジワっと瞳を潤ませ、心を寄せてくるお芝居が印象的な滝藤さんは適任だと思います。事実、山中さんが平尾さんに誠心誠意の伴走を繰り広げたのと同じく、自分にとっても滝藤さんの静かな包容力が響き伝わり、平尾さんを演じる中で大きな支えになりました。
そして、本当は秘めておくべき事かもしれませんが、実は今回、ご遺族さまのご厚意により、平尾さんが実際に愛用、着用されていた品々をいくつかお借りすることができました。大変恐縮しながらも袖を通させていただき、身に纏うと、これ以上にない大きな力が吹き込まれた思いがしました。物語の中で、家族、仲間に宛てたさりげなく深い愛情の込められたそれらの言葉は、正に平尾さんを通して発せられたものという気がします。淋しさも募りますが、このような形で平尾さんと共演できたことは、役者としてとても貴重かつ幸せな体験でした。
2023年ラグビーワールドカップの盛り上がりを期待するのは勿論のこと、「友情」という作品を通して、山中さんと平尾さんの思いを皆さんで共有し、日本ラグビーが、より拡く深く愛されていくことを心より願っています。
■滝藤賢一(山中伸弥役)
中盤以降は辛く苦しいシーンが多かったのですが、本木さんはじめ笑顔あふれるキャストの皆様、藤田監督率いる優秀なスタッフの皆様のおかげで、最後まで心穏やかに作品と向き合うことができました。
そしてなんと、山中さんも撮影の見学に来てくださったんです。テレビで拝見していると、厳しい表情をしていらっしゃることが多い印象でしたので、ドキドキしましたが、目の前にいらした山中さんは、とても穏やかで謙虚な方で感動しました。
山中さんは世界的に有名な方なので、演じることは困難なチャレンジになるだろうと感じていましたが、本木さんにお会いしたら、その不安も吹っ飛びましたね。本木さんは憧れの俳優さんです。僕は学生時代から、そしてこの世界に入ってからも本木さんの作品を何本も拝見しております。本木さんとの撮影はとても幸せな時間でした。僕の言葉、リアクションはすべて本木さんによって生まれると信じて疑わなかったので「僕は本木さんしか見ていません」というようなことも、本木さんにお伝えさせていただいたように思います。
本木さんは現場ですごく悩みながら平尾誠二さんを構築されていたように思います。これだけの俳優さんでも、苦しみながら、迷いながら、平尾誠二という1人の人間を作っていく。その様を間近で見せていただき、感慨深く、とても刺激を受けました。そして食事制限をされ、とても短い期間で10キロ以上体重を落とされた姿を見た時は衝撃でした。絶句しましたよ。
現在、『ラグビーワールドカップ2023』が盛り上がっているところですので、僕も全力で楽しみたいです。そして、多くの子どもたちがラグビーを好きになり、始めてくれたら最高ですね。この作品が、その後押しをできたらうれしいです。