伊藤万理華が主演するドラマ『パーセント』が、NHK総合にて5月11日より放送されることが決定した。

【写真】土曜ドラマで共演する伊藤万理華と和合由依

 本作は、多様性実現を掲げるテレビ局を舞台に、新人女性プロデューサー・吉澤未来(伊藤)が、俳優を目指す車椅子の高校生・宮島ハル(和合由依)と出会い、「新しい時代のドラマ」作りに臨む物語。

憧れを抱いてドラマの世界に飛び込むも、性別や障害で語られる自らの“価値”に、何度も悩み、傷つく2人。それでも、お互いの存在に力をもらい、少しずつ前に進みながら希望を見出していく。脚本は大池容子、音楽は池永正二が担当する。

 企画は、テレビ局が「多様性」にしっかりと向き合えているのだろうか、という自分達に対する疑問からスタート。これまで「当たり前」とされてきた表現も、実は誰かを軽んじたり、傷つけたりしていたんじゃないか。そのことを改善しようと、いち早く動いたのがイギリスの公共放送BBCで、性別や障害、人種による差別を無くし、出演機会を増やすため「出演者の○%にマイノリティを起用する」という目標を定め、実行したという。


 マイノリティが参加する%(割合)を増やし差別を是正することを、「ポジティブ・アクション」といい、数を合わせることが重要なのではなく「意識改革」が目的。NHKの制作現場でも、もっとアップデートできることがあるんじゃないか、という思いから、まず初めに行われたのはオーディションだった。

 特に今回は「障害のある俳優」を排除することなく起用したいという思いから年齢・性別等の枠を設けずに実施し、100人以上の俳優が参加した。魅力あふれる表現者たちを目の当たりにして、制作陣は「出演者に障害者を起用する%を増やすこと」を考えたといい、本作はそんな自分たち自身の気づきや、障害のある方への取材で得たエピソードを反映した実録ドラマ。これからのテレビ局が「どうあるべきか」という自戒と、「こうしていきたい」という希望を込めた作品となっている。

 俳優を目指す車椅子の高校生・ハル役に抜擢されたのは、東京2020パラリンピック開会式の「片翼の小さな飛行機」役として主役を務めた和合由依。
今回がドラマ初出演だが、南野彩子プロデューサーは「彼女の芝居をオーディションで見たとき、『この人と一緒にドラマを作りたい!!』と、心が震えました」と振り返る。

 和合は「宮島ハルに出会って、私はこれからを生きていくための力をもらえた気がします。『自分を生きる』ってとても難しい。何かにもがいてはまた1からスタートして、その度に自問自答を繰り返して、自分を見つめ直す。人生ってそう簡単に進まない。だからこそ人は生きれば生きるほど強くなる。
この作品を通して、宮島ハルを演じて、私は『生きる』ということについて考え直しました」と思いを語る。

 また、本作でNHKドラマ初主演となる伊藤は「最初は好奇心と恐れで意気込み過ぎていましたが、それは杞憂でした。ハルを演じたユイちゃんのまなざしに何度も胸を打たれ、引っ張られました。頑なにならずもっとシンプルに、素直に対“人”、対“あなた”に精一杯言葉を尽くす。ずっと大切にしてきたことを未来と重ねながら、少しの感情も逃さずに向き合った作品です」とコメント。

 脚本の大池は「『パーセント』を書くにあたって、プロデューサーの南野さんをはじめとするチームの皆さんと、一年以上、会議や取材を重ねてきました。
その中で知ったこと、感じたこと、そして障害のある俳優の皆さんと出会い、『この人たちと作品をつくりたい!』という気持ちが湧き上がってきたことを、主人公・未来の視点を通してふんだんに、正直に台詞の中に盛り込みました」としている。

 ドラマ『パーセント』は、5月11日よりNHK総合にて毎週土曜日22時放送、BSP4Kにて毎週土曜9時25分放送。

 ※キャスト、スタッフのコメント全文は以下の通り。

■伊藤万理華
 人との距離感に境界線がなくなればいいのに。

 数年前から、物創りを通して考えていたタイミングで『パーセント』のお話をいただきました。

 最初は好奇心と恐れで意気込み過ぎていましたが、それは杞憂でした。


 ハルを演じたユイちゃんのまなざしに何度も胸を打たれ、引っ張られました。

 頑なにならずもっとシンプルに、素直に対“人”、対“あなた”に精一杯言葉を尽くす。

 ずっと大切にしてきたことを未来と重ねながら、少しの感情も逃さずに向き合った作品です。

 ハルと未来の新鮮な煌(きら)めきが『パーセント』に詰まっています。

 未来として『パーセント』を作ることができ幸せです!

■和合由依
 宮島ハルに出会って、私はこれからを生きていくための力をもらえた気がします。

 「自分を生きる」ってとても難しい。
何かにもがいてはまた1からスタートして、 その度に自問自答を繰り返して、自分を見つめ直す。

 人生ってそう簡単に進まない。だからこそ人は生きれば生きるほど強くなる。

 この作品を通して、宮島ハルを演じて、私は「生きる」ということについて考え直しました。

 日々成長していくハルと一緒に私も成長できた気がします。

 泥臭い部分を持ちながらも、一つ一つの出来事と向き合って一生懸命に生きる彼女の姿ものぞきながら、このドラマが誰かにとって“明日も頑張ろう“と思える、背中を押してくれる作品となりましたら幸いです。

■脚本・大池容子
 『パーセント』を書くにあたって、プロデューサーの南野さんをはじめとするチームの皆さんと、一年以上、会議や取材を重ねてきました。その中で知ったこと、感じたこと、そして障害のある俳優の皆さんと出会い、「この人たちと作品をつくりたい!」という気持ちが湧き上がってきたことを、主人公・未来の視点を通してふんだんに、正直に台詞の中に盛り込みました。アットホームな撮影現場で、スタッフさん、キャストさんが真摯(しんし)に試行錯誤を重ねて、その思いを具現化してくださいました。ドラマの現場、あるいは世間一般で常識や普通とされているものを疑うような投げかけができればなあ、と思っています。

■プロデューサー・南野彩子
 数年前、私は1人の俳優の履歴書を前に頭を抱えていました。その俳優は車椅子に乗っていました。私は思わず、「障害のある人って、撮影現場にお迎えできるんだっけ……」そんなことを考えてしまいました。私のその偏見こそ、彼のような俳優の活躍の場を狭めてきたんじゃないか。そんな思いから、障害のある俳優さんたちを拒むことのない撮影現場を作りたいと、企画を出しました。

 けれど、撮影の準備を進める中で、何度も「これでいいんだろうか」と立ち止まってしまいました。例えば、障害のある俳優を起用するためオーディションを開催しようとすると、募集要項が書けないんです。「多様性のために」とか「こんな時代だから」とか言葉を並べるほど、なんだかきれい事を言いたくて人を利用しているような感覚になりました。「障害があるから」という理由で人を選ぼうとしている時点で何か間違っているんじゃないか。そもそもなぜ、障害者と健常者って線を引いているんだっけ……。「あなた」と「わたし」、ただ1対1の関係を築きたいのに、それを阻むものはなんだろう。考えれば考えるほど、自分がどう他者と向き合ったらいいかわからなくなってしまいました。

 それを業界の話にとどめず、人が人と出会う尊さ、関係を築く難しさ、それでも対話することの大切さ…いまを生きる生身の人間の物語として、作り上げてくれたのが、脚本の大池容子さんです。そして主人公・未来(みく)を演じるのは伊藤万理華さん。未来は様々なモヤモヤを抱えてもがき続ける人物なのですが、そんな未来の気持ちを全身全霊で表現してくれました。さらに、未来に大きな影響を与える人物・ハルを演じるのは、ドラマ初出演の和合由依さんです。彼女の芝居をオーディションで見たとき、「この人と一緒にドラマを作りたい!!」と、心が震えました。未来とハル、2人の出会いから生まれた様々な感情を、是非お楽しみいただけたら幸いです。