音楽を表現する形…その方法は無論、人により千差万別である。バンド「ヒトリエ」でヴォーカルとギターを務めるwowakaも、その違いを身をもって体感してきた1人だ。
かつてのバンド活動の自然消滅、“現実逃避P”の愛称でボカロPとしての活躍。そして、再びバンド結成と共にメジャーシーンへと飛び出し、遂に2ndミニアルバム『モノクロノ・エントランス』リリースへと至ったwowakaに、ここまで辿ってきた道とはどのようなものであったか…話を伺った。

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 幼少期にはピアノ、中学からギターを手にしたwowakaは、大学まで何度かバンドを結成。メンバーと自作曲も手がけたが、「先輩に気を使い過ぎて主張できずにいた」と振り返る中、不完全燃焼のままことごとく自然消滅したという。しかし、バンドへのジレンマを感じていた矢先、たまたまネット上で出会ったというボカロ曲、kzの『Last Night,Good Night』に触発され、ボカロPとしての活動へ進み始めた。

 「ボカロ自体は漠然と知っていたけど、kzさんの曲を聴いた時に“ハンパないな”と直感したんですよ。ただ、当初は仕組みを誤解していて、誰か偉いプロデューサーが1人で牛耳っているイメージがあって(笑)。詳しく調べるうちに、好きな人たちがそれぞれ完結させて作っているのが分かり、それなら“パソコン使えるし楽器も弾けるから自分でもできるんじゃないか”と思ったので、ボカロ曲を手がけるようになりました」。

 初めての曲『グレーゾーンにて。』や『ワールズエンド・ダンスホール』などが、ニコ動で相次いで人気を集める中、2011年には、ボカロ曲のフルアルバム『アンハッピーリフレイン』を発売。このアルバムをリリースすると共に「全てを出し切った感覚」になったというwowakaは、再びバンドを選択肢に据えた。 「1人での音楽作りに悩み始めていた時期でもあったんですよ。
その中でふと、自分の原点を考えたら“やっぱりバンドだったのかな”と思って。楽器を弾くきっかけになったのもバンドだったし、ボカロPの活動を通して、一つひとつの作品を手がける中での責任を自覚できた部分もあるので、もう一度、きちんとやってみたいなと思いました」。

 そして、ボカロの世界で活躍する仲間たちを集めて前身の“ひとりアトリエ”を結成。バンド名には「音にしても人間味にしても、一人ひとりの“面”を出していきたい」という願いを込めたというが、原点には、1人での音楽活動を経たwowakaの歩みも垣間みえる。

 また、ボカロPから現在の活動へいたる中では、変化もあったという。「1人では完結できないので、時間の使い方は変わりました。あと、ライブでの空気感を味わいつつ、お客さんの顔を見ながら演奏するというのも大きな変化でしたね。たぶん、自分自身も一番やりたかったことかもしれません。また、昨年発売のアルバム『WONDER and WONDER』の制作中に行き詰まったとき、メンバーが寄り添って声をかけてくれたときもあり、仲間への“感謝”が身にしみました」。

 いうなれば“孤独”を通り抜けた今、「日常の息苦しさを歌詞や音楽に乗せて代弁したい」と願うwowaka。2ndミニアルバム『モノクロノ・エントランス』では、これまでに染まった色を1度すべて落とし、素を出そうとしたという。手に入れたものに満足せず、敢えて新たな自分に向き合うwowakaの躍進に目が離せない。
(取材・文/カネコシュウヘイ)
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