まるで漫画やアニメから飛び出してきたようなキラキラしたイケメン俳優たちが次々と一世を風靡する中、2人の個性派俳優が独特の存在感を放っている、伊藤淳史濱田岳。小柄で見た目がお人好し、何をやっても憎めない“アイキョー(愛嬌)メン”。
これまで、どちらかと言えば、脇で輝く引き立て役だったが、地道な俳優活動が実り始め、話題作の主役を務めるまでに成長を遂げた。そんな2人を追ってみた。

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 伊藤は、映画『ボクは坊さん。』(公開中)で単独主演に抜擢され、売れっ子女優・山本美月溝端淳平と共演。そのあまりの憑依ぶりから、撮影の待ち時間にお遍路さんから本物のお坊さんと間違われ、合掌されてしまったほど。一方の濱田は、あの国民的人気映画『釣りバカ日誌』のドラマ版『釣りバカ日誌 ~新入社員 浜崎伝助~』(テレビ東京にて毎週金曜20時放送中)で、なんと西田敏行から主人公・ハマちゃん(浜崎伝助)役を引き継ぐという出世ぶり。期待の大きさが窺われる。

 そもそも伊藤と濱田のルーツは子役。しかも、子役時代の愛らしいキャラクターを青年期から大人になった今も継続しているところが稀有で面白い。とかく子役は思春期などの壁に阻まれ、早々に芸能界を去る者も少なくないが、この2人はイメージをそのまま保ちながら、いつの間にか大人の俳優に成長し、しかも双方、いつの間にか結婚もし、家庭をしっかり築いている。

 11月25日で32歳となる伊藤は、バラエティ番組『とんねるずのみなさんのおかげです』のワンコーナー『仮面ノリダー』のチビノリダー役を皮切りに、子役として数々のテレビドラマ、映画に出演し、2005年のドラマ版『電車男』で俳優としてブレイク。その後は、『チーム・バチスタ』、『MOZU』など、ビッグスターが名を連ねる人気ドラマシリーズに欠かせない “相棒キャラ”として不動の人気を獲得する。
 現在27歳の濱田は、伊藤同様、お笑い芸人に縁があるのか、1998年、ダウンタウン浜田雅功主演のドラマ『ひとりぼっちの君に』で子役デビュー。2004年のドラマ『3年B組金八先生』への出演で人気を博し、俳優の道を進むことに。最近では、auの話題のCM「三太郎」シリーズの涙もろい金太郎役でお茶の間の人気をさらい、2014年CM好感度ランキング第2位(CM総合研究所調べ)を獲得している。

 そして2015年、名脇役として真価を発揮していた彼らが、前述の作品でついに主役へと躍り出た。これは何かの前触れか? 昨今、テレビを付ければイケメンばかり、映画を観れば壁ドンばかり(?)、日本はまさにイケメン天国。よどみなく現れる男前のオンパレードに、世の女性たちは、少し息苦しさを感じ始めているのだろうか。彼らの健気な生きざまの中に、かつて家庭にあった「お茶の間」の心地良さ、温かさ、安心感、そんなようなものを本能的に嗅ぎ取っているのかもしれない。手が届かないものよりも等身大、身近な存在が武器になりつつある。(文・坂田正樹)
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