歴史ファンのみならず、世間一般にその名が知られる真田幸村(信繁)を堺雅人主演、三谷幸喜脚本で魅せると期待を集める大河ドラマ『真田丸』。戦国時代を生き抜く信繁の姿を描くとともに、真田家を一艘の船(真田丸)に見立てた家族の物語としても綴られる本作で、信繁の兄であり、信州松代藩初代藩主となる信幸に扮するのが、大泉洋だ。


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 堺雅人をして「これまでにない大泉洋が見られます。期待してください」と言わしめる大泉の信幸像。朝ドラ『まれ』で主人公のダメな父親を演じた彼が、ほどなく演じるのは、正反対ともいえる非常に実直で真面目な男である。

 「正直、私があまりやってこなかったような硬い男といいますか。しかも実在する人物ですし、私は歴史にそれほど詳しくないので、役をいただいてから調べていけばいくほど、非常に人気のある人物だということもわかってきまして。非常に緊張しましたね。出演者発表会見で、いつもは舞台挨拶でもなんでも人を笑わせることしか頭にない私が、初めてそのようなふざけた挨拶はできないぞと思いましたし(笑)」と、プレッシャーを隠さない。

 三谷幸喜からも「『嫡男で、自分が真田家を継いでいかなければならないという思いが強い。とにかく一族のためならなんでもできる男』とアドバイスを頂きました」というほど、とにかくまっすぐでカタブツな信幸。コミカルなイメージの強い大泉だが、信幸との共通点もあると語る。

 「ありますよ。ないと思われがちですけど(笑)。
信幸公は非常に家族を大切にしているんです。真田家というのは父親と信繁と、私とは関ケ原で分かれて戦うわけですけれど、そのあとのエピソードなんかを聞いてもですね、信幸公がいかに彼らを思っていたかがよく分かる。私も家族というものをとても大切にしているので、1年間自分が背負っていくのが、このような方でよかったなと感じました」と明かした。 堺は自ら「二番手、三番手としてみなさんの演技を見ている。主役という意識はない」と口にしているが、そんな堺を大泉は「常に自然体でいてくれるので、とても楽です。座長らしくない座長だとご自分でもおっしゃっていますが、やはり彼がいるから回っているし、そうした立ち方が堺さんの座長らしさだと思いますね」と語り、本作での堺の印象を続けた。

 「私は既に弟としての堺さんを実に愛してしまっていてですね。もし何かあったら堺さんのためならなんでもしたいと思っているんです(笑)。その辺はやはり堺さんのすばらしさですね。あのなんともいえない愛くるしい笑顔で、ニコっとしながら『兄上』なんていうものですから、もう愛おしくて仕方ないです」。

 最後に三谷脚本のすごさにも触れた。「さすが三谷幸喜という内容になっています。
いわゆる三谷作品らしい思わず笑ってしまう箇所と、それを裏切っていくような部分、どちらも満足させるものになっている。私のシーンに関しては、役者のお仕事をしていてここまでかっこいいことを言ったことがないというセリフを言いましたね(笑)。堺さんからも『あのシーンは信幸の兄としての強さや覚悟が感じられて有難かった』とメールを頂きましてね。そういうところも堺さんは気遣いがステキな方ですね」。長丁場となる大河ドラマだが、楽しみが尽きない。(取材・文:望月ふみ)

 大河ドラマ『真田丸』はNHK総合にて2016年1月10日20時スタート(全50回)
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