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本作は江戸時代の作家・近松門左衛門が人形浄瑠璃の傑作『曽根崎心中』を書き上げたときの誕生秘話を創作した痛快時代劇。スランプに苦しむ近松(松尾)は、ある日“不孝糖”という怪しい飴を売る情に厚い謎の渡世人・万吉(青木)に出会う。“ちかえもん”というニックネームで呼ぶ万吉に巻き込まれながら、近松は周囲のトラブルの解決に奔走する。脚本家・藤本有紀が、存命中の資料があまり残されていない“人間・近松”を描く。
「最初にあがった台本を見て笑っちゃいましたね」と切り出した青木は「そこに描かれている人間が皆、血が通っていて、良いこと悪いこと含め背負っている人たちが描かれている。これを立体的にする時は、さらに面白くしなきゃと思いました」と振り返る。
近松と同じ劇作家で、宮藤官九郎や阿部サダヲが所属する大人計画を主宰している松尾は「近松が浄瑠璃の既成概念を壊して作ったというところでいうと、うちの劇団とリンクするところがある。僕は『今までの演劇をぶち壊してしまえ』という気持ちで劇団を旗揚げしたところがあるんで、作家の身上としてはシンパシーを覚える」と、とつとつと明かした。
撮影に入ってからの松尾の印象について「僕は松尾さんを“ちかえもん”として見ているので、すごく面白いし、愛くるしい。松尾さんは台詞の分量が多いので苦労されている」と青木。
時代劇としては若いキャストが多い本作だが、共演者について松尾は「皆、うまいですよね。感心しちゃう」とつぶやき、「北村(有起哉)君もうまいし、青木君もいろんな手を出してくるし、徳井(優)さんも精密機械のような芝居をするし。(岸部)一徳さんの存在感はすごいしね」と絶賛。大人計画の劇団員と比べてどうか聞いてみると、「劇団員もピンからキリまで、松竹梅がありますからね。梅セクションが厄介なんですよね」とシブい表情を見せていた。
どんな人に見てもらいたいか、質問を投げかけると、松尾から「贅沢ができない人。今、ネットとかで面白い海外のドラマが見られるじゃないですか。お金がなくても贅沢なドラマを見られるということで」と肩肘張らない答えが。青木は「子どもに見てもらいたいな。構えることなく見てもらえるんじゃないかな」と目を細めた。(文・写真:梶原誠司)
木曜時代劇『ちかえもん』は、NHK総合にて1月14日より毎週木曜20時放送(全8回)