【写真】「眞島秀和」フォトギャラリー
この顔を見た瞬間に、「あ、わたるん!」と思った人は多数いるだろう。
前クール放送のドラマ『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)では、主演の深田恭子、松山ケンイチ夫妻が住む「コーポラティブハウス」の住人で、北村匠海演じる青木朔と交際している広瀬渉を演じていた。自分がゲイであることをオープンにしている恋人・朔と違い、ゲイであることを知られたくない、触れられたくないと考えてきた渉。
それぞれに考え方も、抱えているものも異なるが、この二人が一緒にいるときのあまりに自然な空気感には、本当のカップルを見ているような錯覚が湧いた人も多いのではないだろうか。特に、渉が朔を見るときの優しく幸せそうな目は、深い愛情に包まれていて、ちょっと演技には見えないほどだった。
それだけに、『となかぞ』を見ていた視聴者は、おそらくその感情をいまだに引きずってしまい、『おっさんずラブ』でも「四角関係? それとも別の相手と?」と、勝手に恋のバトルへの参戦を期待してしまったのではないか。第2話までの段階では、その気配はないが…。
ところで、様々なドラマや映画などで活躍する「名バイプレイヤー」と呼ばれる人たちの中でも、眞島は、なぜか刑事や記者、編集者、医者、仕事のできる上司など、インテリ系や専門職の男性役を演じることが多い。長身のスラリとした体型と姿勢の良さ、涼し気な切れ長の目が醸し出す雰囲気のせいだろうか。
眞島の演技の出発点は、学生時代。自主制作で「撮る」側の立場からスタートし、2001年公開の映画『青~chong~』で初主演を果たす。
かと思えば、「変人」「変態」など、危険な役もよく似合う。深夜ドラマ『変身インタビュアーの憂鬱』(2013年)では、町ぐるみで殺人を隠し続ける閉鎖された町の殺人犯を、変態度満点に怪演。長瀬智也『クロコーチ』(2013年)では裏組織の創設者を演じ、月9『失恋ショコラティエ』(2014年放送)では石原さとみ演じる小悪魔的美女・紗絵子のDV夫として話題を呼んだ。
昼ドラ『シンデレラデート』(2014年)などは、風変わりな恋愛ドラマだったが、ヒロインの不倫相手役でエキセントリックな展開を説得力十分に見せてくれた。ちなみに、『アリスの棘』(2014年)でヒロイン(上野樹里)の父で突然倒れ、手術の末に急死してしまう医師、『緊急取調室』でヒロイン(天海祐希)の亡き夫で正義感溢れる刑事など、薄幸な役も多数こなす。
役柄という衣装を着替えるように、一見スマートでクールに見える切れ長の目が、ときに優しく、時に怪しく、ときに情熱的にと、様々な色をまとう。その意味深な目ヂカラは、何かが起こりそうなワクワク感を与えてくれるのだ。(文:田幸和歌子)