【写真】取材中、おしゃべりと爆笑が止まらなかった東出昌大と仲野太賀
出演が決定した際のコメントで、“武者震い”という言葉を使っていた東出。
「岩松さんの舞台を何度か拝見していて、そのセリフ量ですとか熱量ですとか、お客さんを不思議なモヤの中に置き去りにするような、そこが魅力なんですけど…。でも僕の中での岩松さんって“王道であり異端”なんですよ。そんな岩松さんと、演劇のシンボルである下北沢の本多劇場で芝居をすること。そこには『ついに来たか』という思いもありました。自分も30歳を超えて、芸歴も8~9年になってきて、時に人様は若手って言ってくださることもありますが、自分自身もふわふわしてられないぞ、と。なので『いよいよか』という意味での“武者震い”ですね」。
一方、仲野は岩松作品への出演はこれで4作目となる。
「僕、初めて出演した舞台が岩松作品なんです。『国民傘』という舞台で、それが僕の演劇の原体験という印象。それ以降、岩松さん以外の方とも舞台をやらせていただいたことはあるんですが、その度に心の中で『これは岩松さんはどんな風に思うんだろう』とか、どこかで岩松さんの視点を感じながらやっていて、そんな存在なんです。
取材時、ちょっとした隙間時間にも互いの話や共通の知人の話をしては盛り上がっている2人。本当に仲が良さそうだ。実は『桐島~』を観た人はわかると思うが、この2人が演じた役柄に共演シーンはない。しかし、高校生たちの雰囲気を出すために合宿で行われたという撮影期間を経て、共演者たちには確固たる“絆”が生まれていったのだという。インタビューでお互いかしこまって話しているのも落ち着かないようで「なんか照れるね」と笑う東出。
「僕にとって『桐島~』は、お芝居自体がすごい苦しくて何も楽しめなかったんですけど(笑)、あの作品で生まれた友情とか、人間関係があったから『役者になろう』って踏み込めた、そんな作品の1つ。あとは…20代前半の無為な日々をお互いよく過ごしてたからね」。 そう言って当時の仲野のエピソードを語り、2人で爆笑する。
「その頃僕もまだギリギリ10代で、東出さんは現場の皆のお兄ちゃんというか、みんなのまとめ役だったんですよね。今思えば東出さんも映画の現場は初めてだし、いろんな思いもある中で、僕らガキンチョたちを全て請け負ってくれていた、その器のデカさというのは当時から感じていて。撮影からはもう8年? こうやって仕事で対峙できるというのはうれしいし、興奮してます。東出さんには僕の8年間はどう映るんだろう、と」と語る仲野。
その言葉に照れ笑いしつつも、「でも岩松さんの舞台を最初に観に行ったのも、太賀から『岩松さんの舞台に出るから観に来て』って言われたからだよ。自分は当時、演劇の作品とか全然知らなかったから」と東出。「え、そうだっけ!?」と返す仲野だが、そんな2人の積み重ねてきた時間が、この作品へとつながっているかと思うと面白い。
「『桐島~』以降、あのときの共演者と一緒になることは度々あったんですけど、毎回特別。だから太賀と舞台、しかも岩松さんというのはすごくうれしいことだらけ。
M&Oplaysプロデュース『二度目の夏』は、7月20日~8月12日まで東京・本多劇場にて公演。その後、福岡、広島、静岡、大阪、名古屋、神奈川にて公演。