19日に公開された初主演映画『ずっと独身でいるつもり?』をはじめ、映画、ドラマと出演作が続き、女優として躍進している田中みな実。吉高由里子主演の『最愛』(TBS系/毎週金曜22時)では、主人公の真田梨央(吉高)が社長を務める真田グループの闇を追う橘しおりを演じ、これまでとはまた違った一面を披露している。

今回、そんな田中に、しおりを演じる上での心境や主演の吉高の印象などを聞いた。

【写真】しおりが梨央(吉高由里子)や真田ウェルネスに執着する理由が今後明らかに

◆自分の芝居を観るのが怖い――初めての経験に戸惑い

 『アンナチュラル』『MIU404』(共にTBS系)の新井順子プロデューサーと塚原あゆ子監督が再タッグを組む本作は、殺人事件の重要参考人となった実業家の梨央と、梨央の初恋の相手で事件の真相を追う刑事・宮崎大輝(松下洸平)、あらゆる手段で梨央を守ろうとする弁護士・加瀬賢一郎(井浦新)の3人を中心に描くラブサスペンス。梨央が15年前と現在に起きた2つの殺人事件に翻弄される様をオリジナルで描き、SNS上では考察が盛り上がっている。

 田中が演じるしおりは、フリーランスのノンフィクションライター。先週放送された6話では、岐阜で起きた暴行事件の被害者のひとりで、15年前に起きた殺人事件の被害者と関わりがあったことが明かされた。しおりについて聞くと、田中は「目的に向かってまっすぐで社会性を手放したような人。手段を選ばず、アウトロー。証拠を手に入れるためには、窓を割ってまで建物内に侵入するような危険な人物です」と表現し、「自分の命も惜しくないほどの覚悟で真田グループと梨央に迫ります」と説明。

 新井Pや塚原監督からは衣装合わせのとき、「田中みな実さんらしさを全面的に消してほしい」と言われたそうで、しおりを演じるにあたり「橘しおりという人物の過去、梨央に執着する理由を聞いて自分なりにすごく考えました。考えすぎて、役を固めすぎて、肩に力が入っていたことは自覚しています。完全オリジナルの脚本で、先がよめない中で人物の心情を想像するのは容易ではありませんでした。しおりの出演シーンは本筋と離れたところで描かれることも多く、余白の部分をどう埋めればいいのか、ずいぶん頭を悩ませました」と、役作りに苦戦したという。


 だが撮影中、塚原監督が自身の芝居を否定することはなかったそうで、「監督は『そうです、そうです。いい感じです。方向性はそっちです。ただ、こうするともっとしおりの気持ちが伝わると思うんです』と寄り添いながら演出をするという感じで。具体的な指示というよりはヒントを与えてくれて、最終的には私に委ねるというやり方でした」とその演出について口にするも、「OKテイクが出ても『もっとこうできたんじゃないか…』と直後から後悔の連続で。その繰り返しです。完成した本編のデータを放送前にいただいても怖くて観られないことがほとんどで。自分の芝居を観るのが怖いんです。こんなことは初めてで戸惑っています」と打ち明ける。

◆吉高由里子や及川光博との触れ合いで心境に変化

 主演の吉高については、共演したことで「誰もが吉高さんに惹かれる理由がわかりました」という田中。「吉高さんは、現場にいるひとりひとりとそれぞれにとっての心地好い距離感で軽快にコミュニケーションをとられていて、彼女がいると疲れ切ったスタッフまでもが皆、笑顔になるんです。あっけらかーんとしているようで、実は現場を引っ張っているその様はカッコイイんです、本当に。
私も、吉高さんと接するうちに気付いたらふわっと肩の力が抜けていました」と吉高の魅力を力説。

 続けて、「今朝はね、吉高さんがあまりにも可笑しくて『ひょうきん者ですね』と私が呟くと、『ぴったりの言葉を見つけたねぇ。ひょうきんでっすー(笑)』と変なポーズをしていました。陽気な人です(笑)」と笑い、「でも、芝居になると、パチーンとスイッチが入って梨央の顔に。次々感情が湧きでてくるんです。いち視聴者としてすごく好きな俳優さんでしたが、お会いしてまた別の魅力にとりつかれました」と笑顔でエピソードを披露する。

 劇中で、しおりがこれまで一番コンタクトをとってきた後藤信介役の及川光博とは、クランクインの日から一緒だったそうで、「現場に入られてから出るまで、ずっとミッチーというエンターテイナーでした(笑)。ひとたびお芝居に入ると、キラキラミッチーさんからスッとした表情の読めない後藤に豹変。唯一無二の存在感を放つ方だと感じます」と称賛。

 また、吉高や及川ら共演者やスタッフと触れ合うことで変化があったそうで、「序盤は自分で作り込んできた芝居を必死に守ろうとしていましたが、皆さんのおかげで、ようやく周りが見えてきました」と振り返り、「できるだけ多くの物を吸収しようと必死でもがいています」と力強い表情で明かした。

 梨央を取り巻く大輝や加瀬など、男性陣のかっこよさもSNSで話題を集めている本作。田中は「昔からドラマを観るのが好きで、『最愛』もいち視聴者として、自分が出ているシーン以外は楽しく拝見しています」と口にし、「特に加瀬さんの言動にはキュンキュンしっぱなし。
ひとりで『きゃあ~』と色めき立っています(笑)。現場では“加瀬キュン”“大キュン(宮崎大輝にキュン)”なんていうワードがあるそうですが、それでいうと私は“加瀬キュン”です。あくまでも役柄としてで、おふたりとも大変魅力的な俳優さんです!」とニッコリ。

 最後に第7話の見どころを聞くと、「しおりが、なぜこれほどまでに梨央と真田ウェルネスに執着するのか、彼女の過去も含め明かされます。しおりだけでなく、ほかの登場人物の思惑や意図も徐々に表面化されていきますので、ご注目ください。見終わった後、心地よい疲れが襲ってくるほど、物語は急展開していくので最後までご覧ください」とアピールした田中。今後、しおりはどのように梨央に影響を与えていくのだろうか――。女優として新境地を見せる田中の演技に期待が高まる。(文:高山美穂)

 金曜ドラマ『最愛』は、TBS系にて毎週金曜22時放送。

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