芸能取材歴30年以上、タブー知らずのベテランジャーナリストが、縦横無尽に話題の芸能トピックの「裏側」を語り尽くす!

 覚せい剤取締法違反で、懲役1年6カ月、執行猶予3年の有罪判決を受けた酒井法子。酒井は今後、元所属事務所「サンミュージック」の相澤正久副社長が提案した復帰プラン通り、群馬県にある創造学園大学に入学し、介護福祉士の資格取得を目指して、勉強することになった。

 こうした復帰プランを聞いて思い出すのは、現在、看護師と保健師の資格を持ち、さらに都内の大学病院の心療内科でストレスカウンセラーの研修中という、女優でキャスターの石井苗子のことだ。

 石井は『ビートたけしのTVタックル』(テレビ朝日系)で初代ナビゲーターを務めていた。筆者が初めてテレビでその顔を見たとき、なんと知的な女性だと思った。90年には故・伊丹十三監督の映画『あげまん』で準主役を演じて、女優としても注目された。

 90年代後半、そんな才色兼備の石井についての、"17歳年下の愛人男性宅に石井の全裸ヘア写真が投げこまれた"という内容の女性誌の記事を読んだときは、信じられなかった。その後、男性がストーカー容疑で逮捕されたことで、石井は被害者だとも思った。

ところが、取材を始めると、石井は夫と子どもがいる身でありながら、その男性と同棲していたことが分かって、ビックリ仰天。その後、男性宅に投げこまれたという石井の全裸ヘア写真は、有名作家のS氏が撮影したものであることも分かった。石井は、S氏とも不倫関係にあったのだ。

 さらに、取材を進めていくと石井の性の奔放さが次々に明るみに出た。番組の司会を務めていたたけしは「当時、テレビ朝日の近くのスナックにおねぇちゃんを連れて入っていったら、酔った石井がいて、おいらをいきなり、トイレに連れ込もうとする。おねぇちゃんがいたんで、助かったんだ」と苦笑していた。

こうして、性の"奔放スキャンダル"が流れた石井は、マスコミや社会からも叩かれ、いつの間にか芸能界から消えていた。

 だが、この経験を彼女はプラスに転換しようと努力したようだ。その後、石井は人生をやり直すために、新たに大学に通い、看護師と保健師の資格を取って、女優としても復帰した。今は、自分の苦い経験を踏まえ、健康や福祉、女性の人権問題などをテーマに講演なども行っているという。

 刑事事件を犯した酒井とは単純に比較できないが、本人の強い意志があれば、過ちをその後の人生にプラスに生かすことは可能なのだ。だが、酒井にそれができるのだろうか? 酒井の場合、本人の意思もさることながら、周りの状況が本人に大きな影響を与え続けそうだからだ。

 酒井の継母、それに後見人になっている建設解体業の社長は、事件によって生じた損害賠償や今後の生活費を考えて、一日も早い芸能界復帰を望んでいるのは想像に難くない。介護福祉士として得られる報酬と、芸能界や講演で稼げる金額はケタが違う。だからこそ、復帰に協力してもらうために、「まずは介護福祉士にさせる」という相澤副社長の再生プランを受け入れたのだろう。サンミュージックは「酒井の復帰に手を貸すつもりはない」といっているが、これまでも、クスリに手を染めた芸能人が当たり前のように復帰している現状を見る限り、酒井の場合も十分に復帰はあり得るだろう。サンミュージックに所属することはなくても、松田聖子のように業務提携という形でのサポートは可能だ。

 それにしても、酒井本人はどうしたいと考えているのだろうか? 報道を通しても、裁判所での酒井の発言を通しても、彼女の本当の気持ちが伝わってこないと感じているのは筆者だけではないだろう。

芸能界復帰が、悪いことであるなんて誰もいえない。芸能活動を通して、クスリを断ち切った姿を見せるのも、ファンや社会にとっては悪くないはずだ。だが、もし芸能界復帰の免罪符として、介護福祉士の資格を取るのであれば、それは介護の仕事を愚弄している。いったい、酒井の本心はどこにあるのだろうか?
(文=本多



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