赤塚不二夫先生の生誕80周年記念作として、大人になった現代版『おそ松くん』のアニメ、『おそ松さん』(テレビ東京系)が10月から放送されていますが、皆さんはご覧になりましたか? 六つ子が全員ニートでハローワーク通いをしていたり、声優がことごとくイケメンだったり、あまりのブラックさに、1話目がお蔵入りになったりと、何かと話題に事欠かないアニメ作品で、すでに、2016年からの第2クールの放送も決まっているとか。とにかく、すごい勢いです。



 今回は、そんな『おそ松さん』ファンなら必読の『ニャロメのおもしろ性教室』(角川書店)をご紹介しましょう。本作は赤塚先生が手がけた学習マンガシリーズのひとつで、ほかにも『ニャロメのおもしろ数学教室』『ニャロメのおもしろ宇宙論』などが出版されています。学習マンガでありながら、赤塚キャラのシュールさと随所にちりばめられたギャグで、小難しい内容を、まるで『天才』バカボンを読んでるかのように楽しく学べてしまうという、実に画期的な学習本。もちろん『ニャロメのおもしろ性教室』も、基本的にはマジメに性を考える本になっています。あくまでも、基本的に……なのですが。

 本シリーズは作品の枠を超えて、赤塚キャラがオールキャストで登場するのが魅力です。
バカボンやバカボンパパはもちろん、ひみつのアッコちゃん、ウナギイヌやイヤミ、チビ太、おまわりさんなどのサブキャラ、そしてもちろん、おそ松くんも登場しています。

 バカボンがニャロメ先生に勃起や性病について教わったかと思えば、SMやスワッピング、ゴム&革フェチといった、学習マンガでそこまでやらなくていいだろ! というレベルまで紹介されています。さすが赤塚先生、単なる学習マンガとは一味も二味も違う内容になっています。

 なんといっても、本作品最大の被害者は、ひみつのアッコちゃんです。一点として、ありとあらゆる赤塚キャラからセクハラされまくり。

 女性の体の紹介のために全裸にさせられたり、おそ松くんにボインタッチされたり、バカボンに「子どもをつくろう」と言われたり、チビ太に処女膜の話を振られたり……。
もはや、同情したくなるレベルです。

 そして、おそ松くんはといえば、思春期の多感な男の子としての役回りが課せられており、男子特有の現象がおそ松くんの体に起こります。

 朝起きると、パンツの中に白い液体がベットリとついているおそ松くん。おそ松くんの体に、いったい何が起こったというのでしょうか!?

 ここでズバリ、ニャロメ先生のマジメな解説です。

「これを射精というニャロメ!」

 そうです。おそ松くんは、この作品で初めて射精というものを知ったのです。
初めての射精の瞬間をネタにされるギャグマンガの主人公って、なかなかレアですよね。

 また、おそ松くんが木登りをしたり、鉄棒や相撲をやっている時に刺激されて思わず射精してしまった現象については……。

「これを遺精(いせい)というニャロメ!」

 これまた、ニャロメ先生の明快な解説です。なるほど、相撲を取る時は要注意なんですね! とにかく、おそ松くんが作品中で射精したり遺精したりと、本当の意味で「お粗末」な感じになっていくわけです。

「避妊」を解説する章では、おそ松くんのパパが、若気の至りで子どもを6人もつくったことで経済的に苦しく、後悔しているという、おそらく『おそ松くん』ファンが一番見たくなかったリアルなシーンが描かれています。

「なんて馬鹿なセックスをしてしまったんだろう…」
「妊娠しても、人工中絶しときゃよかった」

 おそ松くんのパパの、現実的すぎるこのセリフ……。
いろんな意味でブルーになりますね。「人工中絶」とか、もはやおそ松くんという作品の存在意義に関わる問題です。もし実行していたら、当然『おそ松さん』も存在し得なかったわけですからね。

 そんな生々しい話の流れから、避妊の大切さについての話に展開するわけですが、ここでは性教育のお約束、コンドームの着け方についてイラスト付きで解説されています。ちなみに、イボ付きコンドームは使っても意味がないんだそうです。割と大きなお世話ですね。


 そのほか、ラブドールを通して性の未来について語ったりとか、とにかく子ども向け学習マンガとは思えないレベルの解説がふんだんに盛り込まれている『ニャロメのおもしろ性教室』。ぜひ、『おそ松さん』鑑賞のお供に読んでみてはいかがでしょうか?
(文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくんhttp://ablackleaf.com/)