ブレーク中の波瑠が、来年1月13日にスタートするNHK連続ドラマ『お母さん、娘をやめていいですか?』(金曜午後10時~/全8話)で主演を務めることがわかった。まだ9月だというのに、来年1月放送のドラマの概要を発表するあたり、NHKの期待の大きさがうかがえる。



 波瑠は2006年の女優デビュー以降、多くの映画、ドラマに出演したものの、なかなか芽が出なかった。だが、主演を務めた15年後期のNHK連続ドラマ小説『あさが来た』が、今世紀の朝ドラ史上最高視聴率となる23.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録する大ヒットで、一気にブレーク。

『あさが来た』終了後、間を空けずにヒロインを務めた今年4月期『世界一難しい恋』(日本テレビ系大野智主演)も、12.9%(全話平均)の高視聴率をマークし、まさしく“時の人”となった。7月期には、フジテレビ系連続ドラマ『ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子』で民放連ドラ初主演を務めたが、低迷続くフジのドラマとあって、視聴率は8.1%(同)と不振に終わった。

 次なる舞台に波瑠が選んだのは、民放ではなくNHKだった。波瑠はブレーク前にも、『書店員ミチルの身の上話』(13年=総合)、『植物男子ベランダー』(同年=BSプレミアム)、『おそろし~三島屋変調百物語』(主演=14年=BSプレミアム)などに出演しており、なにかとNHKドラマとは縁がある。


 今作『お母さん、娘をやめていいですか?』は、25歳の娘で女子高の英語教師・早瀬美月(波瑠)と、50歳の母・顕子(斉藤由貴)とのバトルを描いたモンスターホームドラマ。脚本は、現在オンエア中の『営業部長 吉良奈津子』(フジテレビ系)、『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(14年=同)、NHK大河ドラマ『北条時宗』(01年)、NHK朝ドラ『ひまわり』(1996年前期)などを手掛けた井上由美子氏のオリジナル作。そのほかのキャストは、寺脇康文柳楽優弥、麻生祐未、大空眞弓、壇蜜石井杏奈ら。

 主人公の美月は中学受験、大学受験、就職の時も、完璧な母のサポートを受け、常に二人三脚で頑張ってきた。この母娘の密着ぶりを、父・浩司(寺脇)は気にかけていたものの、仕事一筋で二人の関係に踏み込むことができないでいた。そんな折、早瀬家はマイホームを新築することになるが、住宅メーカーの担当・松島(柳楽)を母が気に入り、美月に交際するよう背中を押す。
しかし、これで美月は自分が無意識に母親の顔色を見て生きてきたことを自覚していく。母は美月が次第に変わり、自分から離れて行くことに動揺し、「自分の一番大切なものを奪われたくない」と次第に心の奥の危険なスイッチが入っていき、ついに松島を自ら誘惑してしまう……という展開だという。

「大河、朝ドラを除くNHKドラマはそもそも視聴率が低く、5%取れればいいほう。従って、民放と違って、少々視聴率が悪くてもバッシングを受けることはありませんし、演技に集中できるメリットがあります。NHKは民放より、ギャラが安いのですが、オファーが殺到中の波瑠の所属事務所が、NHKを選択したからには、なんらかの思惑があるはず。いずれ、大河ドラマの主役、悪くてもヒロインの座を虎視眈々と狙っているのでは? そのために、NHKとの関わりをより深くしようとしているようにも思えます」(テレビ関係者)

 来年の大河ドラマ『おんな城主 直虎』の主演は柴咲コウ
近年では、『花燃ゆ』(15年)の井上真央、『八重の桜』(13年)の綾瀬はるか、『江~たちの戦国~』(11年)の上野樹里、『篤姫』(08年)の宮崎あおいらが、女優で大河の主演を張った。井上、上野クラスでも大河の主役に起用されたのだから、波瑠が今後順調に育ってくれれば、数年後に抜擢を受ける可能性もアリか?
(文=田中七男)