独身男性の7割、独身女性の6割は恋人がおらず、独身者の6割が休日はインドア派といわれる現代ニッポン。モテない男女や出会いがない男女は、一体どうすれば結婚できるのか? そもそも結婚って、する価値があるのか? これまで4度の結婚を経験している“元アウトローのカリスマ”こと瓜田純士(36)に、意見を聞いた。



 * * *

――国立社会保障・人口問題研究所が今年、18~34歳の独身者を対象に行った調査によると、男性の69.8%、女性の59.1%は交際相手がいないそうです。これは過去最多の数字だとか。ちなみに、このうち男女とも約3割は「交際を望んでいない」と回答したそうです。

瓜田純士(以下/純士) ってことは、残りの約7割は、「恋人が欲しいけど見つからない」という状態ですよね。そっちの原因なら、今田耕司岡村隆史を見れば答えが出ますよ。あれだけ人気者で金持ちなのに相手がいないっていうのは、結局は理想が高過ぎるんでしょう。
誰でもいいなら誰かいる。一般人の独身男性も同じです。現実問題、駅の売店でクロレッツを売ってるようなおばちゃんとか、近所の中華料理屋の娘とか、誰でもいいんだったら、相手は見つかる。絶対いるんです。でも「そういう身近過ぎる人はちょっと……」と、多くの連中が思ってる。そんな奴らに限って、初音ミクとかのバーチャルな存在に恋しちゃってるんじゃないでしょうか。


――ルックス的な問題で、恋愛や結婚をできない人もいるのでは?

純士 それだって、ダイエットしたり、千円カットをやめて美容院に行ったり、店員のアドバイスに従ってオシャレな服を買ったりして自分を磨けば、その人なりにある程度はモテるようになりますよ。自分らの親の世代を見てみてくださいよ。どんな人でも結婚してません? どんな不細工なサラリーマンでも、どんなデブッチョなおばさんでも、お見合いとかして若いうちに結婚して、「ウチの旦那は安月給」とか「ウチの嫁は家で寝転がって煎餅ばっか食ってる」とか悪口言い合いながらも夫婦生活を送ってるじゃないですか。今それが減ったのは、どいつもこいつも理想が高過ぎるからですよ。

――なぜ理想が高くなったのでしょう?

純士 ネットなどの情報量が多過ぎて、目が肥えちゃったのかな。好きなアイドルの顔を拝むのだって、昔はテレビの前にかじりついて、月に一度の雑誌を買って、テレカを買って、時にはサイン会に並んだりして大変だったけど、今はSNSで毎日新しい表情を見れるわけだし、Twitterを見れば活動状況もわかる。


――動かずして最新情報を続々とゲットできますからね。

純士 ええ。パソコン1台で好みの女子の動画や画像を、好きなときに好きなだけ、ほぼ無料で独占できちゃうわけです。それに比べて、リアル社会はどうなのか? 友達から「あの子はないだろ」とからかわれそうなクオリティーの、いわゆる「中の下」の子たちを、わざわざお金を出して映画館や焼肉屋に連れて行くかっていったら、アホくさく思えてしまう。「その間、家でパソコンしよう」となっちゃうんでしょう。

――実際、シチズン社が先ごろ発表した独身男女の生態調査によると、「休日の過ごし方」で最多の6割を占めたのが、「1人で家で過ごす」という回答。
休日にやりたいことを問うと、「睡眠」「ネット」「テレビ・DVD」など家の中での行為が上位でした。

純士 そりゃ出会いもないわな、って感じですね。結婚願望もないのかな?

――ところが、冒頭でも紹介した国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、「いずれ結婚するつもり」と考えている独身者は男女とも9割弱いるらしいです。

純士 本人も行き詰まって、親も死にかけて、「死ぬ前に孫の顔を見たい」と言われてから仕方なく身を固めようって腹なんでしょう。それまでは自由にさせてくれ、と。

――結婚に魅力を感じない人が多いのかも。


純士 俺も「結婚の幸せ」を感じるようになったのは、今の嫁と一緒になってからですよ。最近、自分が変わっていく姿を見て思うんですが、独身とか恋人がいない時期の自分は、自分のためだけに生きていた。だから欲しいものを好きなだけ買えたし、今日は2軒目に行かないで帰ろうとか、今日は朝まで飲もうとかも自分の都合だけで決められました。だけど相手がいると、なんにつけてもまずは「相手のため」を考える。その中で自分の生き甲斐を見つけていくっていうのが結婚生活です。自分のために生きるんじゃなく、相手のために生きていく。
そう腹をくくれないと、結婚は難しい。「自分が自分が」と思ってるうちは、無理ですね。

――奥様も同感ですか?

瓜田麗子(以下/麗子) 私も昔は「自分が自分が」という性格だったんですが、おじゅん(夫の愛称)と出会ってからは、自分の欲は捨ててでも、彼をサポートする側に回ろうと思うようになりました。

純士 見るも夢も、欲しいものも、目標も、2人一緒になってくるんですよ。

――瓜田さんは、結婚を4回もしていますよね?

純士 俺、一応は元アウトローですよ。アウトローが1回しか髪を染めたことがない。そんなわけないじゃないですか。アウトローなのに、街を歩いてる最中にケンカを売られた経験が1回しかない。そんなわけもない。はっきり言ってこの顔で、前科1犯じゃ笑われますよ。そういうことです。結婚も4回ぐらいやっとけば一応、アウトローとしてのハクがつくのかな、と。

――とんでもない結婚観ですね。

純士 今思うと最初の3回は、相手のことをちゃんと考えずに結婚した。すべては自分の演出のためでした。相手にはものすごく可哀想なことをしましたね。「腹減ったから牛丼を食べる」という感覚で一緒になって、お腹いっぱいになったら「ハイさよなら」ですから。そいつらの人生なんてどうでもいいと思ってたからこそ、そういうことができたんでしょう。

――そんなこと言って大丈夫ですか?

純士 大丈夫です。あいつらもわかってるはずです。でも今は相手を思って一緒になってるんで。今の嫁は、過去のマネキンたちとは格が違うんです。

――マネキン?

純士 昔は、相手を人間と思ってなかった。好きとか嫌いとか以前に、相手に対する感情が全然入ってなかったんですよ。あの当時は男の人間関係のほうが大事だったから、男同士の付き合いを女に邪魔されようもんなら、その瞬間、「天からケツまで俺とお前は違うのに、対等な口きくんじゃねえ!」と腹が立って、チャカで弾きたくなったんです。

――聞けば聞くほど、尋常じゃないですね。

純士 そんなことを繰り返してきたから、自分は安らぎや本当の恋愛とは一生無縁なんだろうと思ってました。女と付き合うと最後は必ず「てめえこの野郎!」となっちゃう。病的でしたからからね、俺の短気は。

麗子 昔のおじゅんは、女心をまったくわかってなかったしな。

純士 こんなこと言ったらさらに顰蹙を買うでしょうけど、以前は女なんて、ただの「穴」だと思ってましたから。歩く穴。ウォーキング・ホールですよ。俺は自分のお袋を尊敬してきたので、「お袋に堂々と会わせられるような相手以外は女として見ちゃいけない」という思いがあって。口にこそ出しませんでしたが、昔は女と付き合ってる最中、「お袋に会わせたくないな。ってことは、お前は穴だな。穴はとっととシャワー浴びて帰れよ」と内心思うことが多かったんです。

――なぜそこまで女性を軽蔑していたのでしょう?

純士 俺がただの最低野郎だから……っていうより、少年期からトラブルが多過ぎて人間不信になっていたのが大きいですね。女は大抵うたう(密告する)し裏切るんで、冷めた目で見ちゃってました。内側を見せたくないし内側に入れたくない。恋愛ごっこもたまにはしたけど、俺はいつでも仮面をかぶった状態。女が寄ってくると、すべてがハニートラップに思えちゃう。気が抜けない。勘ぐってピリピリしちゃうんです。

――男同士の人間関係は当時、どうだったのでしょう?

純士 男同士の世界なら、裏切られたら「この野郎!」とやり返すこともできるし、裏切ったほうも怯えてガラをかわすハメになるじゃないですか。でも女は違う。寝返り打ったり、誰かにペラ打ったりしても、翌日にはシレッと自分の生活を送ることができる。痛い目に遭わないと思って、余裕かましてるんですよ。俺はそれがイヤで、クソッタレと思ってました。

麗子 私と付き合い始めのころも、おじゅんは全然心を開いてくれなくて、横を並んで歩くことも許してくれへんかったな。後ろを歩け、と。デート中に手を繋ぐなんて、とんでもない。恥ずかしいから絶対にダメだって。

純士 当時の俺は頭の中で、「なんでこの関西の女は俺がタバコを切らしてるのにストックを持ってないんだ?」ぐらいに思ってましたからね。で、ある日、彼女から言われたんです。「純士の考える恋愛関係は『親分と若い衆』であって、男と女じゃない」と(笑)。俺はそれを聞いて、「あれ? 俺ってそんなに変?」と少しずつ反省し始めた感じですかね。

麗子 あのころのおじゅんは、ホンマにどうかしてたわ!

純士 で、そのあと結婚してから一度だけ、彼女に手を出して怖がらせてしまったことがあって。それをやらかしてから、俺の中で確実に何かが変わりましたね。本当にすまないことをしたと反省し、その日から「責任を取らなきゃ。こいつと一緒の墓に入るんだ」という覚悟が決まり、生まれて初めて女と二人三脚になれた。以来、口ゲンカはたまにあるけど、暴力は一度もないですね。「怖いからさよなら」と言わずに、彼女は逃げずについてきてくれた。だから俺もその気持ちに応えて、まともな人間になるべく、努力するようになりました。で、こうして今も2人で一緒にいるから、ほとんど「戦友」みたいな感覚ですね。彼女とだけは、深い絆的なものを感じるんですよ。

――奥様は殴られたとき、逃げることを考えなかったんですか?

麗子 足腰強いほうなんで、あの程度じゃ逃げないですね。私、後悔する人生がイヤなんですよ。この人と縁あって結婚したからには、やれることは全部やって、後悔だけはしないようにしたい、と。その結果、「どうしてもお前とは無理」と言われたなら仕方がないけど、そうじゃないなら、諦めたくないんです。

――根性が据わっていますね。

純士 ほとんど任侠の世界ですよ。われわれ夫婦の物差しは一致していて、「一番格好いい生き方ってなんだろう?」ってことを最重視するんです。基本、2人とも格好つけなんで、考え方も行動も、全部が格好いいと言われたいんですよ。

麗子 私を殴ったのは格好悪いで!

純士 まぁまぁまぁ……。で、格好良さを目指した結果、必然的に駄目な部分や無駄な部分が削ぎ落とされて、結果的に、ここ(と言って妻を指差す)だけが見えていればいい、という境地にたどり着いた。それが真人間になれた理由ですかね。格好良くなかったんですよ、昔の俺は。結婚を繰り返したり、自分のためだけに生きたり。ハンパもんでしたよ、かつての俺は。

――結婚したくてもできない人たちは、どうしたら瓜田夫妻のように運命的なパートナーを見つけられるのでしょう?

純士 それは出会いたくても出会えない。でも、出会うときには出会うもんです。もっと真面目なことを言えば、これまでそういう人と何度も出会っていたはずなのに、みんな無視しちゃってるんじゃないでしょうか。で、「モテない」と嘆いてるのかも。モテる奴はそういうところに気が利くから、女のサインを無視しません。「あ、あの子、たぶん俺に気があるから傘を忘れていったな」とかね。勘違いを含め、いちいち相手にするから釣れるんです。でも鈍感な奴は「なんだあの女、傘忘れていきやがった。バカだな」で終わっちゃう。その違いです。やろうと思えば、ゆきずりの女に時間を聞いて、ついでにLINEを交換して、そこから結婚に持ち込むことなんて余裕なんです。恋人が欲しいなら、日常の些細なチャンスに敏感になってください。

――ズバリ、結婚はオススメですか?

純士 オススメです。自分はこんな美人な嫁がいて言うのもなんですが、相手は無難な線でいいから、生涯を一緒に歩める異性がいたほうがいい。妥協してでも、その相手を作ったほうがいいです。

――その心は?

純士 俺は男の気持ちしかわからないので、ノンケの独身男性に言いますが、今はそうは思わなくても、いつの日か必ず、安らげる場所が欲しくなるはず。そして、安らぎを与えてくれる真の理解者はやっぱり、同性ではなく異性なんです。自分の愚痴を聞いてくれるような、黙って帰って来ても気持ちを理解してくれて、ご飯の支度をしてくれるような異性のパートナーがいたほうが、男は、右にも左にも方向が定まります。

――方向が定まる、とは?

純士 フラフラせずに生きられる、という意味です。

 * * *

 4度目の結婚を機に、酒もタバコもケンカもやめて、作家業に勤しむ瓜田の言葉。世の独身者の心に、どう響いただろうか。

(取材・文=岡林敬太)

※瓜田純士&麗子 Instagram https://www.instagram.com/junshi.reiko/
※日刊サイゾーでは瓜田純士の最新情報をほぼ月イチペースでお届けしています。