どうしてあのタレントは人気なのか? なぜ、あんなにテレビに出ているのか? その理由を、業界目線でズバッと斬る「ズバッと芸能人」。

ショーンK」が帰ってくる。



 自称ハーフ→実は熊本出身の生粋の日本人、「ショーン・マクアードル・川上」というハーフっぽい名前→自分が作った“芸名”で本名は川上伸一郎、ハーバード大学とパリ大学での学位取得→誰でも参加できるオープンキャンパスを受講しただけ……。それら見事なまでの自己プロデュース力でのし上がり、そして堕ちた彼が、来年1月1日放送の『世界見聞録~モンゴルで経済と豊かさを考える旅』(TOKYO MX)で、モンゴルの経済成長を探るという。

 2015年3月に「前代未聞のでたらめ」がバレた後、翌月からキャスターとして出演するはずだったニュース番組『ユアタイム』(フジテレビ系)を降板。そんな不運の船出となった『ユアタイム』は、結局1年で打ち切りの憂き目に遭う。だが1つだけ、ケガの功名というべきか、ある人物にスポットライトが当たることになる。男の名はモーリー・ロバートソン。
父はアメリカ人医師、母は日本人ジャーナリストという両親の間に生まれたハーフ。そしてハーバード大を卒業した経歴の持ち主。いずれも本当だ。

■レギュラー5本、隔週・準レギュラー合わせると7本の超売れっ子

 それまでは“知る人ぞ知る”モーリーだったが、ショーンKの降板によって急きょ『ユアタイム』にレギュラー出演したことが最大の転機となった。しかも、サブからメインキャスターに昇格したモデルの市川紗椰が不甲斐ないあまり、彼の淀みないしゃべりが、より際立つことになる。

 今年9月、『ユアタイム』の打ち切りを待っていたかのように、翌10月からレギュラーが3本増え、現在週レギュラーはなんと5本。
内訳は、『スッキリ』(日本テレビ系)、『所さん!大変ですよ』(NHK総合)、『けやき坂アベニュー』(Abema TV)、『The News Masters TOKYO 』(文化放送)、『Morley Robertson Show』(block.fm)というラインナップだ。

 さらにこの秋から隔週レギュラーで『教えて!ニュースライブ 正義のミカタ』(朝日放送)、準レギュラーで『みんなのニュース 報道ランナー』(関西テレビ)、『富山いかがDESHOW』(富山テレビ)にも出演。長かった潜伏期間を経て、今、54歳で遅咲きのブレークを果たしている。

■東大、ハーバード、スタンフォード……超名門7大学を同時合格の頭脳

 さらに彼は、その回転の速いトークと、一度見たら忘れられないイカツイ顔面で、バラエティの世界にも進出。『くりぃむクイズ ミラクル9』『クイズプレゼンバラエティーQさま!!』(以上テレビ朝日系)、『ネプリーグ』(フジテレビ系)、『東大王』(TBS系)、『踊る!さんま御殿!!』『メレンゲの気持ち』(以上日本テレビ系)、『開運!なんでも鑑定団』(テレビ東京系)と、怒涛の出演ラッシュが続いている。

 番組のジャンルを見ると、特にクイズ番組が目立つ。
その理由は、ひとえに頭脳にある。彼は東京大学、ハーバード大学、MIT(マサチューセッツ工科大学)、スタンフォード大学、UCバークレー、プリンストン大学、イェール大学と超名門7大学に同時合格しているのだ。

 クイズ番組の解答者としてこれ以上ないプロフィール。オファーが殺到するのも当然のことであろう。

■陰のデーブ、陽のモーリー

 今、ポジション的に彼の上にいるのは、デーブ・スペクターだろう。これまで長らく「外国人(厳密にいえばモーリーはハーフだが)タレントのコメンテーター枠」を独占してきたデーブを脅かす急先鋒に躍り出たのである。


 その人生も対照的だ。

 デーブの場合は、小学生時代に日本からやってきた転校生と親しくなったことで日本と日本語の魅力に取りつかれたという。彼はまた、授業が終わったあと、現地の日本人学校で授業を一人受けていたという。

 一方、モーリーの人生はかなり波乱に富んで、しかも跳んでいる。中学2年のときに親の仕事でアメリカに戻ると、女性のハートをつかむために面白く話すトークスキルを身につけ、再び日本へ。するとその才能が大爆発。
広島の高校ではとにかくモテまくり、本人いわく「学校側から、風紀が乱れるから自主退学してくれ」と言われ、学校を追われることになったという。さらにせっかく入った東大を1学期で中退後、ハーバード大に入学。卒業後の3年間は、女性の家を転々としながら暮らしていた、いわばヒモだったという。

 今でさえデーブはアメリカンジョークとダジャレで明るい性格と思われているが、暗鬱な部分を隠し持っている印象がある。それに対し、モーリーは底抜けに明るい。学生時代は意外にも日社会の差に懊悩していたというが、それを乗り越えた陽気さを持ち合わせている。


 ケント・ギルバート、ピーター・バラカン、ケビン・クローン、パックンマックンのパトリック・ハーラン、日本文学者のロバート・キャンベル……。これまで多くの“知識系”外国人タレントが日本で活躍してきたが、未だ「デーブ・スペクター“一強”」時代は切り崩せていないように思える。それをモーリーが終わらせることができるのか注目である。そして、“恩人”・ショーンKとの“初共演”の日も楽しみにしたいところだ。
(文=都築雄一郎)

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