写真はイメージ(Getty Imagesより)

 韓国では今、機密性の高いメッセンジャーアプリ「テレグラム」などの秘密チャットルームを使って、未成年者や児童を含む女性たちを脅迫し撮影した性的動画を流布・販売したインターネット性犯罪事件「n番部屋事件」が社会問題化し、世の中を震撼させている(既報)。ここにきてn番部屋事件の主犯グループや有料会員の検挙が続いているが、4月に入ってまたしても驚くべきニュースが報じられた。

 4月7日、韓国・京畿北部警察庁は、ゲーマー向けチャット「Discord」を使って児童ポルノを流布・販売した容疑で、運営者3名および会員7名を検挙した。同事件は「第2のn番部屋事件」として韓国で非常に高い関心を集めている。

 捕まった運営者3名のうち、1名は大学生で、残りの2名は未成年者(満19歳未満)だったということもさることながら、さらにある事実に国民の怒りの声が殺到している。というのも、運営グループのうちのひとりが12歳であり、国内法上は「触法少年」(14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした者を指す)に該当。刑事責任能力を問われず保護処分となることが濃厚だからだ。

 つまり、社会を震撼させた事件の“共犯者”であるのにもかかわらず、刑事罰を免れる立場にあるため「たとえ未成年とはいえ許してはならないのでは」といった世論が過熱し始めているのだ。

なお、韓国で触法少年が受ける処罰は監護委託(日本の保護観察処分に相当)や社会奉仕命令など。最も重いケースでも、2年以内の少年院送致だ。これも刑事処罰ではないため前科歴がつくこともない。

 一方、現在韓国では未成年者たちが起こしたもうひとつの事件が、社会的イシューとして浮上している。

 3月下旬、青少年8名がレンタカーを盗難し、警察の検問から逃げようと暴走した挙げ句、大学生をひき殺した事件だ。そこで車を運転していたのは、なんと13歳の少年だったのだ。

少年は拘束されることもなく、他の7名も全員家に帰宅したという。

 ひき逃げ事件を起こしたのにもかかわらず、責任をまったく負うことなく平凡に生きられるなんてどうにかしている、触法少年たちにも重い罰を与えるべきだ――。そんな不満や主張は、大統領府にあてられた「レンタカーを盗んで死亡事故を起こした10代を厳重処罰してください」というタイトルの国民請願という形で現れ、4月4日時点で同意意見が80万件を突破している。

 韓国での触法少年の定義など、少年法に関する決まりは日本と基本的に似ている部分が多い。だが特にn番部屋事件は、国民だけでなく芸能人などの著名人、そして政治家までもが厳罰を求めるよう声をあげているため、これを機に触法少年に対する処罰の強化を求める声も高まっていく気配だ。

 なおSNSやオンライン掲示板では、レンタカー盗難ひき逃げ事件の少年たちの写真がすでにさらされている。

n番部屋事件では主犯格の男性の写真や経歴まですべて出回っているが、12歳少年の姿もいずれ白日の下にさらされるかもしれない。しばらく世の中の怒りはおさまることがないだろう。その怒りは、韓国の少年法や触法少年の扱いになんらかの影響を及ぼすことになるかもしれない。