番組公式サイトより

 NHKの大河ドラマ『麒麟がくる』が7日最終回を迎えた。最終回は「本能寺の変」をテーマに、謀反を起こした明智光秀が織田信長を討つシーンがハイライトに。

歴史上では、「三日天下」と呼ばれ信長を討った明智光秀は山崎の戦いに破れ、落ち武者狩りに遭い命を落としたとされる説が根強いが、今回のドラマでは死亡シーンは描かれず、「生存の可能性」を示唆して幕を閉じた。

 実際、「落武者となった明智光秀は姓名を変えて生き延びていた」「徳川家康の幕僚として活躍した僧の天海が実は光秀だ」といった説もあるため、今回はそうした説を加味したものになったようだ。NHKの関係者はこう語る。

「今回の大河ドラマの裏テーマは『教科書で習った歴史を裏切っていく』というものだったと思いますよ。その証拠に、織田信長や豊臣秀吉のキャスティングを従来のイメージから離れた俳優にしています。シャープな顔立ちのイメージで“二枚目俳優”が演じることが多かった信長を、個性的な顔立ちの性格俳優・染谷将太に、“さる”や“ハゲねずみ”のニックネームの印象が強い秀吉を渋い俳優の佐々木蔵之介に演じさせたことで、教科書で習った歴史やこれまでの時代劇で描かれてきた歴史とは違った見方を提示しましたよね。

それもこれも『光秀生存エンド』という展開を描くための伏線でもあったんでしょう」

「本能寺の変」を新たに描き直した『麒麟がくる』。一時は視聴率低迷にあえいだが、今年に入りV字回復を見せており、最終回も視聴者からの反応は概ね好評のようだ。そして何より、制作サイドはかつてないほどの万感の思いで最終回を見届けたという。

「『麒麟がくる』はとにかく波乱続きでした。昨年1月からスタートした本作ですが、メインキャストの沢尻エリカが薬物使用で逮捕され、撮影した素材はすべておじゃんに。撮り直しを余儀なくされ、番組スタートが10日以上も遅れるという前代未聞の始まりでした。

その後、新型コロナウイルス感染拡大で再び撮影がストップ。結局当初の予定になかった“越年放送”が決定し、撮影も1月までかかったんです。NHKにとっては、史上最も波乱ずくめだった作品として一生忘れられない一作になったでしょう。クランクアップ時には、主演の長谷川博己さんとスタッフは本当に疲弊しきっていたとか(苦笑)。ただ、それでも最後まで力を尽くしてくれた長谷川さんにNHKは大変恩義を感じているようで、今後も重用されることは間違いないです。もしかしたら数年後、長谷川さんがが再び大河主演に登板するなんていうウルトラCもありえますよ」(同)

 さまざまなトラブルを背負うはめになった長谷川だが、そのおかげで役者としての箔がついたのは言うまでもない。

今後もオファーは絶えることなく、引く手数多だろう。まさに、今回の作品が長谷川にとっての「麒麟」になるのかもしれない。