超高学歴アイドルグループ「学歴の暴力」が語る「私たちが高偏差...の画像はこちら >>

 「高学歴」と「アイドル」。一見、無縁なこの2つを組み合わせ、一部で注目を集めるアイドルグループがある。

東京大学工学部卒のなつぴなつ、名古屋大学情報文化学部卒のあずきあず、京都大学文学部卒あろえあろ、九州大学工学部卒のりりりかりの4名から成る「学歴の暴力」だ(旧メンバーとして、京都大学農学部卒のえもりえも)。

 「親や世間体 教師 審査員 戦える武器は 学歴だけ」(オリジナル曲「形なき暴力」より)

 「今まで 真面目に 生きてきたけれど I need to be violent フーリエ展開 できないくせして 邪魔をするな」(オリジナル曲「今まで真面目に生きてきたけれど」より)

 「暴力も荒廃も 制すのはこの頭 我らこそ頂点 世界を変えていけ 東京大学」(オリジナル曲「令和大学合戦」より)

 楽曲のなかで、高学歴女性ゆえの苦悩や決意を歌う彼女たちは、普段は会社員として働く「週末アイドル」である。2021年6月にえもりがなつぴを誘う形で結成され、翌2022年にはあずきが加入。楽曲、衣装制作から広報活動まで完全セルフプロデュースで、東海地方を中心に活動している。

 私アイドルになりたくて東大に入ったと公言していて
時々アンチに「お前がくだらない理由で受かったせいで1人熱意ある東大志望の学生が落ちたんだぞ」と叩かれるのですが、
「そんなに熱意があるのならくだらない理由で東大を目指した私より入試で高い点数が取れたはずなのでは」Q.E.D
(なつぴなつ、2022年10月のTweetより)

 こうした、“賢さ”を前面に押し出しての“アンチ”への反論や、ときに攻撃的なまでのエッジの効いた発言、過去の整形告白、卒業メンバーの既婚告白など、個性的なTweetでも世間を賑わせている、この学歴の暴力。

 彼女たちはなぜ、高学歴にもかかわらず、わざわざアイドル活動をするのか?

 彼女たちにとっては聞き飽きたものかもしれないその問いを、ジェンダー論に詳しい東京大学大学院情報学環・学際情報学府の田中東子教授立ち会いのもと、彼女たちにあえて投げかけ、話を聞いた。

(全3回中の1回目)

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(メンバー写真撮影はすべて石田 寛)

※本インタビューは、学歴の暴力結成のきっかけとなった京大卒・えもりえも(2022年12月をもって学歴の暴力を卒業。卒業後、実は既婚者であったことを明かし、一部で話題に)の卒業直後に、なつぴなつ、えもりえも、あずきあずの“オリジナルメンバー”3人に対しリモートで行われた。えもり卒業後、学歴の暴力は、2023年2月に京大卒のあろえあろ、九大卒のりりりかりの2名を新メンバーとして迎え、4人グループとして再出発を果たした。

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なつぴなつ(なつぴ・なつ)
愛知県出身。公立小学校から名古屋市内の名門中高一貫女子校、私立南山高等学校・中学校女子部(偏差値63)から現役で東京大学理科二類(偏差値67.5)に合格。同大工学部システム創成学科を卒業後は大学院に進学し、東京大学大学院工学系研究科を修了。
中学時代からアイドルを夢見てオーディションを受け続け、ダンスコピーサークルや地下アイドル等を経て、現在は愛知県内の企業で広報として勤務しながら、女の子&男の娘混合アイドル「きゅんとくる」のメンバーとしても活動中。
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えもりえも(えもり・えも)
岐阜県出身。地元の公立小中を卒業後、県内トップの進学校、県立岐阜高校(偏差値72)から京都大学農学部(偏差値62.5)に現役合格。同大卒業後は京都大学農学研究科に進み、現在は研究機関で植物の研究に従事する。大学時代に経験したメイド喫茶のアルバイトをきっかけに、アイドルの道へ。2021年に学歴の暴力をなつぴなつとともに結成。
2022年12月に学歴の暴力を卒業した。
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あずきあず(あずき・あず)
静岡県出身。地元の公立小中を卒業後、エリア内上位の進学高校から名古屋大学情報文化学部(偏差値62)に現役合格。同大卒業後は大学院に進学し、名古屋大学大学院情報学研究科を修了。パン屋へ就職後、バックオフィス業務に従事している。小学校時代から高学歴アイドルの夢を持ち、大学ではアイドルダンスコピーサークルで活動するほか、アイドルカフェ勤務、アイドルグループでの活動などを経験する。
2022年5月から学歴の暴力に加入した。

田中東子(たなか・とうこ)
東京大学大学院情報学環・学際情報学府教授。1972年、神奈川県生まれ、東京都出身。博士(政治学)。専門分野はメディア文化論、ジェンダー研究、カルチュラル・スタディーズ。第三波フェミニズムやポピュラー・フェミニズムの観点から、メディア文化における女性たちの実践について調査と研究を進めている。

近著に、『いいね! ボタンを押す前に~ジェンダーから見るネット空間とメディア』(共著、亜紀書房、2023年)、『ジェンダーで学ぶメディア論』(共編著、世界思想社、2023年)などがある。

※偏差値は、2023年3月時点のもの。みんなの学校情報、四谷大塚、河合塾等発表の数値をもとに記載。

 「学歴の暴力」の“オリジナルメンバー”である東京大学卒のなつぴなつ、京都大学卒のえもりえも、名古屋大学卒のあずきあずの3人。彼女たちは、それぞれ高偏差値の旧帝大に現役合格し、学部をストレートで卒業した後、大学院の修士過程を卒業している。その才女ぶりは幼少期から発揮されていたのだろうか?

――はじめに、大学までのご経歴について聞かせてください。

みなさんは、幼少期から“賢い”子どもだったのですか?

なつぴなつ(以下、なつぴ) 私は愛知県名古屋市内で生まれ育ち、公立小学校から中高は私立南山学園に通い、東大に進みました。幼少期は、読み聞かせしてもらった絵本の内容を丸暗記していたぐらいで、そんなに面白い話はないんですよ(笑)。

 小学校では、ペーパーテストは基本的に満点でした。でもそれが特別だという認識は自分にはなくて、60点とか70点とかを取る子はウケを狙っているのかと勘違いしていて。むしろ引っ込み思案で、授業でも手を挙げたりしないのに勉強だけできるので先生ウケは悪くて、通知表の評価もあまりよくはなかったです。

えもりえも(以下、えもり) 私は小さい頃、“学歴厨”だったことがありますよ。岐阜県の教育熱心な家庭に育ったので、幼稚園の頃に「めばえ教室」という知能指数を上げるための教室に通うことになったんです。そこで知能指数を測ったら数値が高くて驚かれ、それ以降、出会う友だちすべてに「知能指数いくつ?」と聞いて回っていたそうです(笑)。

 でも小学校時代はなつぴと同じで、成績はいいけど消極的な子どもでした。小中高と公立校で過ごし、京大に進学しました。田舎って公立の進学校がいちばん偉くて、「私立高校は勉強ができない人が行くところ」というイメージが根強いんですよね。

あずきあず(以下、あずき) 私は静岡県西部出身で小中高と公立校に通い、名古屋大学情報文化学部に進学しました。うちのエリアでも、私立高校は同じような認識でしたね。

 私も、小学校ではテストの点はいいけれど目立たない子でした。一方で、なんでも1番になりたい気持ちもあって、テストで満点以外を取ると、点数の部分を破って捨てていました。

――それは、親御さんに怒られるからですか?

あずき いえ、自分で自分が許せなかったから、なかったことにしたかったんです。たぶん親は、娘である私が賢いことをそれほどいいことだと感じていなかったと思います。母親も、「女の子は頭のよさよりかわいさや愛嬌を磨いたほうがいい」という考えの人ですし。

 当時の私はお金を儲けることに興味があったのですが、登下校のときに「アイデアやノウハウのような情報を売れば、元手がかからずにお金になるからめっちゃ儲かりそうだよね!」みたいな話を友達にして、まったく理解されずさみしかったという思い出もありますね(笑)。

田中東子(以下、田中) 小学生にして情報商材のアイデアを(笑)。頭のいい女子って、集団で浮きがちですよね。頭のよさを競い合うような文化が、女子グループのなかにはないから。

なつぴ 私も友達づくりには苦労しました。小3のときはクラスの中心的な男子から悪口を言われることもあって、つらい記憶も多いです。

 そんななか、「自分はひょっとして賢いのではないか」という認識を初めて持ったのは、小4のときでした。母親に勧められて「名進研」という名古屋の大手学習塾に、中学受験のために通い出したのがきっかけです。みんなと同じ勉強をしていても、テストを受けると通う校舎ではほぼ1番が取れたので、「世間は私より勉強ができないのかもしれないな」って。

勉強しか取り柄のない私は、京大卒アイドルを目指すしかない!

 なつぴが母のすすめで進学した私立南山高等学校・中学校女子部は、名古屋にある私立の中高一貫女子校。2023年現在の偏差値は63(中学入試時点)を誇り、難関大学への進学率は当地ではトップクラス。東大合格者も数多く輩出している。えもりは公立中学を卒業後、偏差値72の県内トップ進学校、岐阜県立岐阜高校(偏差値72)へ。あずきは公立中学からエリア上位の県立高校へ進学。しかし、その学生生活は華々しいものではなかったという。

――中学・高校では、どんな学生生活を送っていましたか?

なつぴ 中学受験で燃え尽きて、南山入学後はまったく勉強しなくなり、中高通して成績はいつも下のほうでしたね。高校の頃はよくても200人中60位、悪いときは150位とか。東大に入るような子は10位以内が普通なので、合格後、「絶対落ちると思ってた」と言われました。

 勉強ができる自負はありましたが、もともと勉強が好きじゃなくて。得意科目の理数系科目も勉強せずにできるほどではないし、文系科目はまるでできない。本は好きなんですけどね……。中高でいじめを受けていたので、桐野夏生さんの『グロテスク』には感情移入しました。

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桐野夏生『グロテスク』(文春文庫)
1997年に起きた、東京電力に勤務しながら夜は渋谷で“立ちんぼ”をしていたエリート女性が殺害された「東電OL殺人事件」をモチーフにした長編小説。学校や社会でつまはじきにされ、夜の世界に身を置くに至った女性主人公の生涯を描く。2003年初版、第31回泉鏡花文学賞受賞作。

えもり 私は中学校は成績がよかったものの、高校からは生物以外は勉強をほとんどしなくなりました。ただ、本は教科書ぐらいしか読まないのですが、なぜか国語だけは得意で。家庭科や美術といった実技系の科目も好きでした。

あずき 私は学ぶこと自体が好きだったので、どの科目も楽しく勉強していました。ただ、物理だけは楽しさを見いだせなくて。テストでは、中高ともに学年で10位以内に入りたい、ぐらいの気持ちで取り組んでいました。

 実は小学生のときからアイドルに憧れていたんですが、テレビのクイズ番組に出ている高学歴芸能人を見て、「勉強しか取り柄のない私は、京大卒アイドルを目指すしかない!」と思っていたので、中学入学時にはもう京大に入るつもりでいましたね。

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2010年に発売されたSKE48の3rdシングル「ごめんね、SUMMER」(日本クラウン)。松井珠理奈と松井玲奈がセンターポジションを務め、発売初週で6万枚超を売り上げた(オリコン調べ)。

SKE48が大好きで、「ごめんね、SUMMER」を聴いて握手会や劇場に

――「賢さを生かしてアイドルに」というのは、高学歴の女性特有の感覚なんでしょうか? 「勉強ができないからアイドルに」という発想なら理解できるのですが……。

なつぴ うーん、「勉強ができないからアイドルになりたい」と言えるのは、その子の見た目がいいからじゃないでしょうか? 少なくとも私の育った女子社会では、賢さで一目置かれることはなかったです。スクールカーストの上位かどうかは、すべて顔で決まるんですよ。

えもり 私の場合は、通っていた中学が荒れていたので成績がいいと一目置かれていじめにも遭わずに済みましたが、一方でなつぴのような思いをする高学歴女子は少なくないですよね。

なつぴ 私は地味で引っ込み思案な子だったので、キラキラ輝いていてたくさんの人に愛されるアイドルたちが、心の底からうらやましかったです。

 AKB系だとSKE48が一番好きで、「ごめんね、SUMMER」(2011年)、「片想いFinally」(2012年)ぐらいの時期は特に夢中でしたね。SKE48は名古屋が本拠地なので、中高時代はSKE48の握手会や劇場にもよく行きました。AKB48の写メ会では、推していたみおりん(市川美織)と写メを撮ったり。

 中2の頃からはこっそりAKBのオーディションにも応募していましたが、選考をまったく通らず、「かわいくないからだ」と落ち込んでいました。そして高2のときに、「そうだ、東大生という武器を手に入れよう!」と思い立ったんです。東大は学費も安いし、就職に有利そうだし、「自分をいじめた人たちを見返したい!」という思いもありましたね。

――えもりさんも、アイドルに憧れる中高生だったのですか?

えもり 私は、アイドルに憧れたことはないですね。そもそもあまり音楽に興味がなくて、特に日本語詞が付いた音楽が苦手で……。感情移入しすぎて気分が悪くなったり、疲れたりしてしまうんですよ。

 だから普段は、意味のわからない言語で歌われている歌とか、トランスみたいな気分が高揚する曲を聞いています。同じ理由でテレビもNHK以外はほとんど観ませんし、本も読まないんです。

 京大を目指したのは、周囲の友達に東大志望、京大志望が多かったからです。「じゃあ私も」と、唯一好きだった生物が学べる京大農学部を選びました。両親ともに他大の農学部出身で親しみもありましたし、植物も好きだったので。

 あと最近気づいたのは、私は、「自然」という思い通りにならないものに人が出会ったときの微笑ましいシーンが好きなんですよ。今、仕事で植物の研究をしていますが、いい大人たちが「花がピンク色にならない」と真剣に悩んでいたりすると、面白いなと思います。

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学歴の暴力の3人はいずれも、東京大学、京都大学、名古屋大学の“三大国立大学”に現役で合格した。(写真はイメージ/ゲッティイメージズより)

 「アイドルになるため」と東大、京大を目指したなつぴとあずき。生物を学ぶために京大を目指したえもり。一般入試の場合、彼女たちが入学した国立大学は基本的に、毎年1月なかばに実施される大学入試センター試験(当時)を受けた上で、各大学が2月下旬頃に個別に実施する二次試験も受験し、両方の成績を総合して合否が判定される(難関校ほど、二次試験のほうが重視される傾向が強い)。東大理科二類が3.4倍、京大農学部が2.3倍、名大情報文化学部が2.4倍(2023年度前期)という倍率の難関校に合格するまでの、彼女たちの受験エピソードとは?

――受験期について教えてください。なつぴさんとえもりさんはあまり勉強が好きではなかったとのことでしたが。

えもり 勉強が大嫌いだし、そのうえ受験期はうつ症状が出ていたので、苦しい時期でした。憶えているのは、電車で塾に行く途中、車両の連結部で泣きながら英単語を暗記するとすごくはかどることに気づいたことぐらいですね。それ以来、毎週電車の連結部で単語帳を見ながら泣く人になりました。蛇腹にはさまりそうなあの恐怖感が、ちょうどよかったのかもしれません。

なつぴ 東大合格という目標が高3でできてからは、猛烈に勉強しました。ただ、私は人の話を聞いて理解するのがすごく苦手なので、学校では授業を聞かずに寝ていて、放課後に塾の自習室に直行して閉まるまでひたすら問題を解いていました。休日は10時間ぐらいは自習室にいた気がします。

あずき 私は塾にすら行かず、1人で勉強しました。周りに人がいると、視線とか何を考えているのかが気になって集中できないんですよ。

 ただ、何時間も座っていると太りそうだったので、学校で勉強したことを思い出しながら徒歩で30分かけて家まで帰ったり、部屋でスクワットをしながら勉強したりしていました。小さい頃から「もっとかわいくならなくては」みたいな強迫観念があって、太るのは受験で落ちる以上にいやで……。

――三者三様の受験期を過ごされて、実際にセンター試験の点数はどのぐらいだったんですか?

なつぴ 私は、一番合格点が低く、かつ医学部進学枠があることに惹かれて東大の理科二類を受験したのですが【註】、センター試験は900点中8割5分くらいでした。ちなみに理系科目に限っていうと、400点中398点です。二次試験は、英語と数学(ともに120点満点)がどちらも75点ぐらい、国語(80点満点)が20点ぐらいしか取れず、理科が物理と化学(2科目で計120点満点)でどちらも30点ぐらいかな。合格者平均よりは、まあまあ上だったかなと思います。

【註】基本的には、東京大学医学部へ進学できるのは理科三類の学生のみであるが、学部1~2年時に成績上位を維持している者については、理科二類から医学部への進学もあり得る。

 合格発表はネットのみだったのですが、自分の番号があったときは「よかった……」と、うれしさより安堵の気持ちのほうが大きかったです。その後、母に知らせたら「まさかあなたが受かるなんて!」と泣き叫んでいました。

えもり 私は試験の点数まではそんなに憶えていないですね。センターが8割5分ぐらい取れて、二次試験の点数は合格者平均よりちょっと下ぐらいだったはずです。

 印象に残っているのは、京大の受験会場で、周りが参考書やノートを読んでいるのに、1人だけ『ちゃお』(小学館発行の少女マンガ誌)を読んでいる女子がいたこと。ヤバイな、怖いなと思いましたが、今彼女がどうしているか気になります。

あずき 私も試験の点数は、センター、二次ともにえもりちゃんと同じような感じでした。ただ、受験勉強中は京大が合格圏内だったのに、センターで失敗してしまい、1月後半に仕方なく志望校を変えて、京大ではなく名大に。小学校の頃からずっとパソコンと勉強全般が好きで、京大では総合人間学部を目指していたので、似たようなことが学べる学科を探しました。

 最終的には、名大と慶応大学のどちらに進学するか迷ったのですが、トイレの印象で名大の情報文化学部に行くことを決めました。

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女子学生の進学を左右する“トイレ問題”。(写真はイメージ/ゲッティイメージズより)

田中 ああ、トイレは女子学生の進学において重要なポイントですよね。

――えっ? トイレが決め手に!?

あずき はい。受験会場だった慶応の校舎のトイレが寒々しくて、めちゃくちゃ古かったんですよ。名大のトイレは、きれいだし暖房便座もついていて魅力的でした。公立中高のトイレがずっと寒々しかったので、大学に入ってまでそういう学生生活はしたくないと思っていたんです。

田中 大学ってへんな場所で、トイレだけ見ても、共学の学校なのに男子用のほうが多かったり、女子用だけ行きづらい場所に配置してあったりすることが、普通にあるんですよ。

あずき ただ、2人と違って私の家族は、私が勉強をがんばっていることにあまり関心がないようでした。特におばあちゃんは、受験勉強に励んでいい大学に入った私を、あまり快くは思っていなかったようです。

 というのも、おばあちゃんから定期的に届くお惣菜と一緒に入っている私宛ての手紙は必ず、「がんばらないで」という言葉で締めくくられていたんですよ。最初はなんのことだかわからなかったのですが、手紙の文脈からだんだんと、おばあちゃんは「女の子は大学で勉強なんかしなくてもいい」と思ってるってことが理解できました。

田中 それは、“女子あるある”かもしれませんね。

(第2回へ続く)

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