山田裕貴主演のTBS系金曜ドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』。2023年の春、秋葉原行きのつくばエクスプレスの5号車と6号車が突如両ごと荒廃した世界にワープし、乗客たちが極限下を懸命に生きる姿を描くヒューマンエンターテインメントドラマとなる本作。
直哉(山田裕貴)ら5号車の面々は、第5話でついに6号車の人たちと対面。6号車のリーダー的存在である山本(萩原聖人)から、今いるのは2060年の未来で、隕石の落下により災害が起こり、荒廃した世界になってしまったと知らされた。山本の声かけもあり、5号車と6号車は協力体制を組むことになりそうだったが、その矢先、玲奈(古川琴音)と紗枝は森の中で金髪の死体が埋められているのを発見。そこに矢島(鈴之助)ら6号車のチンピラ3人組に襲われ、玲奈は紗枝を置いて逃げ延び、「向こうの奴らが襲ってきた!」と報告し、直哉と優斗(赤楚衛二)は慌てて紗枝を探しに行く――というところで第5話は終わっていた。
紗枝は懸命に森の中を逃げ回り、山本が以前に発見した船の中に隠れる。紗枝を探す直哉と優斗は、6号車内で血痕を見つけ、山本への不信感を高める。問い詰めると、この世界に着いてすぐに車内で男がナイフを持って錯乱し、制止しようとして刺してしまったのだった。この件をきっかけに山本は6号車のリーダーとなったのだった。
直哉らの要請を受け、山本たち6号車の面々も紗枝を探し出す。状況を知らない紗枝は船の奥に隠れるが、そこで思わぬものを見てしまう。山本は以前、船の無線が奇跡的に通じたことがあり、そのおかげでこの場所が2060年であることなどを知ったと説明していた。
5号車から離れて森に一人で暮らす田中(杉本哲太)の言葉にそそのかされ、6号車のチンピラ3人組は5号車の車両内にあるボストンバッグを強奪しようと近づく。しかし森の中の罠にひっかかり、5号車の乗客たちに気づかれてしまうことに。5号車の乗客たちは、以前に加藤(井之脇海)が6号車の加古川(西垣匠)に敵と誤解されて刺され、そして今度は紗枝が拉致された可能性が浮上、しかも過去に1人殺していると知り、6号車への疑念が深まりに深まっていたところだった。ついに理性よりも恐怖の本能が勝ち、5号車の乗客たちは3人組を撃退しようと石を投げ始めたことをきっかけに、5号車と6号車の乗客たちによる乱戦へと発展してしまう。
駆け付けた直哉は、人と人が殴り合い、あちこちで悲鳴が上がる光景に愕然。まさに「戦争」だった。
その隙を突いて矢島はボストンバッグを強奪。ふたたび争いが戻るかと思われたが、そこに自力で脱出した紗枝、そして事態を遅れて知った山本が現れる。それまで性善説的なお人よしだった紗枝だが、山本の姿を見て「もう黙って受け入れたりしない」と意を決し、6号車の乗客の前で山本の嘘を暴く。失望と絶望が広がるなか、山本は「そう思えたほうが希望があっていいじゃないですか。『帰る』『戻れる』って言ってあげたほうがみんな喜ぶ。それだけですよ」と悪びれない。IT企業社長の山本は会社が倒産の危機にあるタイミングで2060年にやってきたため、そもそも元の世界に戻るつもりはなかった。この世界で自分がリーダーとなり、「王国」をつくりあげようとしていたのだ。
直哉は「王国? これで?……だっせぇ」と一蹴し、「結局、自分が王様になりたいだけ」と喝破する。
米澤の心の叫び、紗枝の覚醒、そして…間宮祥太朗演じる蓮見が登場
嘘、支配、争い……第6話はさまざまな要素が入り混じっていた。恋の三角関係にもわずかな動きが。紗枝の行方不明という事態に心が揺さぶられていた直哉は最後、迷惑をかけたと謝罪する紗枝の靴ひもを結んでやり、「よく頑張った」と優しく声をかける。やっと緊張の息が切れた紗枝は、直哉が去ったその場で泣き崩れる。その様子を見て優斗は「すごいよな、畑野さんは。たった一人で逃げ出して、立ち向かって。強いよな」と感心するが、直哉はため息をつき、「わかってないなぁ……。なんであいつが頑張れてるか。お前だよ。気づいてやれよ」と伝え、優斗ははっとした顔を見せる。3人の関係はこれからどうなるのだろうか。
お人よしの紗枝が山本を告発するという“覚醒”も印象的だったが、第6話のMVPは米澤だろう。疑心暗鬼からとうとう全面衝突した5号車と6号車の乗客。そのなかでただひとり米澤が争いを止めようと声を上げるシーンは、些細なことから誹謗中傷が飛び交うSNS社会への訴えでもあるようにも感じた。自分には特別な才能もなく、喧嘩もしたことがない、この電車にいて自分に何ができるのかと自問自答している米澤。明るくふるまう裏で人知れず苦悩する姿に、感情移入した視聴者も多かったことだろう。しかし、勇気をもって戦いを止めようと叫んだ米澤が、最悪の事態を回避するきっかけをつくった。そして争いが終わった後に友人の加藤がかけた「米ちゃん。最高にかっこよかったよ」という言葉は、米澤にとっても最高の称賛だったに違いない。
争いはとりあえず収まったものの、両者が衝突した事実は消えない。いよいよサバイバル生活も限界となりそうだが、ようやく抜け出せる気配が出てきた。
以前から空に浮かぶオーロラや発光する石が登場していたが、第6話でも車両以外に住むことができそうな場所を探していた佳代子(松雪泰子)がオーロラや石に気づく。2023年でも、加藤が通う大学の物理学の教授・蓮見(間宮祥太朗)が電車の車両が忽然と姿を消すという謎に迫りつつあった。
『ペントレ』山田裕貴“直哉”がついに紗枝への想いを自覚? 三角関係が本格化か 電車の一部車両が車両ごと荒廃した世界にワープし、乗客たちが極限下を懸命に生きる姿を描くヒューマンエンターテインメントドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君...
■番組情報
金曜ドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』
TBS系毎週金曜22時~
出演:山田裕貴、赤楚衛二、上白石萌歌、井之脇海、古川琴音、藤原丈一郎(なにわ男子)、日向亘、片岡凜、池田優斗、宮崎秋人、大西礼芳、村田秀亮(とろサーモン)、金澤美穂、志田彩良、白石隼也、濱津隆之、坪倉由幸(我が家)、山口紗弥加、前田公輝、杉本哲太、松雪泰子 ほか
脚本:金子ありさ
音楽:大間々昂
主題歌:Official髭男dism「TATTOO」(ポニーキャニオン/IRORI Records)
プロデューサー:宮﨑真佐子、丸山いづみ
演出:田中健太、岡本伸吾、加藤尚樹、井村太一、濱野大輝
製作:TBSスパークル、TBS
公式サイト:tbs.co.jp/p_train823_tbs