TBS公式YouTubeチャンネルより

 6月25日に最終回を迎えたTBS系日曜劇場『ラストマンー全盲の捜査官ー』放送後に、7月期の同枠で放送される『VIVANT(ヴィヴァン)』の予告が流れ、その壮大なスケールが話題を呼んでいる。

 7月16日に放送スタートとなる本作は、堺雅人が2020年7月期の日曜劇場『半沢直樹』以来3年ぶりに連続ドラマの主演を務めるほか、阿部寛二階堂ふみ松坂桃李役所広司と主演級がズラリ。

さらに2日には18名の追加キャストが発表され、林遣都竜星涼、山中崇、橋本さとし小日向文世を始め、トム・ホランド主演版『スパイダーマン』シリーズの「ハリントン先生」で知られるマーティン・スターや、元力士でYouTubeやTikTokで人気を博す富栄ドラムなど多彩な顔触れが揃う。

「堺主演で一大旋風を巻き起こした『半沢直樹』シリーズの福澤克雄氏が原作・演出を手掛ける大作で、モンゴルで2カ月半に及ぶ大規模ロケも敢行。ハリウッド俳優だけでなく、モンゴル出身の俳優や、幼少期からハワイと行き来して育ち英語がネイティブの古屋呂敏らも起用されており、インターナショナルな内容となりそうですが、ストーリーや俳優たちの役柄については初回放送まで一切明かさないという徹底的な“秘密主義”で注目を集めています。予告映像では広大な砂漠地帯をラクダに乗って歩く姿などが映され、視聴者からは『次のドラマは砂漠!?』『スケールが想像以上だった』『もはや映画レベル』と驚きの声が上がりました」(テレビ誌記者)

 今夏最大の話題作となるのは間違いなさそうだが、芸能記者は「それでも懸念点は多い」と言って、こう指摘する。

「事前に与える情報を限定する手法はプロモーション戦略として以前からありますが、特に最近は『シン・ゴジラ』や『THE FIRST SLAM DUNK』が事前の宣伝はほぼ皆無ながら大ヒット。7月14日公開の宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』も同様で、いまだに関係者にすら一切の情報が入ってきません。

これらに共通しているのは“庵野秀明監督によるゴジラ映画”、“原作者によるスラムダンクの映画化”、“宮崎駿監督によるジブリ最新作”といったIPの強さ。TBSも、堺主演×福沢監督のオリジナル新作ということで思い切った手に出たのでしょう。ドラマをやっていること自体が知られなければ元も子もないと思いますが、『日曜劇場』の看板の強さもあるため、キャストの豪華ささえ伝わっていれば初回は成功するのでは。

 また、テレビ界では以前から番宣効果に疑問符がつけられており、バラエティなどへの出演を嫌がる俳優が増えています。その筆頭が堺といわれており、おそらくは出演条件に『番宣稼働NG』があったはず。そこで、いっそのこと事前情報を出さないという実験を試みることにしたのではないでしょうか」

 また、今作は福澤監督が原作を初考案したオリジナルドラマであることも不安材料の一つ。

「まだ公表されていない脚本家次第というところはありますが、本職の作家による原作ではないというのは、危ない匂いがしますね。『半沢直樹』のメガヒットは堺×福澤氏の他に“原作・池井戸潤”という要素があった。また、主演の堺も『あまりに壮大で複雑でスピーディーな物語なので、準備が追いついていない状況』『正解は福澤監督の頭の中だけ』とコメントしており、大風呂敷を広げすぎると中身が追い付かない可能性がありますし、目まぐるしく話が動いて視聴者も理解できない、といった展開になる危険性もあります。福澤監督が『どんなドラマにも当てはまらない、日本ではあまり見たことのないドラマになる』『視聴者の予想を次々と裏切っていくエンターテイメントをお届けいたします』とハードルを上げているぶん、“キャストの無駄遣い”とならなければいいのですが……」(前出・テレビ誌記者)

 そして何よりも、この「豪華キャスト」こそが最大の弱点になり得るという。

「キャストや制作陣が豪華だからといって成功するとは限りません。むしろハードルが上がり、より一層、内容に厳しい目が向けられます。

2014年にフジテレビ開局55周年記念企画として放送されたドラマ『若者たち2014』は、主演の妻夫木聡をはじめ、永山瑛太、満島ひかり柄本佑蒼井優長澤まさみらが集結しましたが、事前の注目度が大きかったぶん、厳しい評価が目立ち、初回の世帯視聴率は12.7%(関東地区、ビデオリサーチ調べ/以下同)だったのが、第2話で7.8%と5ポイント近く下落。1966年に放送された昭和の物語をリメイクしたドラマでしたが、現代劇に昇華されていなかったため、ストーリーや演出に対して古臭い、時代錯誤だという声が多く、最終話は6.1%と、初回の半分以下の数字に終わってしまいました。『ラストマン』の最終回が13.4%を記録したこともあり、『VIVANT』の初回視聴率は15%超え、ひょっとすると20%超えもあるのではと期待されていますが、内容次第で『若者たち2014』の二の舞になるかもしれません」(同)

 フランス語で「vivant」とは「生きている」という意味だが、今のところこのタイトルが指す意味も不明。製作費は通常の倍以上とささやかれているだけに、TBSとしては絶対に負けられない戦いとなりそうだが、はたして……。

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日刊サイゾー2014.07.17