テレビ朝日

 連日報じられるジャニーズ事務所創業者の故ジャニー喜多川氏による性加害問題。9月7日には都内で初めて事務所が会見を行ったが、午後2時から始まった会見は、NHKテレビ東京を除く民放テレビ局が生中継した。

「NHKは総合テレビ、ラジオ第1で冒頭の1時間近くを割いて中継。通常、ドラマの再放送をするフジテレビも、報道特別番組扱いで全国ネットで会見を生中継しました。日本テレビTBSは『情報ライブ ミヤネ屋』『ゴゴスマ~GOGO!Smile!~』を編成しているので当然、生中継で扱っています。当該時間帯が再放送枠のテレビ朝日は、調整に調整を重ね、ギリギリのタイミングで中継特番を編成した格好です」(在京テレビ局編成マン)

 NHKの編成事情については、関係者はこう明かす。

「多くの番組にジャニーズ事務所のタレントを出演させているが、一方で今回はグローバル規模で問題視されている“事件”です。実際、櫻井翔がラグビー日本代表のアンバサダーとなっていることをW杯開催国フランスの夕刊紙が批判する記事を出しているぐらいですからね。

NHKでは芸能・教養セクションと報道局が局内での扱いをめぐりバチバチにやり合っていますが、イニシアティブは報道局が握ったので大展開が実現しました」

 そして夕方のニュースになると、日本テレビとTBSが、被害を訴えていた元ジャニーズJr.をスタジオに呼び、感想などを語らせた。

「同じ日の午後4時あたりからは日本テレビの『news every.』に1998年~2000年頃に在籍していた橋田康氏が、TBSの『Nスタ』にはやはり1998年~2000年頃に在籍していた元ジャニーズJr.で、『ジャニーズ性加害問題当事者の会』のメンバーでもある大島幸広さんが生出演。番組は会見をどう読み解くか、多角的な視点を打ち出す演出をしていました。日テレは橋田氏を翌朝の『DayDay.』にも迎えていましたし、TBSも会見翌日の『ゴゴスマ』に現役ジャニーズのA.B.C-Z河合郁人を出して“涙のコメント”をさせていましたね」(前出・在京テレビ局編成マン)

 ただ、やはり気になるのはジャニーズ事務所と深い関係にあるとされるテレビ朝日がどう扱ったかだろう。会見では記者から、同局の看板音楽番組『ミュージックステーション』に関する質問も飛び出した。

「同日夕方の『スーパーJチャンネル』は、他局がバンバン会見の模様を生中継したりまとめたりしていたにもかかわらず、通常モードに近い進行で、いつものグルメVTRや企画ものをそのまま放送。

率先して扱わないという姿勢に感じられました。同日夜の『報道ステーション』ではさすがに40分近くジャニーズ事務所の会見について取り上げたものの、被害に遭った元タレントや有識者を呼ぶこともなく、リスクマネジメント専門家の意見はフリップ形式で紹介しただけで、局アナ2人も発言はありませんでしたね」(広告会社幹部)

 踏み込みが甘い背景にはやはり『ミュージックステーション』を発端とした“蜜月”が大きく影響している。

「他局でもドラマ、バラエティ番組などでジャニーズ事務所所属のタレントが多数出演していますが、ご存知の通り、テレ朝は『Mステ』に“ジャニーズ枠”を持っている。これは、80年代末からの光GENJIの“レギュラー出演”が大きく関係しています。1986年にスタートした『Mステ』は当初視聴率的に苦戦していたものの、10代をターゲットとするなど他の生放送歌番組と差別化を図る中で、1987年にデビューするとあっという間に爆発的人気を呼んだ光GENJIを毎週出演させるという施策を実施し、番組として勢いをつけました。光GENJIのレギュラー出演に助けられたことを番組サイドは恩義に感じており、その後もジャニーズを毎週1組出演させるという“ジャニーズ枠”が誕生した……という経緯は同番組の立ち上げスタッフである山本たかお氏自ら語っていることです。

 そしてその蜜月はより深く、広くなり、“デビュー前”のジャニーズJr.が当たり前のように『Mステ』に出たり、『Mステ』とのコラボでジャニーズJr.のライブDVDを販売したり、ドラマの“ジャニーズ枠”がつくられたりもしています。なにせ新社長になった東山紀之が“メインキャスター”を務めるニュース情報番組『サンデーLIVE!!』があるくらいですからね。さすがに東山は降板となりましたが……。そんなジャニーズとテレ朝のズブズブ感が露わになったと言っていいでしょう」(週刊誌記者)

 テレビ各局は今後の起用について従来と変わらず続けると宣言したが、一方でアサヒグループホールディングスやキリンホールディングスらがジャニーズ所属タレントの広告起用について「今後は起用しない」との方針を打ち出し始めている。テレビ局におけるジャニーズ忖度がなくなるのにはまだ時間がかかりそうだ。

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