M-1グランプリ 公式サイト

(前編はこちら)

■2015年

メイプル超合金=紫シャツ×赤Tシャツ
馬鹿よ貴方は=白Tシャツ×ジャケット
スーパーマラドーナ=スーツ×スーツ
和牛=スーツ×スーツ
ジャルジャル=スーツ×スーツ
銀シャリ=青スーツ×青スーツ
ハライチ=スーツ×ジャケット
タイムマシーン3号=スーツ×白シャツ&短パン
トレンディエンジェル=白シャツ&サスペンダー×ジャケット

休眠期間を経て再開した『M-1』のトップバッターはメイプル超合金。紫シャツと赤Tシャツという衣装以上に、人物そのものにインパクトを抱いた安藤なつとカズレーザーの登場は、『M-1』復活祭にふさわしい華やかさだった。

ジャルジャルは前回から一転、仕立てのいい揃いのスーツ姿。

これは直前のロケ番組でダウンタウンの浜田雅功から買ってもらったものだったという。

■2016年

アキナ=ジャケット×ジャケット
カミナリ=ジャケット&短パン×黄色シャツ
相席スタート=白シャツ&スカーフ×スーツ
銀シャリ=青スーツ×青スーツ
スリムクラブ=スーツ×スーツ
ハライチ=スーツ×ジャケット
スーパーマラドーナ=スーツ×スーツ
さらば青春の光=ベスト×スーツ
和牛=水玉スーツ×スーツ

初出場のカミナリ。背の高い竹内まなぶがジャケットに短パン、小柄な石田たくみが鮮やかな黄色いシャツで登場。ほとんど知名度のない2人の正体不明な雰囲気が、決まりのスーツでなかったことでさらに増幅されたように見える。

前年から連続出場となった和牛は、水田信二が水玉スーツを初披露。その後、数年間水田のトレードマークとなった。

また、さらば青春の光の森田哲矢はバーテンのような変なベスト姿で登場したが、これは楽屋でほかの芸人から「ベストのほうがいい」とそそのかされ、それを鵜呑みにした結果だったという。

■2017年

ゆにばーす=ワンピース×白シャツ&青ネクタイ
カミナリ=ジャケット&短パン×黄色シャツ
とろサーモン=ジャケット×ジャケット
スーパーマラドーナ=スーツ×スーツ
かまいたち=ジャケット×スーツ
マヂカルラブリー=白シャツ&青ネクタイ×ピンクカーディガン
さや香=スーツ×スーツ
ミキ=スーツ×スーツ
和牛=水玉スーツ×スーツ
ジャルジャル=スーツ×スーツ

前年の『M-1』出場で大ブレークを果たし、全国に顔と名前が知れ渡っていたカミナリが、前年と同じ衣装で登場。ネタとしてはシステムを踏襲しつつ進化させたものだったが、得点は伸び悩んだ。

マヂカルラブリーが初出場。野田は白シャツに青ネクタイという、トップバッターのゆにばーす・川瀬名人とほぼ同じ衣装で登場したが、上沼恵美子にネタを酷評され、その白シャツ衣装を破り捨てるという暴挙に出た。結果、上沼に怒鳴られることになるが、この一連のくだりが20年の優勝へとつながっていく。

■2018年

見取り図=ジャケット×ジャケット
スーパーマラドーナ=スーツ×スーツ
かまいたち=ジャケット×スーツ
ジャルジャル=スーツ×スーツ
ギャロップ=ジャケット×ジャケット
ゆにばーす=ワンピース×白シャツ&青ネクタイ
ミキ=スーツ×スーツ
トム・ブラウン=スーツ×ペンギンセーター
霜降り明星=短パンスーツ×スーツ
和牛=ジャケット×スーツ

トム・ブラウンが初登場。色のバランスが変な布川ひろきと、ペンギンが描かれたセーターに身を包んだみちおがインパクト抜群のネタを披露し、ブレークをつかんだ。

王者となった霜降り明星は揃いの黄色いネクタイの衣装を披露。

その後も、霜降り明星は漫才衣装を「正装」と呼び、節目となるラジオ番組でも身に着けて出演するなど、2人にとってこの衣装を着ることは、活動におけるひとつのメルクマールとなっていく。

■2019年

ニューヨーク=スーツ×スーツ
かまいたち=ジャケット×スーツ
和牛=スーツ×スーツ
すゑひろがりず=和装×和装
からし蓮根=ジャケット×スーツ
見取り図=ジャケット×ジャケット
ミルクボーイ=ジャケット×スーツ
オズワルド=サスペンダー×サスペンダー
インディアンス=白シャツ×スーツ
ぺこぱ=スーツ×ジャケット

すゑひろがりずが和装に身を包み、ファットボーイスリムのリズムに合わせて鼓を叩きながら躍り出た年。正装でも私服でもない衣装は第2回のテツandトモ以来となり、それ以降も登場していない。

また、この年はサスペンダーをトレードマークにするオズワルドも初登場。クラシカルなスタイルが目を引いた。

長年、キャラクターに悩みぬいたぺこぱ・松陰寺太勇はこの年の年初に放送した『おもしろ荘』(日本テレビ系)を最後に着物を脱ぎ、ホスト系のスーツ姿で決勝にたどり着いている。衣装の変更がブレークに直結したともいえそうだ。

■2020年

インディアンス=白シャツ×スーツ
東京ホテイソン=スーツ×スーツ
ニューヨーク=スーツ×スーツ
見取り図=ジャケット×ジャケット
おいでやすこが=シャツ&ネクタイ×シャツ&ネクタイ
マヂカルラブリー=白シャツ&青ネクタイ×ピンクカーディガン
オズワルド=サスペンダー×サスペンダー
アキナ=ジャケット×ジャケット
錦鯉=スーツ×スーツ
ウエストランド=赤チェックジャケット×ジャケット

真っ白なスーツを着込み、「飲み物こぼしちゃうから牛乳しか飲めない」というエピソードを100万回くらい披露している錦鯉・長谷川雅紀がデビュー。この年は優勝をマヂカルラブリーに譲ったが、翌年、まったく同じ衣装で頂点を極め、テレビスターの仲間入りを果たした。

ウエストランドも初登場。井口浩之は衣装も私服もその大半を事務所のボスである爆笑問題・田中裕二から譲り受けており、過去には「M-1を勝ち抜くのはネタより(衣装の)生地が重要」と語っていたこともあった。

■2021年

モグライダー=ジャケット×ジャケット&短パン
ランジャタイ=ジャケット×白Tシャツ
ゆにばーす=ドレス×スーツ
ハライチ=カーディガン×トレーナー
真空ジェシカ=スーツ×スーツ
オズワルド=サスペンダー×サスペンダー
ロングコートダディ=スーツ×スーツ
錦鯉=スーツ×スーツ
インディアンス=白シャツ×ジャケット
もも=スーツ×スーツ

ゆにばーす・はらの深紅のドレスが目を引いた。また、モグライダーも独自のスタイルを見せ、ともしげのキャラクターを大いに印象付けている。

コント職人であるロングコートダディがシックな紺の揃いスーツで決めてきたのも印象的。敗者復活から上がってきたハライチは、澤部がデビュー以来のアラスカTシャツを用意していたものの、スタジオに持ってくるのを忘れたため、トレーナーでの出場となった。

特に、ネタに影響はなかったようだ。

■2022年

カベポスター=スーツ×スーツ
真空ジェシカ=スーツ×スーツ
オズワルド=サスペンダー×サスペンダー
ロングコートダディ=スーツ×スーツ
さや香=スーツ×スーツ
男性ブランコ=スーツ×スーツ
ダイヤモンド=スーツ×スーツ
ヨネダ2000=トレーナー×Tシャツ
キュウ=スーツ×スーツ
ウエストランド=赤チェックジャケット×ジャケット

2年連続出場の真空ジェシカが、前年と同じスーツで登場。川北茂澄の白地に黒で何か描いてあるジャケットは、いったいどこで売っているのだろうか。

この年は、普通の衣装のおじさんたちが多い中、ヨネダ2000が独自の衣装を見せた。誠は緑のトレーナー、愛は青いイルカのTシャツと、まるで部屋着のようなスタイルだったが、摩訶不思議なネタの世界観とマッチし、爆笑をさらっている。

 * * *

 ここまで、衣装という観点から『M-1』を振り返ってみた。漫才師にとって、衣装への思いはそれぞれ。こだわり抜いて選んでいる者、大御所にプレゼントされたスーツで力を得る者、衣装そのものがドラマを生むこともあった。

 そして過去の『M-1』を見返してみて、やはりもっとも印象に残ったのはテツandトモの審査の時間だった。いくらなんでも、談志師匠怖すぎますって……。

(文=新越谷ノリヲ)

編集部おすすめ