現在の地上波テレビにおいて重要な存在となっているのが、無料見逃し配信サービス「TVer」。地上波テレビをあまり見ない若い層もTVerなら見るとあって、その再生数が“若者人気”の指標ともされている。
テレビプロデューサー・佐久間宣行のYouTubeチャンネル『佐久間宣行のNOBROCK TV』で12月23日、ゲストの東野幸治とともに2023年のエンタメ界を振り返る動画が公開された。そのなかで佐久間Pが「TVerが一般化してきて、(TVerの視聴者層が)昔のテレビの視聴者に戻りつつある」と発言。かつての地上波テレビのように、TVerにおいても「女性視聴者とアイドルが強い」状況になっているというのだ。
これまでであれば、ネット配信では比較的コアな内容のものが人気になりやすい傾向があった。しかし、TVerの視聴者と地上波の視聴者の差がなくなってきたことでその定石が崩れ、TVerにおいても“かつての地上波”と同じような番組が人気となっているのだ。
「地上波ではなかなかピックアップされにくい攻めた番組がTVerで注目され、一部で人気が出るという構図がありました。しかしTVerが一般化した結果、攻めた番組が目立たなくなっている。これが何を意味するかというと、少し前なら“TVerで回るから”ということを口実に“攻めた番組”を作ることもできましたが、今後はそれも難しくなってくるということです。裏を返せば、女性視聴者に向けられた番組がどんどん増えていくということでもある。『夫が寝たあとに』のように、ママタレントの活躍の場はますます拡大していくでしょう」(テレビ局関係者)
さらに“TVerのアメブロ化”の未来もささやかれている。
「アメブロ(アメーバブログ)といえば、多くの芸能人が公式ブログをやっていたプラットフォームですが、だいたひかるやクワバタオハラ・小原正子ら“ママタレント”が存在感を増していった。今となっては子育てをしている女性がメインの読者となっていて、もはや“ママタレブログ”のプラットフォームとなっている。家事をしている合間に、主婦がサラッと楽しめるようなイメージがアメブロの良さで、そこに主婦が共感できる内容があれば人気も高まっていくわけです。TVerについても、かなり近い雰囲気が出ている。家事をしながらスマホで見られるようなライトな番組が人気で、なおかつママタレが出ていれば、共感も得られる。忙しい主婦にとっては、時間帯を気にせずこういった番組を楽しめるTVerは、とてもありがたいサービスともいえる」(同)
今後ママタレントの活躍の場が増えていくならば、具体的にどんなタレントたちが躍進していくのだろうか。
「ママタレントの要素として欠かせないのが『親近感』です。芸能人でそれなりにお金持ちではあるのだけど、視聴者と同じ目線を持っていることが何よりも重要です。現在のママタレ界のトップは、元モーニング娘。の辻希美さんや藤本美貴さんと言われていますが、いずれも豪邸に住みながらも、一般の主婦感覚は忘れていない。元々そんなに“芸能人らしい”タイプでもないということで、まだまだ人気は続くでしょう。
さらに、品川庄司の庄司智春の妻である藤本のように、“芸人の妻”も仕事を増やしている。
「近藤さんは若いママ代表というイメージ。いわゆる“天然”でどちらかといえば“おバカ”な雰囲気ですが、モデルとしても支持も得ていて、同世代からの憧れの対象でもあります。お笑い系の企画はもちろんですが、ファッション系を含めたワイドショー的な企画でも活躍できるというのも高ポイントですね」(同)
そのほか、爆笑問題・田中裕二の妻である山口もえ、さまぁ~ず・大竹一樹の妻・中村仁美、おばたのお兄さんの妻であるフジテレビの山崎夕貴アナなども、オファーの増加が見込まれているという。
「山口もえさんや中村仁美さんは、バラエティーでの経験値も高いし、スキルもある。“大物芸人”である夫の話題への関心度も高く、制作サイドからすれば“安全牌”なママタレントです。
さらに、現役の大学生として白百合女子大学に通っている小倉優子への期待の声も大きい。
「小倉さんは、シングルマザーで現役の大学生という、ほかにはない属性を持っているのが大きい。他のママタレントとは違う視点を持ったタレントとして、唯一無二の存在です。もともとバラエティースキルが高いのは言うまでもないし、コメンテーターの仕事などもいける。大学に通っているので、仕事に費やせる時間が少ないという問題こそありますが、ママタレ番組が増えるであろう2024年は、もっと仕事が増えていくはずです」(同)
TVerの一般化とともに、子育てをする女性視聴者の存在感が高まる2024年は、ママタレントたちが大活躍する1年となりそうだ。