NHK アナウンス室/青井実

 NHKの看板番組『ニュースウオッチ9』のメインキャスターを務めている青井実アナが近く退職し、4月からフリーとして夕方のフジテレビ系報道番組『Live News イット!』のキャスターに就任する方向で調整が進められていると報じられた。最近はNHK出身アナの活躍が目立っており、青井アナも「NHKの夜の顔」から「フジの夕方の顔」への転身を遂げそうだ。

 青井アナは2003年にNHKに入局し、身長186センチの長身と甘いマスクでNHKらしからぬ「イケメンアナ」として注目された。祖父が丸井創業者の青井忠治氏という“華麗なる一族”の出身でもあり、2022年に結婚したテレビ東京の相内優香アナとの披露宴は会社員同士とは思えないほど超豪華だったと報じられた。

 NHKアナは地方局への異動がつきものだが、青井アナは東京アナウンス室と大阪放送局を行き来するだけだったので、かなり優遇されているとみられていたため、フリー転身報道には驚きの声も多い。しかし、一部では今春に『ニュースウオッチ9』がリニューアルされ、メインキャスターから外される予定となっていたと伝えられており、NHKを飛び出して勝負をかけることになったようだ。

 近年はフリーアナが飽和状態になっているが、民放にとって「NHKブランド」は別格。ヘッドハンティングのように、いきなり退所後に『Live News イット!』のキャスターというポジションが用意されるのは、NHK出身者だからこその特別待遇といえるだろう。

 実際、NHK出身者の民放での活躍は目覚ましく、昨春から日本テレビ系『DayDay.』のMCに就任した武田真一アナ、フジテレビ系『ぽかぽか』などバラエティ系で大活躍している神田愛花アナ、テレビ朝日系『報道ステーション』のメインキャスターを務める大越健介氏、今春から日本テレビ系の新音楽番組『with MUSIC』のMCを担当する有働由美子アナらが各局で看板番組クラスを任されている。

 タレントとさほど変わらない民放のアナと違い、NHKのアナウンサーはしっかりとしたアナウンス技術と見識がある程度担保されているため、視聴者からの信頼感が段違いに高い。NHK時代には出せなかった、くだけた部分を見せることで好感度が上がりやすいという側面もあり、テレビ各局にとって魅力的な人材といえるのだろう。

 ただ、NHK出身者が誰しも成功しているわけではない。2008年に鳴り物入りでフリーに転身した堀尾正明アナは、いきなり日本テレビ系の北京五輪中継メインキャスターに抜擢され、その後もTBS系『Nスタ』の総合司会を担当するなど活躍したが、2019年に報じられた不倫騒動で好感度が急落。以降は全国ネットでの露出が激減し、最近は通販番組や「埼玉の奇祭」とも呼ばれる『埼玉政財界人チャリティ歌謡祭』(テレビ埼玉)の司会などでしか目にすることがなくなった。

 ネットで「麿(まろ)」の通称で愛されていた登坂淳一アナは「フリーになったら絶対成功する」といわれていたが、2018年の独立直後にハラスメント疑惑を報じられ、予定されていたフジテレビ系ニュース番組のメインキャスター就任を辞退。これですっかり計画が狂ってしまい、現在のレギュラーはBS番組くらいになっている。NHK出身者は品行方正なイメージが強いだけに、スキャンダル報道が命取りになる可能性が高いようだ。

 スキャンダル報道などがなくとも、宮本隆治アナや草野満代アナ、住吉美紀アナのように、NHK時代の人気や実績と比べると現在は十分な活躍ができていないように見受けられるケースも少なくない。

 青井アナはNHK出身者の成功例となれるのか。今春からの『Live News イット!』の評価と素行の良し悪しによって今後が大きく変わっていきそうだ。

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