TBS『VIVANT』公式サイト

 昨年最大のヒットドラマとなったTBS系『VIVANT』の世界進出が「大コケしている」と報じられ、その原因をめぐって議論が巻き起こっている。

 『VIVANT』は誤送金事件から世界規模の謎へつながる壮大なストーリーで、堺雅人阿部寛二階堂ふみ役所広司二宮和也松坂桃李ら豪華キャストが集結し、大規模なモンゴルロケを実施するなど史上空前の規模で撮影。

一部では「1話当たりの制作費が1億円」とも伝えられた。練り込まれた脚本によって「考察合戦」がネット上で盛り上がり、全話平均世帯視聴率14.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)、最終回は19.6%という高視聴率をマークした。

 見逃し配信の再生数でも圧倒的な強さを発揮し、その勢いに乗って昨年12月から190以上の国と地域に向けてNetflixでの世界配信を開始。ところが、17日付の「デイリー新潮」(新潮社)によると、日本ではテレビ部門でランキング1位を獲得するなど好調だったものの、海外でトップ10入りしたのは台湾だけ。その台湾でもわずか1週で圏外に落ち、海外でほぼ「反応なし」という状態になっているという。

 その一方、往年の人気コミックを実写化した北村匠海主演のNetflixシリーズ『幽☆遊☆白書』は同時期の配信で海外でもヒットしており、『VIVANT』の苦戦が際立っているようだ。

 海外で予想外の「大コケ」となった原因について、同記事では「(原作と演出を手がけた)福澤克雄監督が自身も認める『ラブストーリー下手』で、海外視聴者が求める“ラブ”要素を描けなかったのでは」と考察されている。

 これに対して、2ちゃんねる開設者の「ひろゆき」こと西村博之氏は18日付のSNSで、海外の視聴者が感じる点として「砂丘は他国では結構あるので驚かない」「中央アジアの社長が日本人顔で日本語しゃべる違和感」「高額でも誤送金は『会社辞めればよくね?』で命を賭ける理由がわからない」「砂漠の小屋の唐突なスタジオ撮影感」と指摘。その上で「日本人向けだから仕方ないか。。」と記している。

 さらに、ネット上では大コケの原因について「日本ではスケールが大きくて特別感があったけど、海外ドラマと比べると普通だから注目されなさそう」「日本のドラマの中ではストーリーが新鮮だったが、海外だと別に珍しくない内容」「『別班』の名称とか、謎解きが海外の人には分かりにくいと思う」といった意見が上がっている。

 『VIVANT』に限らず、昔から日本のドラマは「海外ウケが悪い」といわれてきた。

しかし、同じく堺の主演で福澤監督が手がけたTBS系『半沢直樹』は韓国や中国で大きなブームが起きるほどヒットしており、TBSとしては「夢よもう一度」と世界に打って出たのだろう。結果として「無風」状態になっているところをみると、やはり明快な復讐劇だった『半沢直樹』と違い、『VIVANT』のストーリーは海外で評価されにくいのかもしれない。

 いずれにしても、近年まれにみる大ヒットを記録した『VIVANT』が海外で大コケとなると、続編の可能性に影響が出るだけでなく、今後の日本ドラマ界の海外戦略を見直す必要すら出てきそうだ。