大友役の錦戸亮

 センター分けのプリティーボーイ・赤楚衛二くんが大病院の理事長を演じるドラマ『Re:リベンジ-欲望の果てに-』(フジテレビ系)も第6話。

 回を重ねるごとに、いわゆる「無能な働き者」っぷりが際立ってきた赤楚くん演じる新理事長・海斗に心配が募るところですが、天堂記念病院は大丈夫なのでしょうか。

 ちなみに「無能な働き者」というのは、ドイツのゼークトという軍人さんが唱えた組織論に出てくる言葉で、人材を「有能な怠け者」「有能な働き者」「無能な怠け者」「無能な働き者」の4つに分類したとき、「無能な働き者」がもっとも組織に悪影響を与えるよ、というお話です。

 振り返りましょう。

■レストランの予約も取れないの

 冒頭、理事長室に陣取った海斗理事長に、先々代から秘書を務める高村さん(利重剛)がこんなことを言います。

「見違えましたねえ」

「ご立派になられましたねえ」

 そう言われた海斗は「えっへん」みたいな顔をしてますが、どうひいき目に見ても海斗くん、全然見違えてないし、ご立派になられた感じもしません。まるでキッザニアに遊びに来た子どもが「りじちょう」という職業を体験学習している風景にすら見えてきます。

 その後も海斗くんは、柔らかそうな革張りのイスに座ってニヤニヤ、先代のお墓参りに行けば、その帰りの車の中でニヤニヤ、「りじちょう」になったのがうれしくて仕方ないご様子。

 そのくせ週刊時時代の部下の女性を食事に招待したくても自分じゃレストランを予約することも、料理のコースを選ぶこともできない。

秘書に手配させた高級鉄板焼き屋で自分のこと好きな女の子とワチャワチャしながら、場違いな大声を出しちゃったりとご機嫌です。

 そんな海斗くんですので、当然、仕事には手抜かりがあります。前回、15億の融資を取り付けたファンドが投資詐欺をやっている疑いがあることが発覚。女子とのワチャワチャ中にそのことを知った海斗くんは青ざめてしまい、お金も払わずレストランから去っていきました。たぶんコースで3万とか5万とか、ワインも頼んでたし2人で10万くらいいきそうな感じの店でしたが、あの女子が立て替えたのかな。

 ちなみにファンドの不正についても、秘書の高村さんが「ちょっと調べて」みたら発覚したのだそうです。

海斗くん、ちょっとも調べてなかったみたい。

 そのほか、元カノの妹ちゃんが心臓バイパス手術をするしないの話になると、医者から専門用語で説明を受けてキョトンとしてみたり、ペライチの資料だけ見て呼び寄せた派手目な女性外科医の口車に乗せられて手術許可証に理事調印を捺してみたりと、これが現実だったら見ているこっちが青ざめてしまうような軽率な判断を連発。これがキッザニアでよかったね。じゃなくて、ドラマでよかったね。という感じ。

■一方、錦戸亮と芳根京子はオトナです

 一方で、錦戸亮が演じる心臓血管外科のエキスパート・大友先生はオトナな立ち居振る舞い。

新しく海斗くんが立ち上げるという新病棟プロジェクトから理不尽に外されても声を荒らげることもないし、自分のやるべきことを粛々とやっているように見えます。

 バイト先の高級クラブでひっかけた太客おじから妹の手術代を“頂き女子”した海斗くんの元カノも、おじから逆恨みを買いつつ実に堂々としたもの。女のしたたかさを海斗くんに見せつけます。海斗くん、病院の理事長になったんだから、次からはその元カノに限度額適用認定証で窓口負担が軽減できる高額医療費制度とか教えてあげてください。

 そんなこんなで、理事長になったことで海斗くんの無能ぶりがどんどん浮き彫りになっていく『Re:リベンジ』。もとよりこの作品は、大友先生というキャラクターに大きな謎を与え、錦戸亮という俳優のミステリアスな雰囲気で引っ張っていくという物語の構造となっています。

その構造自体が、海斗くんが有能だと成立しないというジレンマをはらんでしまっているんです。

 お話をおもしろくするには海斗くんの魅力的な活躍を描けない、海斗くんが魅力的な活躍をしてしまえば大友先生の正体が早々にバレてドラマがショートするという手詰まりを迎えていますが、ここはひとつ、人の不幸が大好きそうな天堂の皇一郎会長(笹野高史)よろしく、ニヤニヤしながら見守りたいと思います。

(文=どらまっ子AKIちゃん)