大谷翔平(写真/Getty Imagesより)

 ドジャースに移籍した今シーズンも、序盤から打撃が好調な大谷翔平。昨年同様、ホームランを量産するだけにとどまらず、今年は首位打者を狙えるペースでヒットを打っている。

その活躍に比例するように、日本のネットニュースでは大谷に関する記事が連日多数配信され、地上波のワイドショー・情報番組でもその一挙一動に長い時間を割いている。報道の内容も単なる試合での活躍に関するものだけでなく、ベンチでの行動やチームメイトとのやり取り、普段のファッションなど多岐に及び、ときには凡退しただけなのに、それがニュースになることすらある状況だ。

 日本のメディアにおいて大谷関連のニュースがあふれているのは、それだけ大谷に対する関心度が高いからではあるが、さすがにエスカレートしすぎたのか、最近では過剰な大谷関連のニュースに対する批判の声も増えている。

ためしに大谷関連記事のコメント欄を見ると、〈大谷大谷毎日鬱陶しいんだよ〉、〈もう飽きた〉、〈大谷選手の名前を出したらPVを稼げるからって何でもかんでもニュースにしすぎじゃない?〉など、量産される大谷関連ニュースに対する批判的な投稿も目立つ。

 大谷関連の記事でページビューを稼ごうとするネットメディアへの風当たりが強くなっている状況だが、だからといって大谷関連の記事がすぐさま減少するようなことはなさそうだ。とある週刊誌記者はこう話す。

「単純に関心度が高いだけのネタよりも、支持する人々と“アンチ”がそれぞれ一定数いる題材を扱った記事の方がネットでは盛り上がりやすいんです。これまで大谷については圧倒的に支持する人々が多く、アンチはあまりいなかった。ただネットメディアやワイドショーが過剰なまでに大谷を扱ってきた結果、“大谷関連記事のアンチ”が出てくるようになったわけです。さらに、その延長線上には、大谷本人へのアンチも増えていくでしょう。支持する読者だけでなくアンチまでをも呼び寄せることができるので、ネットメディアとしてはむしろおいしい状況でもあります」

 また、一定数のアンチがいることで、逆に大炎上を防げる効果もあるという。

「支持者とアンチがいるということは、多様な意見が存在するということであり、ニュース記事に対する見解もバラついてくる。

支持者しかいないような状況だと、ちょっとネガティブな記事を配信しただけで、一方的に叩かれて大炎上に発展してしまうことがありますが、アンチがいれば逆の意見がそれなりに出てくるので、結果的にバランスが取れるんです」(同)

 ほぼ毎日試合がある大リーグなので、大谷の打席を逐一報じれば、たくさんの記事を配信することができる。しかしそれだけではマンネリ化するのも事実であり、だからこそネットメディアは、大谷のベンチでの様子や“見た目”に関するものなど試合以外の動向を記事にする。

「大谷のファンが興味を持っているのは、やはり試合結果です。一方の試合以外の動向に関する記事は、“本数を増やすため”に配信している側面もあります。

とはいえ試合結果については、多くのメディアが同じような記事を出すので、ページビューが分散されてしまう。しかし、試合以外の記事についてはメディアが独自の切り口を出せるので、バズったときにページビューを稼げる。

つまり、多くのメディアは試合以外の記事をいかに読ませていくかが重要になっているんです。

そして“アンチ”の人々が食いつきやすいのが試合以外の記事であり、アンチに騒いでもらうことでその記事に注目が集まりやすくなるのも事実。多くのメディアは、アンチが出てくることを歓迎しているとすら言えますね」(同)

 世界中でもっとも注目されるアスリートの1人であるからこそ、量産され続ける大谷翔平の記事。大谷が活躍する限り、この状況は続きそうだ。