「いやいやいやアカン! この空気、アカンでぇ〜!!」
そう言い放ち、口をゆがめてニヤリと笑う。『堂本剛の正直しんどい』(テレビ朝日系)でしばしば見られるワンシーンである。
しかし堂本剛の“異常性”に注目し、「松本人志やミスチル桜井といった憧れの人のモノマネを臆面もなくこなしてしまうセンスは、ある意味すごい」と評価する人物がいる。芸能や時事問題を独自の視点で論評する傍ら、銀杏BOYZ、サンボマスターらも一目置くロックバンド「マキタ学級」のリーダー、マキタユウジ氏だ。
「まず、前提として確認しておきたいのが、表現者には2つのタイプがあるということ。ひとつは完璧なオリジネータータイプ。
なるほど。視点を変えて、堂本剛というアイドルを表現者として捉えてみると、「パクリ芸人(少々、聞こえは悪いが……)」という新たな“剛クン像”が浮かび上がってくるではないか。
「オリジネータータイプの表現者は、マジョリティとの相性は基本的に悪い。突き詰めて自分の世界に入り込んでしまい、その結果、ファンが離れていってしまうことがよくあります。しかし、フォロワータイプの表現者は、マジョリティが望むものを量産できる資質があるんです。剛クンの場合、歌も踊りもうまいし、司会業も板についてきています。しかも、笑いもとれる。
だが、傍からみると、堂本剛自身には“単なる商品”としての自分に満足できていない面が見受けられる。“アイドル”と“表現者”の狭間に立ってしまい、精神の安定性が崩壊しつつあるのではないだろうか? ENDLICHERI☆ENDLICHERI(当時)という名義でのソロ活動時には、ライブで「死にたい」なんて発言もしている。
「フォロワータイプの表現者全員に言えることですが、このタイプはオリジネーターに対するコンプレックスを、永遠に抱えてしまうんです。だから、剛クンも『HEY! HEY! HEY!』(フジテレビ系)に出ているときは、驚くほど静かにしている(笑)。松本人志というオリジネーターに対するコンプレックスゆえに、あの場ではどうしても本来の姿を表に出せないんです。一方、コンサートのMCで語るときは、大勢のファンがウチワを振っている状況だからこそ、ダウナーなトークが生きることを知っている。
タレント管理が厳格なジャニーズといえども、ここ数年は自意識や“本当の自分”を発揮できる場が、建前上では確保されつつある。嵐のリーダーである大野智はアート個展を開き、SMAPの稲垣吾郎もアーティスト気質を売りにしている。ただ、大野や稲垣はポジティブに自意識を発露しているが、堂本剛は真逆にネガティブ面が前に出すぎているような気がするが。
「やっぱり剛クンは基本的にネクラな人なんでしょうね。
事務所を飛び出した後、ジャニーズ暴露本の嚆矢となった『光GENJIへ』(データハウス)で世間を賑わせた北公次。ひょっとすると、堂本剛が必死に探し求めている青い鳥は“第二の北公次”なのかもしれない……。
「でも結局、剛クンはスマートな人だから、それはないと思いますよ(笑)」と締めくくったマキタ氏の“オリジナル”な堂本剛論、なかなか刺激的な視点ではないだろうか。
(黄 慈権/「サイゾー」5月号より)
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