北朝鮮で電力需要が最も高まるのが田植えが行われる5月、6月だ。だが、農業に回されるべき電力が、中国との国境沿いに建設されたマンションのライトアップに浪費されている。
平安北道の情報筋は、新義州市郊外の水害被災地に建てられた新築マンションのライトアップに電力が使われていることを巡り、新義州市民の非難が渦巻いていると伝えた。
ライトアップは、朝鮮労働党中央委員会の指示によるもので、夜でも煌々と照らされ続けている。北朝鮮は都市、農村を問わず深刻な電力不足で、情報筋は、「夜になると真っ暗な中で生活する苦しみは並大抵ではない」、「大半の住民は、1日に平均1時間ほどしか電気が使えない状況で、非常に厳しい暮らしを強いられている」と述べた。
だが、そんな状況で見栄えだけのために明かりが灯されていることに、情報筋は、「新義州のマンションの外観は、鴨緑江を挟んだ中国から見えるものだが、当局は一体何を意識しているのか」と疑問を呈した。
現地の別の住民によると、市の郊外の農場では田植えが未だに終わっておらず、農民は気が気でない状態だ。本来は13日までに終える予定だったが、電力不足で揚水ポンプが使えないため、遅れているのだ。
農民からは、食糧問題の解決につながる農業に使うべき電力を、鴨緑江沿いのアパートの夜間照明に使うなど、話にならない」という批判の声が上がっている。
情報筋は、「鴨緑江沿いに建てられたマンションは夜間も照明が灯されており、中国側から見れば華やかな印象を与えるだろう。しかし、金正恩氏の指導で建設されたマンションだと宣伝するために、国境地域の夜間照明に電力を注ぎ込む当局の姿勢は、非難されて当然だ」と語った。