2025年7月、フィリピン南部ダバオ市内の「SMショッピングセンター」で、中国の自動車メーカーBAIC(北京汽車集団)のハイブリッド車「BAIC B30 Dune 2WD」が展示販売され、来店客の注目を集めている。

その他の写真:ハイブリッド車 BAIC B30 Dune 2WD

 ハイブリッド車は、ガソリン車が主流のフィリピン市場ではまだ珍しく、環境意識の高まりとともに新たな選択肢として期待されているが、同時に「中国製」に対する消費者の懸念も浮上している。


 展示されている「BAIC B30 Dune 2WD」は、白色のSUVタイプで、力強いエクステリアデザインが特徴だ。車両後部には「HYBRID」のエンブレムが誇らしげに輝き、環境性能の高さをアピールしている。

 車内は広々としており、特に荷室は十分な積載スペースが確保されている。後部座席を倒せばさらに多くの荷物を積むことができ、レジャーや買い物にも便利そうだ。運転席周りはモダンなデザインで、大型のディスプレイが目を引く。ステアリングホイールには操作ボタンが配置され、機能性と操作性を両立させている。

 BAIC B30 Dune 2WDのエンジンは、1498ccの直列4気筒ガソリンエンジンに電気モーターを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載。最高出力246kW、最大トルク550Nmを発揮し、力強い走りを実現する。トランスミッションは2速のハイブリッド専用トランスミッションで、駆動方式は前輪駆動(2WD)。サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアがマルチリンク式を採用し、快適な乗り心地を提供する。タイヤサイズは235/60R18、最低地上高は215mmと、悪路走破性も備えている。

 フィリピンではこれまで、ガソリン車やディーゼル車が主流で、ハイブリッド車の普及は遅れていた。
しかし、近年は環境問題への意識が高まり、燃費の良いハイブリッド車への関心が高まっているが、使用済みバッテリーの処理が環境に負荷が高いとの見方もある。

 BAICのハイブリッド車は、環境に配慮した新しい移動手段として、ダバオ市民に受け入れられる可能性を秘めている。一方で、フィリピン市場では中国製自動車に対する信頼性の問題が根強く残っている。かつて中国製バイクを購入したというダバオ在住の男性は、「最初は安くて喜んだが、すぐに故障するようになり、部品の調達も難しく、結局は高くついた」と苦い経験を語る。このような経験から、中国製自動車の品質やアフターサービスに対する不安を抱く消費者は少なくない。特にハイブリッド車は、ガソリン車に比べて複雑なシステムを持つため、メンテナンス体制の充実が不可欠となる。

 今回展示されているBAIC B30 Dune 2WDの販売価格は165万8000フィリピンペソ(約450万円)。フィリピンの自動車市場において、ハイブリッド車の選択肢が増えることは、消費者の多様なニーズに応えるだけでなく、環境負荷の低減にも貢献するものと期待される。
【編集:Eula Casinillo】
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