北朝鮮北部、中国との国境に面した両江道の恵山では、国家機関が関与する「国家密輸」が大々的に行われてきた。国際社会の制裁により正式な輸入が難しい自動車などが主な対象だが、中国側の取り締まり強化により、5月中旬から中断を余儀なくされていた。
それが先月26日から再開された。一時は密輸の中断により価格が大きく変動していた一部の品目も、次第に安定を取り戻しつつあり、市場の雰囲気も活気を取り戻しているという。現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。
情報筋は「先月26日から恵山市一帯で国家主導の密輸が再び本格化している」と述べ、「これにより、しばらく動けなかった密貿易業者たちが活動を再開できるようになり、喜びを隠せない様子だ」と伝えた。
これまで中国から車両、機械設備、生活用品などの輸入品を受け取れずに手をこまねいていた業者や、鉄鉱石や銅鉱石などを輸出していた業者たちは、国家密輸の再開に伴い、活動を再開している。
彼らは、中国側の取り締まり強化で密輸が中断されたことにより、既に確保していた密輸品を中国側に引き渡すことも、中国からの品物を受け取ることもできず、資金が滞るなどの苦境に立たされていた。
しかし再開後は、毎日のように数十台の車両が中国から北朝鮮へと持ち込まれるようになり、鉱石や薬草などの輸出品も大量に搬出されており、国境付近では夜通しで密輸作業が行われているという。
価格が高騰していた一部の品目も、下落傾向を示している。
情報筋は「国境封鎖の影響で一時は輸入中古車などの価格が大きく上昇したが、最近では国境が再び開かれ、物資の流通が再開したことで、かつて高すぎて手を出せなかった住民も再び購買を始めており、価格は元の水準に戻りつつある」と語った。
また「薬草などの中国向け輸出品の価格も、密輸中断時には大きく下落したが、再開後は再び上昇しており、輸出業者たちは在庫の確保や搬出に忙しく動いている」とも述べた。
市場の雰囲気も改善されているようだ。
情報筋は「密輸業者が活発に動き始め、中国からの物資も入ってきたことで、市場の商人たちの表情からも陰りが消え、最近では(最低レベルの)1日あたり1000北朝鮮ウォン以上の利益を得る日も多くなっており、顔つきも明るくなっている」と語った。