朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の敵は米軍や韓国軍だけではない。
一部兵営でトコジラミ(南京虫)の深刻な被害が発生し、人民軍総参謀部は7月を「集中消毒月間」と定め、防疫を指示したと、デイリーNKの軍内部情報筋が伝えた。
総参謀部作戦局一般行政課は、平壌の偵察総局直轄部隊の夏季訓練初週に実施状況を検閲する過程で、兵舎に広がるトコジラミ被害を確認。4日に上層部に緊急報告したという。
1~3日、指導参謀らが通信大隊の整列点検中、複数の兵士の顔や首に虫刺されの跡を見て事態の深刻さを認識した。
情報筋によれば、この部隊は昨年の梅雨にもトコジラミが大量発生し、皮膚病が広がった。松材のベッドは虫が潜みやすく、トコジラミが入り込めない材質への変更が以前から提案されていたという。
総参謀部は報告を受けて即座に7月を「集中消毒月間」とし、7日には被害を「事件化」。偵察総局を含む全軍の軍団級参謀部に対して、訓練と並行して兵営の消毒を実施するよう命じた。
これは衛生環境が部隊の戦闘力維持に直結するという認識に基づくものとみられる。
この指示により、偵察総局の後方部と軍医部は消毒薬を部隊に配布。被害確認された中隊から順に、1日1小隊ずつ兵舎(生活空間)の消毒を進めている。
消毒実施中の兵舎は窓や出入口を密封し、ベッドや生活用品に殺虫ガスや薬剤を注入。48時間密閉する方式だ。
総参謀部は7月中に最低2~5回の繰り返し消毒を求めており、訓練スケジュールを妨げないよう配慮も指示している。
兵士たちはこの措置を歓迎。情報筋は「仮住まいの不便よりも、この機にトコジラミを一掃したいという声が多い」と語る。
「夏で疲れているのに夜も眠れず、本当に苦しかった」「訓練より虫刺されの方が怖かった」といった声も上がっており、兵士たちは拍手で消毒作業を迎えているという。