アフリカのタンザニア当局は、北朝鮮製の漢方薬や健康食品が重金属に汚染されており、重大な健康リスクがあるとして、国民に警告を発した。
現地紙「タンザニア・タイムズ」によると、同国の食品医薬品安全省は、北朝鮮が「万能薬」や「高級医薬品」として宣伝・販売していた「安宮牛黄丸」から9556ppmの水銀が検出されたと発表した。
さらに、対象となった9製品のうち8製品から基準値を超える水銀が検出された。「黒参力康」からはヒ素8.71ppm、水銀41.6ppm、カドミウム0.35ppmが検出され、精力増強サプリメントとして販売されている「新参強精」からは、水銀7.3ppm、カドミウム0.46ppmに加え、「バイアグラ」の有効成分であるシルデナフィルが233ppm検出された。また、鉛や「シアリス」の主成分であるタダラフィルが含まれている製品もあったという。
タンザニア保健当局は、これらの北朝鮮製漢方薬、健康食品について、危険な成分の含有により深刻な副作用を引き起こす可能性があるとして、国民に対し強い注意を呼びかけている。
北朝鮮は過去にも、タンザニアでの医療行為を通じて複数の健康被害を引き起こしてきた。
2016年1月には、北朝鮮の医師がハーバリスト(伝統医学の治療師)と共謀し、「量子共鳴磁場分析器(Quantum Resonance Magnetic Analyzer、QRMA)」と呼ばれる機器を用いて患者の「診察」を行い、高額な薬を売りつけていた。これに対しタンザニア当局は取り締まりを実施し、北朝鮮系クリニックに閉鎖命令を出している。
また、激しい咳に苦しんでいた19歳の青年が、北朝鮮系クリニックでお灸やカッピング(吸い玉)療法を受け、正体不明の北朝鮮製の薬を処方されたものの、症状は改善しなかった。後に別の病院を受診した結果、結核と診断されたという。