北朝鮮の黄海北道・沙里院市で、住宅建設に関与した「トンジュ(新興富裕層)」と、これに癒着した幹部らを対象とする大規模な汚職摘発が行われたという。国家所有の建設資材が横流しされ、個人住宅の建設・販売に利用されていた実態が明らかになり、地元のトンジュや行政幹部の間では緊張が広がっているという。
黄海北道の消息筋は2日、デイリーNKに対し、「市安全部(警察本部)の経済監察課が市検察所と合同で、今年上半期の住宅建設に関与したトンジュと、これに癒着した幹部らを対象とした汚職一掃に乗り出した」と伝えた。 消息筋によると、先月21日、セメントや鉄筋などの建設資材を横流しして私的利益を得た疑いで、沙里院市の銀行課長、市人民委員会職員、トンジュ1人の計3人が安全部に緊急逮捕されたという。 北朝鮮の中央政府は地方の党・行政機関(人民委員会)に対し、住宅整備のノルマを課す一方、資金や資材はほとんど供給しない。そこで地方当局は、トンジュから外貨で投資を誘致して資材を調達し、事業を進める。 ここで重要なのがトンジュへの利益の還元方法だ。平壌都心のマンションなど人気物件であれば、トンジュは分譲権の割り当てを受け、それを転売して儲けを手にする。しかし農村住宅の分譲権にそうした価値はない。そこで、民間では調達しにくい貴重な輸入資材などの一部が分け与えられるのだ。 ここに、余分に仕入れた資材が当てられるなら問題はない。しかし往々にして、本来は建築に使われるべき資材がまでが横流しされ、さらには工事現場でも横領されることで、著しく鉄筋が少なかったり、セメントの質が悪かったりする建物ができあがる。そのせいでマンションが崩壊して数百人が死亡するなど、悲惨な事故が繰り返し起きている。とくに2014年5月に発生したマンション崩壊事故では500人が死亡、現場には人間の手足が散乱する地獄絵図が広がったという。
中央政府が果たすべき役割(資材供給)を放棄し、地方に丸投げしているがために、監督機能が働かないのだろう。
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