JPX日経400は、ROEや営業利益、社外取締役の選任などを基準に「投資魅力の高い会社」400銘柄を組み入れる株価指数。毎年8月末に除外銘柄と新規採用銘柄が発表されるが、こうした入替銘柄のその後の株価動向は意外な結果となっていることがわかった。
株価は上がる確率が高いのはなぜか?
毎年8月末にJPX日経400の構成銘柄の入れ替えが実施される。
今回は、エイベックス(7860)やベネッセ(9783)、三菱自動車(7211)など33銘柄が除外され、コロプラ(3668)やぐるなび(2440)、日本航空(9201)など34銘柄が新規採用となった(1銘柄は上場廃止)。普通に考えれば、新規銘柄は組み入れ後に株価が上がり、外れた銘柄は下がりそうだ。
では、前回の2015年8月の入替ではどうだったのか。入れ替え実施から1年間の株価騰落率を比較してみたところ、結果は逆だった。昨年の新規採用の43銘柄中、日経平均株価の成績であるマイナス10.6%を上回ったのはたったの9銘柄、うち株価上昇はわずか5銘柄。対して除外の42銘柄で、日経平均株価を上回ったのはなんと23銘柄、株価が上昇した銘柄も15銘柄となっているのだ。
つまり、除外された銘柄を買うほうが、儲かる確率はずっと高かった、ということになる。この傾向は、入れ替え1回目の2014年8月の銘柄でも同様だ。
理由はいくつか考えられる。まず、先回りの売買だ。入れ替えはかなり早くに予想が出るため、新規採用銘柄は3月頃から株価が上がり始める。
もう一つは、入れ替えの基準が、予測ではなく過去の実績であることだ。例えば営業利益は過去3年の累積、ROEも過去3年の平均値だ。
「ROEなどの改善がみられたことは中長期の視点では一定の評価ができますが、あくまで過去の数値ですから新規採用というだけで“買い”とはなりません」(マネックス証券の金山敏之さん)
また大和証券の橋本純一さんも次のように指摘する。
「何年も利益を伸ばし続けるのは成長企業でも難しく、高いROEは平均に収束する形で下がっていく傾向があります。それに合わせて株価も低下することがあります」
もちろんすべてがそうではないが、新規銘柄は入れ替え時が業績や株価の“山”になり、除外銘柄は“谷”からのリバウンドが期待できる。特損などの一時的要因で外れることもあり、比較的短期で株価上昇を見込めるものも多そうだ。銘柄ごとの見極めは不可欠だが、下の表で注目の例を挙げたので、チェックしてみてほしい。
■2016年に除外されたなかで注目の5銘柄今期増益率詳細情報 アコム(8572)/【最低購入価額】5万円317.6%【コメント】過払い金返還請求の引当金の計上がなくなり大幅増益へ。 三井金属(5706)/【最低購入価額】22万円88.6%【コメント】前期減益と最終赤字の要因の在庫評価損や減損が消える。 クレディセゾン(8253)/【最低購入価額】18万円14.8%【コメント】特損もあり2015年3月期にROEが急低下。