普段、あまり目にすることのない数字やデータに光を当てて多角的に分析、ビジネスパーソンにとっておきの「お役立ち情報」をご紹介する『ダイヤモンドDATAラボ』。今回は、東南アジアのブランド調査から見た「東南アジア日本企業好感度ランキング」です。
タイ、ベトナム、インドネシアで人気の日本企業
東南アジアの中でも親日的で、大きな市場が見込まれる国といえば、タイ(約6900万人)、ベトナム(人口約9300万人)、インドネシア(約2.6億人)の3カ国が挙げられます。今後、日本企業がこの市場を無視することはできないでしょう。
それでは、この3カ国で本当に好かれている日本企業はどこなのでしょうか。そこで、これらの国々に拠点を持つ調査会社DIマーケティングの協力を得て「日本企業好感度ランキング」を作成しました。
今回の調査については、まず「日用品」「食料・飲料(食品)」「電機・IT」「ファッション」「ファーストフード(レストラン)」「自動車」「インターネットサービス(ネット)」「小売」の8業種から、日本企業だけでなく現地大手や外資系企業を含む主要企業計139社を選出しました。
その上で、DIマーケティングの保有する調査パネル(約90万人)を用いて、一般世帯の消費者1000人にアンケートを行いました。そこで、企業ごとに「好感がある」「好感がない」「知らない」「その他」の選択肢から一つを選んでもらいました。そのうち「好感がある」と回答した比率を「好感度」として算出したのが、今回のランキングです。
それでは、3カ国で好感度の高い日本企業トップ5を見ていきましょう。
タイでトップになった「ヤクルト」の営業力それでは、タイの結果を見ていきましょう。日本企業だけで見ると、2位の「セブン−イレブン」(好感度83.4%)、3位の「ソニー」(同82.3%)の大手企業を引き離して、トップとなったのが「ヤクルト」(同88.7%)です。
実はヤクルト(ヤクルト本社)の海外進出は古く、1964年の台湾からスタートしています。
実際、タイでは「サーオヤクルト」と呼ぶヤクルトレディ約3000人がオフィス街を中心に回り、顧客と日々コミュニケーションしています。価格も1本5バーツ(約15円)と値ごろで、タイではヤクルトを毎日飲む習慣が定着しています。タイでの営業活動は1971年に始まっており、実に半世紀に渡る地道な活動が今回の結果につながったといえるでしょう。
インドネシアとベトナムは「ヤマハ」が首位一方、ベトナムとインドネシアでトップになったのが二輪自動車の「ヤマハ(発動機)」で、2位が「ホンダ」となりました。いずれも好感度が90%を超えて、両国民にかなり親しまれていることが分かります。
ヤマハとホンダという二輪自動車メーカーが「トヨタ」や「日産」などの四輪自動車メーカーより上位に来た背景には、両国とも「バイク大国」であることがあります。タイと比べても、まだまだ移動の中心は自動車ではなくオートバイのために2社のブランド力が強いのです。
DIマーケティングの沼田和敏CRO(チーフ・レベニュー・オフィサー)は「好感度とは、その企業がその国にいかに時間をかけて、いかに投資をしてきたかを表す一つの指標だ」と話します。そのため、「老舗のグローバル企業が上位を占めるのは当然の結果だが、ダイソーやLINEなどの比較的新興の企業が上位に食い込んだのが意外であり、今後進出を考える企業のヒントになるかもしれない」(沼田CRO)と話します。