吉本でお笑いコンビ「オオカミ少年」で活動する傍ら、探偵事務所の代表を務める著者の元には、会社員から自己調査の依頼もきます。社内で自分がどう評価されているかを調べるものです。
出世したいので上司の実際の評価が知りたいと依頼
事件ファイル
依頼者 大谷⇒52歳男性=某企業の部長
依頼内容 出世したいので会社内の上司の自分の評価を調べてほしい
※名前は仮名
たまに会社員から「自分が会社の中でどのような評価をされているか聞いてほしい」という依頼が来ます。俗にいう「自己調査」というものです。
「自己調査」は次のステップアップを目指して自分の足りない点を補填したいというプラスなものも多いですが、依頼者の大谷さんは違いました。
2ちゃんねるを見てみると、
「大谷は何もしねーくせに部下に仕事押しつけて失敗すると鬼説教ウゼー」
「大谷じゃねー小谷だなぁ」
「大谷、地方に飛ばされるの希望、会社の番犬大谷…」
などなどたくさん書き込みがありました。
人事部がもしかしたら2ちゃんねるを見てるかもしれないと考え、慣れない2ちゃんねるに自分のポジティブなコメントをせっせと書いてました。
「大谷部長は思慮深い人です」
「大谷部長にこの前ジュースを買って頂きました」
「大谷部長は理想の上司ですね」
などなど。
これでは本人とバレますね(笑)。会社でも本人だとバレて笑い者になっていたようです。
頼まれた仕事は部下に丸投げ
大谷さんみたいなタイプの人は上司の言う事は聞き、配慮も完璧なので、イエスマン好きの上司からの評価は高いですが、同期、部下からは嫉まれることが多いですね。上にはへこへこしてごまをすり、部下には「自分はカリスマだ!」的な講釈を垂れます(笑)。
「自己調査を探偵に頼むなら同期、部下の評価も調査した方がいいですよ」と伝えましたが、そこには全く興味がないようで、出世に影響のある上司からの評価しか興味のない視野の狭い人でした。
大谷さんは、上司から振られた仕事は、イエスマンなので無条件に引き受けますが、部下にやらせるので、上司に言われた抽象的な事だけしか伝えません。もちろん部下から細かい内容を質問されても、仕事内容を理解しているわけではないので「俺が言った通りにやればいいんだよ。馬鹿なのか」などと逆ギレする始末です。
仕事を部下に丸投げした結果、うまくいけば自分の手柄にして、うまくいかなければ部下に怒りをぶつけ、責任もなすりつけます。
一般的に考えればそんな人間に人望があるわけはなく、自分の思った通りに部下たちは動いてくれません。仕事ができない部下が悪い、自分は部下に恵まれていないなどと部下たちにジレンマを感じ被害妄想にとらわれてしまう、大谷さんはそんな人でした。
「どうせ飲み会で部長の私の文句ばかり言ってるんだろう?」
正解です!部下が集まったら上司の悪口を言うのが世の常です。我々探偵は尾行、張り込みをして、部下だけの飲み会があれば隣の席などで話を聞いたりもします。
部下の皆さんにガッツリお酒が入っていれば「ちょっといいですか!?うちの会社の部長もひどいんですよ~」なんて言って入り込めば友情が生まれたりするもんです。
大谷さんのようなタイプの人は自分の出世に関係ない人の事はバカにしていて、先輩、同期、後輩関係なく「あのプロジェクトもっと早く進められない?」「期限より早くやって自分を売り込んだりする向上心はないの?」「いいよなぁ~出世考えてない奴はぁ~、俺も楽してー」などとバカにしてプレッシャーをかけていきます。部下に対して「俺に逆らう奴は先輩でも容赦しないぞ!」的なポージングだと思います。