日本の若者が極右化しているのではなく 革新=リベラルが絶望的に退潮している [橘玲の日々刻々]

       

 このちがいを著者たちは、「多くの国では、社会的な亀裂は共通の政治体験と政治的言説を次の世代に伝達する役割を果たしている。日本においてはそのような亀裂がないため、若い有権者が政治の複雑な世界にうまく向き合いにくくなっている」と説明する。欧米は階級・宗教・地域社会、あるいは人種的な亀裂に基づいて分断されているが、日本にはそのような分断がないため、政治イデオロギーが固定せずに浮遊してしまうのだ。

 これは、「日本において民主主義の原則と制度が疑問視されていない」ということでもある。著名な国際政治学者であるイアン・ブレマーは、「大国の中で民主主義が比較的うまく機能しているのが日本だ」と述べているが、それも国民の統合度の高さから説明できるかもしれない。

 ここで紹介した以外にも、2017年の衆院選において希望の党を率いた小池百合子東京都知事の支持基盤が「リベラル」であった(リベラルを「排除」したのは政治的な大失態だった)など、『イデオロギーと日本政治』ではさまざまな興味深い指摘がなされている。

 今後、日本の政治についての議論は、本書で提示された実証データや知見を無視しては成立しなくなるだろう。

橘 玲(たちばな あきら)

作家。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ヒット。著書に『「言ってはいけない 残酷すぎる真実』(新潮新書)、『国家破産はこわくない』(講談社+α文庫)、『幸福の「資本」論 -あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」』(ダイヤモンド社刊)、『橘玲の中国私論』の改訂文庫本(新潮文庫)、『もっと言ってはいけない』(新潮新書) など。最新刊は『人生は攻略できる』(ポプラ社)。

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2019年3月14日の経済記事

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