実は、この「クォーターパウンダーショップ」はティーザーキャンペーンの一環としてオープンした店である。運営しているのはマクドナルド。あえて自社ブランドを表示せず、海外から上陸した謎のブランド「QUARTER POUNDER」というコンセプトでプロモーションを展開した。
「まずは『クォーターパウンダー』を召し上がっていただきたかった。商品には自信がありました。よさはわかっていただけると信じておりました」(マクドナルド コミュニケーション部)
かつてマクドナルドは商品の作り置きをしていた時期があった。安くて早いが味の点では他のハンバーガーショップに劣る、といった印象が根強くある。そこで、顧客には既存のイメージを持たずに商品を食べてもらい、美味しさを味わってもらう。
クォーターパウンダー・チーズはマクドナルドが自信を持って臨んだだけあり、味は従来のマクドナルドのハンバーガーとは違う。ビーフパティは名前の通り4分の1パウンドの肉を使用。これは通常のハンバーガーの約2.5倍にあたる。さらに、クォーターパウンダー専用の機械を導入し、ビーフパティを両面から一気に焼き上げ、ジューシーさを出している。
マクドナルドによると、クォーターパウンダーショップは既存のマクドナルドの店舗よりも約6割、売上が高かったという。顧客からは「美味しい」「最近マックに行っていなかったが、これなら食べてもいい」という声が多数上がっている。まさに、マクドナルドの狙い通り。役目を終えたクォーターパウンダーショップ2店舗は11月27日に閉店。本日11月28日からは、関東圏のマクドナルド約1200店舗で「クォーターパウンダー・チーズ」「ダブルクォーターパウンダー・チーズ」の2商品を発売。その後、全国への展開を予定している。
近年、企業にとって、これまでカスタマーではなかった層を自社の顧客として取り込むことは大きな課題であり、その重要性はますます高まっている。クォーターパウンダーショップでは、あえてマクドナルドという自社ブランドを伏せ、これまでマクドナルドに足を運ばなかった顧客を店に誘導することに成功した。今後、マクドナルドの定番商品として根付くかどうか、今回のプロモーションの成否が明らかになる。
(江口 陽子)
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